いわおNo.199復活祭号より
2003年4月20日発行

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「愛の勝利」

寺西英夫神父

 復活祭おめでとうございます。
 イエス・キリストの復活、そしてそれにあずかるわたしたちの復活への信仰は、キリスト者の信仰の中心にあるものです。
 復活信仰とは、死を超えて生きる、まことの命への信仰です。わたしたちのこの地上における誠実な愛の交わりは(これこそがいのちです)死を超えて、永遠に続くものです。
 イエス・キリストの死と復活は、その道を切り開いたのです。

 去る三月十一日、わたしは麻布教会で、ひとりの方の通夜を司式しました。多摩教会で働いていた頃、わたしは三多摩の八教会合同の中・高生練成会活動の中で、その人と出会いました。彼はその頃、八王子教会に所属する中学生でした。ギターが得意で、彼が弾き語りで歌う「北の国から」は絶品で、みんなの人気者でした。その頃一緒に働いていた十人の神父たち、そして大勢のリーダーや仲間たちが、深い悲しみを抱いて集まりました。
 彼は育英工専卒業後、思い切ってミュージシャンのマネージャーの仕事に飛び込みました。一九九五年に結婚し、七年と五ヶ月、六歳と四歳の女の子を残して、三十六歳の若さで、ガンで逝きました。
 通夜の前、同い年の若い妻、玲子さんはわたしに、こう話してくれました。
 「俊哉とわたしは、この五ヶ月、全力でガンと戦いました。いつも明るく、前向きに励まし合って。こんな濃密な時間を一緒に過ごしたのは、結婚以来初めてです。残念ながら俊哉は先に往きましたが、これで二人の結婚生活が終わったとは思っていません。だって、これからは今までよりも、もっともっと俊哉の助けが必要なんですもの。だから、七年前わたしたちが結婚式を挙げたこの麻布教会で葬儀をしていただくことにきめました。今夜は、わたしたちの結婚の再出発なのです。どうか、よろしくお願いいたします。」
 これこそ、信仰の勝利、愛の勝利でなくてなんでしょう。

「死は、勝利にのみこまれた
 死よ、お前の勝利は、どこにあるのか
 死よ、お前のとげは、どこにあるのか」(ロマ書15・55)


カトリック小岩教会広報部


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