砂塵の迷図 〜お侍 習作の8

       *16話17話以降を未視聴の方、ネタバレがありますのでご注意ください、
 

 

 此処にいるのに何処にもいない、そんな不思議な男だと、時折 思う。その前に立てばそれだけで伝わる手ごたえ、存在の重みは十分あるのに。知れば知るほど人を深々とのめり込まさせるだけの、器量も並外れて満ちているのに。どっしりとした安定と頼もしさは、だが、未来へは繋がっておらず。成したい野望や、極めたい夢があるでない身に、熱は寄らず。姿を消せばそれっきり、風の噂にものぼらぬ男。それ以下でもそれ以上でもない、侍でしかない男。よほどのこと深い業を持ってでもいるものか、なのに、それを振り切れず、振り切らず。あれほどに策が立つのに、自分へは世界一の不器用な男で。何をか割り切れないそのまま自らへの足枷にして、ずっと抱えて逝くつもり。あれだけ深きを見通せる尋を、あれだけ安んじられる懐ろを持つ身であり、惹かれる者も数多
(あまた)いて、なのに。重いものは重い、苦いものは苦いと、誤魔化すことなく咬みしめたまま。その昏い双眸は、一体何を映しているものやら…。






            ◇



 数年ほど前にやっとのこと決着をみた、それはそれは長い大戦があった。世界を南北に分けての戦さは、まさに凄惨を極めて果てしなく。実際の戦場となったは、大地から遥かに遠い天穹ではあったけれど。土地は人がいなければ荒れる。手が入らねば元来の姿に戻る。戦いへと駆り出された人が戻って来なかったところは大きに荒れ廃れ、上つ方の断じた勝手な勝ち負けを映しての、活気の薄れた村や里は、そのまま没して荒野に吸われ。一つ大陸の上にありながら、里や村は数が減ったそのまま、互いの連絡も疎遠となり。商人が足場としたことで栄えた、物資豊かな町へ町へ、今や偏った集約を見せるばかり。時勢から取り残された農村を訪れるのは、招かれざる客の野伏せりくらいのものというのが、昨今の“ご時勢”になりつつあった。



  「………。」

 ある意味で追っ手を避ける意味もあって、彼が敢えて選んだは。旅の行程として最も疎まれる、砂塵の舞うばかりな荒野の道。古女房以外の誰にも何も言い残さずに村から離れたのは、村のこれからのために動いてくれる者らが、こうした自分の意を酌んでくれることを見越しておれたのと、それから。ここからの行動への見通しが、自分でも確たるものだとは言い切れなかったせい。ただ、機転が必要な潜行に頭数は要らないと、それだけは判っていての単独行。砂に撒かれても進路は見えるものなのか、たった独りで辿るその進攻は揺るぎなく。とはいえ、宵が深まるにつれ、風の勢いがひどくなるのには閉口したか、風化によって刻まれた、元は渓谷ででもあったらしい名残りの岩陰へと足を運ぶ。
「…。」
 風を避けようと身を寄せた岩壁に、重なり合うことで洞となっている箇所があるのを見つけた。海の凪でもあるまいが、明け方の黎明が近づけば風も収まろうからと、しばしの退避を決めて。腰掛けるのに丁度いい、低くて平らな岩があったのへと腰を落ち着けると、少ない荷を探る彼であり。程なくして、闇と境目もなかったほど無表情な岩に、覚束無く揺れる影が落ちる。火幌
(ほや)を外すと簡易の手あぶりになるランプを、腰を下ろした傍らへと置いたから。黄味がかった光は黄昏にも似ており、何とはなしに人心地つけた。実りの秋もずんと深まり、もはや終わりに近い頃合い。何度となく哨戒に回ったことで故郷のごとく馴染んだ村の木々が、そういえばその姿を錦に染め変えていたのをふと思い出す。緑豊かな村とは違い、何にもないこんな地では、ただただ冬を思わせる風の音が響くのみ。孤独の感を深めるかと思いきや、そんな中に嗅ぎとれたものがあり、男の口許が微かながらも柔らかくほどける。

