復刻!Nikon SP



〜 歓迎!SP復刻 〜

 ついにNikon SPが復活することになりました。確か、誰かが“復刻して欲しいカメラ”みたいな話の中でSPを挙げていたと思います(具体的な中身は知りません)が、ある意味過剰とも言えるその複雑さ故にSPの復活など夢物語…と考えていましたのでちょっと意外な感があります。とは言いながらも、個人的にSPのデザインは結構好きなので、なんとなく嬉しくは思っています。特にボディ右側に寄ったNikonロゴの配置が良いですね。ブランドロゴを中央に持ってきていないカメラって余り無いんじゃないでしょうか。特に一眼では有り得ないでしょうね。



〜 技術継承が狙い? 〜

 それにしても、SPの項でも触れたようにブライトフレームの切り替えも視差(パララックス)補正もない“シンプル”な復刻版・S3でさえ、距離計の調整にはかなりの時間を要した筈です。にも拘らず更に複雑なファインダーを有するSPのリバイバル・オペレーションに踏み切る理由として考えられるのは、名誉挽回を狙っているか、S3の再生産で余程の自信を付けたか、或いはRF機生産ノウハウの継承に無形の財産的価値を見出したか、といったことでしょう。

 “名誉挽回”− そう、復刻版S3は、正直なところマーケティング面では失敗に終わったと評価されるべきでしょう。“幻”のオリンピックレンズまでセットにし受注限定生産でミレニアムに相応しいプレミアム品となるはずだったのが、何故か店頭に新品在庫が存在(キャンセルでしょう)し、その新品も委託コーナーの新古品も値崩れを生じるという状況。その後ブラックボディも登場しましたが、これは在庫S3に付加価値を付けてさばくべく企画されたとかいう噂です。その真偽の程は兎も角としても、正にオリンピック・モデルの復刻と呼ばれるべきモデルですら販売店の店頭に在庫が残ったことを思えば、完全に需要を見誤ったとしか考えられません。

 そういう状況を踏まえた上で、左程余裕があるとも思えない現在のニコンがSPという「次」の段階に進むためには、本来商業的な採算性の裏付けが必要な筈です。その意味では、販売状況から受ける印象とは逆に、彼らがS3でRF機の効率的な生産に自信を付けた、ということも考えられないではありません。それとも、あの状況でもS3は十分採算ベースに乗った、ということでしょうか。

 もしそのいずれでもないとすれば、残る可能性は技術的財産の継承しかないでしょう。最初は“ミレニアム”として取り組んだS3復刻事業ではあったが、実際に技術陣OBの協力も仰ぎ作業を進めるうち、歴史に名のみを残し消滅しようとしているRF機生産ノウハウ、その全てを再現し全ての技術の継承に取り組むことができる最後の機会が今なのだ!と、その保存を強く決意したのかも。過去のもの、として放り出すのは簡単だが、一度途絶えてしまったものを取り戻すのは容易ではありません。数値に表せない財産の重さは、目先の採算性では計れないものでしょうから…。