  「…キュウゾウ、おるのだろう?」
  「………。」

 気配はないが、ないという感触がする。その筋の達人というのは厄介なもので、そういった卓越した対処は意識せずとも滲み出すらしく。だがそれを言うなら、こちらもまた、そうまで意識を尖らせて警戒を敷いていたつもりはなかったのだがと、カンベエは小さく苦笑する。その笑みの効力ででもあったものか。果たして、ランプの明かりで生じた陰の中から滲み出して来たかのように、紅衣に包まれた、そのほっそりとした姿を現した若い侍は、距離を保ったまま、そろそろ見慣れた無表情のままでこちらを真っ直ぐ見据えており。それが物問いたげな風情に映ったか、
「案ずるな。何もお主との約定を反故
(ほご)にして逃げ出そうというのではない。」
 そのような腰抜けと思われたかの。そんな自嘲の揶揄を仄かに込めてか、再び薄く笑うカンベエであるのへ。そうではないことくらい承知であると、金髪痩躯の青年がわざわざ顎を引き、浅く頷いた。そんな意思表示なぞ必要もなかろうと、青年の側でも思ったほどに、こちらの意図などこの老獪な侍には既
(とう)にお見通しであったに違いなく。
「…。」
 何も言われずともこうして後を尾けた、そんな自分の行動もまた読まれていたものか。若しくは、こうなろうと運ぶ確率が高かろうからと、故意に何も告げなかった公算が高い。いや、きっとそうに違いないとの確信が今になって沸いて…砂防のためのマスクの下、苦く笑ったキュウゾウだった。



 牙も爪も持たぬ農村を襲う、侍崩れの無頼の野盗“野伏せり”には、思わぬ軍勢を率いて来たのへ手を焼きつつも、結果としては勝利した。勝利したが無傷でという訳にはいかず。焼けた家々、落ちた橋。建て直しが利くものもあれば利かないものもあって。それは尊き仲間の命もまた失われたが、悲嘆に暮れている訳にもいかぬと、そこで立ち止まらなかった首魁殿。彼が向かうは、

  「都、か?」
  「うむ。」

 最初の依頼はほぼ片付けた。野伏せりを完膚無きまでに叩くという仕儀はやりおおせ、直接の危機は何とか拭ったが、まだその先がある。彼が抱えた“約束ごと”の残り半分は、あの村にいては届かない仕儀だとキュウゾウも聞いている。野伏せりに攫われた女たちを、それぞれの家族の元へ取り戻すこと。攫っていった張本人の、野伏せりをたためば済むかと思われたところが、彼女らは米と一緒に“都”へと連れ去られたのだと聞くに及んで、次の手へと打って出たカンベエなのであり、
「虹雅渓に?」
 ここから一番近い商人の町。情報収集のために一旦戻るのか? 皆まで言わずともそこは通じて、
「そんな悠長をしてもおられん。」
 年嵩の首魁殿は、やや枯れた趣きの声をなお低め、淡々と応じた。
「向こうへ神無村の情報が届けば、どんな第二陣が来ることか。」
 それもあっての取り急ぎ、融通の利く単独での出立をした彼であり、だが、肝心の“都”への情報は皆無に等しいらしく。どうしたものかとその不確定要素を持て余しているのが、低められた声に仄かに滲んだ重さで悟れる。だが…それにしては、彼なりの目星をつけてもいることが、この荒野行の毅然とした足取りを追っていたキュウゾウには伝わってもおり。なればと授けたのが、
「都は、1つところにおる訳ではない。」
「…?」
「本丸級の大きな船だからの。どこへだって飛んでゆける。」
「何と。」
 以前に一度、虹雅渓の差配・アヤマロの供として運んだことがある身。これが宙に浮くとは信じ難い、弩級巨大戦艦の成れの果てだったのを見て、連れの同輩が“皮肉なことよ”と短く苦笑したのを覚えている。
「ならば尚更、直接の接触を持つ相手へ近づかねば、辿り着けぬということか。」
 商人たちがその知恵と工夫という采配にて、全権を掌握し、支配しつつある世界を統括する、言わば心臓部でもある、彼らの“本丸”。それが移動可能な代物だということを知らなかった彼だのに、感心こそすれ やはり動じてはいない。ということは、彼が目指していたものは、

  「…式杜人、か?」
  「そういったところかの。」

 やはりなと、その相変わらずの慧眼へ、どうしてだか安堵する。目的としたものの在り処が判らぬならば、位置は見切ってその道程、そこへと至るための“手段”の方を模索する。彼なりの目串の鋭さ、抜け目のなさは健在で。米と蓄電筒の関係、そして…略奪された女たちの扱われ方から、野伏せりと“都”とそれから、式杜人との関係をも見通している。自らも刀を振るって駆け回ったほど、それは慌ただしかった乱戦の中にあっても、冷静に思慮を巡らせ、きっちりと結論を出していた彼なのだろうと思われる。あの禁足地に住まう不思議な一族が、都への糸口になってくれようと。

  「………。」

 ふと。会話が途切れて。緩く波打つ蓬髪に縁取られた男の顔が、微かに下へと視線ごと傾いたことに気がついた。仄暗い洞の中だからだろうか。常からも昏いその眸の深色が、尚のこと沈んでいるように見えたキュウゾウであり、

  『…命、買い受けた。』

 凄惨なまでの戦いの中で訪れた、戦友との別れから、まだ一夜も明けてはない。追悼よりも託された使命の遂行を優先した彼であり、だがきっと、村に残して来た仲間らは…少なくとも侍の何たるかを理解している面々は、それを非難はしなかろう。追憶も後悔もいつだって出来るのだし、彼は今最も優先されるべきことを、当然の対処として的確に追ったまでのこと。
「…。」
 戦さに大切なのは、なにも兵力や資材といった戦力だけではない。圧倒的に有利だったはずが、突入や引き際の“時”を逸したがために、結句、ぶざまに潰走するを余儀なくされた実例の何と多いことか。英断の槌を降ろせぬ腰抜けと好機を読めない司令はただの愚将でしかない。その伝で言えば彼は間違いなく、胆力みなぎる猛将であろうし、奇策を繰り出せる才気のみならず、絶好の機を見定められる練達の、それは優れた知将でもある。とはいえ、
「…。」
 時を逃さず動いた彼が、今、待つという“時”を得たことで、あらためて向かい合っているもの。感傷に浸るほど青くも脆くもなかろうが、さりとて都合の悪いものを片っ端から忘れることが出来るほど、要領が良いわけでもなく。この男はいつだってこうやって、これまでのもろもろ、すべてを背負ったままでいるに違いないと。逢ってまだ日も浅く、彼をあまり知らないはずなのに、その数日分の蓄積だけで十分に、そうと断じてしまえるキュウゾウだったりし。
「…。」
 そういえば。そんな短い付き合いで誰かの勝手や性分を飲み込めていること自体が、この自分には意外なことだと、今の今、気がついた。いつから始まったかも定かでないほど、自分にはいつだって“今”しかなかったのに。生きている証しを実感するのは、斬戟の手ごたえのみ。だがそれは、いつだって一瞬で潰える儚いもの。そうだったはずが、
『お主を侍と見込んで話がある。』
 いつものように…大した手ごたえもないままに なめらかに斬り払えたはずが、そうはゆかぬものが現れた。力強い抵抗に刀が弾かれ、畳み掛けた切っ先を絶妙に払われて。こちらを躱す相手の動線を追って、身を躍らせ、踏み込んだ攻勢を、これまたことごとく見切られて躱された。何だろうかこの感覚は。久しくなかった血の騒ぎ。体が熱を帯び、躍起になって相手を追った。反撃も巧みで、その上、なかなかに老獪で。お主の腕に惚れたなどと、ややこしい物言いで不意を突いたいやらしさに加えて、
『お主に斬られるその前に、儂には果たさねばならぬことがある。』
 とんでもなく身勝手なことを言い放ち、まだ抜刀したままな相手へ、それは無造作に背中を向けた剛の者。こんな奴は久々で、どうあってももう一度、血のたぎった切り結びをとの望みは断ち難く。それを待つために…という名目の下、たった一瞬の“今”の先にある“明日”をも眺むるようになったキュウゾウであり。だのに、
「………。」
 そんな自分を差し置いてまで。押し黙ったカンベエが、何を悼んでいるのかに気がついて。それが何とも居たたまれないほどの不安を掻き立てる。

  「…お主、勝手に死に急ぐつもりではなかろうな。」

 思わずのこと口を衝いて出ていたのは、それだけ唐突に、だが勢いよく沸き立った想いであったから。そんなキュウゾウの言に顔を上げ、こちらを意外そうに見やったカンベエは、

  「そんなつもりはない。」

 すかさず そうと応じてはくれたものの、
「果たさねばならぬ約定を残しては逝けぬ。」
「どうして…。」
 そうやって何でも背負おうとするのだろうか。何がそうさせる? 小さきものらの儚い望み。それらを叶えてやれるだけの技量の持ち主ではあるものの、限度というものがあろうにと、この自分でさえ呆れるし、わけもなく腹立たしい。いつか力尽き、足を取られてそのまま頽れるやも知れぬ。心残りを山ほど抱えて…だ。

  「…っ。」

 知らず、身体が動いていた。座したままな彼のすぐ前までの距離を数歩で詰め、岩へと腰掛けた相手の膝へ、乗りあがらんという勢いでにじり寄り。そんなこちらの気配へと相手が僅かにでも身構えるのを待つのももどかしく、肩まで下がっていた襟巻きを上着の合わせごと強引に掴みしめる。もしかしたら殺気立ってもいたはずだろうに、カンベエは自刀に手さえ伸ばさず、そんな態度もまた、キュウゾウの苛立ちを妙に煽ったようで、

  「俺との決着を忘れるな。」

 しゃにむに掴みかかったものの、実を言うと何と言いつのればいいのかには窮しもし、直情的に思ったままを告げている。
「忘れてなどおらん。」
「ならば…っ。」
 勝手に逝くなと言いかけて、だが、これではさっきのやり取りの繰り返しだと気がつく。侍ならば、戦さの中で命を落とすもまた避けられぬ事態。それが判っていながら、だが、彼が悼んでいたものに気がついて。ゴロベエ殿の死に衝き動かされての、この迅速な行動なのだとしたならば…と、そんな埒もない不安が胸をぎゅうときつく掴みしめる。あんなにも芯の強い、加えて言えば、先の大戦で生き残れた運もある善人にだって、容赦なく襲いかかり、連れ去るのが死。まさかに殉じたいと望んでまでいる彼ではなかろうが、独りでは逝かせぬとの覚悟くらいは、その腹に固めているやも知れず。そうと思ったその途端、

  「…っ。」

 吐き出しようのない想いが苦く沸き立ってそのまま、胸に閊えてただただ歯痒い。ぐらぐらと煮えるようなそれを胸中に持て余し、掴みかかったままな男の顔を咬みつかんばかりの形相にて睨んでおれば。
「…。」
 掌打にて唐突に とん…っと肩を突かれた。
「な…。」
 突き飛ばされれば出る反射が、この場合は…遠ざけられてなるかという抗性のそれ、つまりは、次の打撃にあっても抗して、より前へと勇み出るためのものだったのだが。それをも弾かれるかとの予想は大きく外れて、
“え…?”
 何の抵抗にもぶつかることはなく。その結果、真正面の懐ろへと、こちらから勢いよく転がり込む格好になっていて。衣紋の合わせに顔を埋め、勢い余ってまろびそうになったそんな彼を、まるで待ち構えてでもいたかのように。カンベエの両の腕が伸びてくると、そのまま肩や背中を包み込み抱きしめる。頑是ない子供の駄々をなだめるように、大きな手のひらが頭へと回されて、温かな指が髪を梳く。

  「儂は欲の深い男だからの。
   そういう奴輩はなかなか死ねぬと相場は決まっておる。」

 自分を揶揄する、そんな声が間近で聞こえて、
「命も惜しい。お主のこの温みも手放すは惜しい。だから、死なぬ。」
 現に、ずっと死にはぐれておるわと。喉奥でくつくつと嗤う彼であり。

  「…勝手には、逝かぬか?」
  「うむ、逝かぬ。お主との決着をつけるまで。」

 何とも妙な誓約だった。お主に斬られるまでは死なないだなどとは、子供でも首を傾げよう矛盾の塊り。なのに至極真面目に彼は言い切る。言葉を知らぬもどかしさから、是非もなくいきり立ったキュウゾウの苛立ちを、その温かさで解きほぐし、

  「…お前は温かいの。しばらく、こうしていてくれるか。」

 いかにも愛しいとくるみ込まれて。なのに…何故だろうか、冗談で誤魔化す気かと撥ね除けられない。あの、虹雅渓での手合わせでは、撹乱のための“惚れた”の一言へ、額に立った青筋がそのまま切れるかと思ったほどの怒りを覚えたはずなのに。同じ相手の腕の中。手のひらを添えた胸元の堅さや、襟から覗く素肌から伝わる温もり。頬を寄せている首元や、耳を伏せている肩口の頼もしい筋骨の質感に、こちらからももう少し、触れたままでいたいと思ったから。

  「…ああ。」

 頷けば。懐ろへと抱いた痩躯、それは大切そうに抱え直して。少しほど座っていた位置をずらして、青年が窮屈でないようにと自分へ凭れさせ、細い肩を外套の中へとくるみ込む。自分の所望のような言い方をして、その実。やるせない怒りに激発したその余燼で、我知らず震えている青年の薄い肩を見かねてのことに違いなく。ああ、こんな機微を察することが出来るようになったのも、この男の傍らに居るようになってからだなと。居心地のいい懐ろの中から、足元に据えられた傍らの古めかしいランプを眺めながら、ぼんやりと思ったキュウゾウだった。






            ◇



 何かを失いたくはないからと強くあろうとするならば、時には立ち塞がる者を凌駕する必要にも迫られて。勝った者は生き残り、返り血に染まったその身の穢れがますます深まる。今や和合の時代だ、そんな風に手を汚すことなかれと、人は競っておもねりや恭順という迎合を覚えた。でも、そんな自分を人はどこかで疎んじてもいて、卑屈な笑いは醜く歪んでゆくばかり。そして、最も優しい嘘をつける者こそが“時代の寵児”へと成り上がる。

 それに引き換え、やはり不器用な彼は。向かい風にも颯爽と顔を上げ、罵声や嘲笑を甘んじて受け。幾つもの人斬りの贖罪を肩代わりし、敗者の汚名をあえて着て見せることで、コトの収拾と共に人々が忘れたがる、そんな存在になりたがる。やがては逆賊の汚名だって着るを辞さぬつもりかも。今はまだいいが、そう、そのうち。負い過ぎた重荷で足を凍らせ、身動きが取れなくなってしまうのに。だから。そうなる前に、熱いうちに、俺が斬ってやると。そう思ってやまなかった筈なのに。


  ――― 自分は果たして、彼奴を斬りたいのか、
       それとも もしかして、生かしたいのか…。


 どうしてだろうか、時々それが判らなくなる。喉奥を焼くような餓
(かつ)えは、このもどかしさの意味は、まだ見えぬまま……。







  〜Fine〜  06.12.05.〜12.06.


  *今度は思い切って二人きりにしてみましたのに、
   それでもなかなか進展してくれません。
   勘久サイトだってのにもうっ。
(苦笑)
   不器用な人同士なだけに、自分の気持ちにお互い気づいてないものか。
   何も無理から“懸想”という間柄にまで至らせる必要はないのかもですが、
   それを言っちゃあ“女性向け同人サイト”の看板に偽りありになってしまう。
   (あ、まだ看板までは掲げてなかったかな?・笑)

  *ちなみに。
   話の舞台というか設定がちょこっと進みましたが、
   場合によっては
   またまた“野伏せり戦の前”なんかへと
   時間が戻ったりもしますので念のため。
   この後、5日ほどですか、
   本格的に離れ離れになってしまいますものね。
(うう…。) 

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