緋色の衣に紅さして… (お侍 習作68)

        *お母様と一緒シリーズ
 


 群れ成しての急襲を仕掛けて来るだろう野伏せりに対抗するため、その準備として、神無村を難攻不落の城塞にしてしまおうという計画は、惣領様の立てた当初の青写真どおり、順調に進行中。砦や堡、柵や物見といった守りのための造成も、それは巨大な弩を放つ発射台や、張り子という偽物
(ダミー)の設置という攻撃のための建造物も。働き者で案外と飲み込みのいい村人たちも一丸となって力を尽くしているがため、滞りなくの着々と形になりつつあり。慣れないうちはお手本つきの指導が必要だった様々な手際も、今や口頭での指示で十分伝わるほどとなったため。融通の利く器用なクチのお侍様方は、今の段取りが済んだら…という、先のことをば考えて、次の手順や次の段階へと入りやすいよう手筈や段取りを構えておいたり、やはりそれぞれにお忙しくしておいで。そんな“お務め”の他に、お仲間内の世話へも気を配り、報告や息抜きにと運ばれる詰め所をきれいに整えておいたり。身の回り品がすぐにも ほいと、求めに応じて手渡せるよう整理を欠かさないでおいたりなどと。ほんに気の回る働き者でおいでなのが、惣領様こと、カンベエ様には大戦時代からの古女房だという、シチロージ様というお人。金髪長身、身なりもすっきり整えた、そりゃあ涼しげな男っぷりの、何とも惚れ惚れするような美丈夫でいなさるその上に。槍を振るわせれば鬼神のような鋭い攻勢を繰り出せる練達でありながら、色んなことを御存知の博学にして、気が利いていて人当たりも柔らかく、場の空気を読む感覚にも秀でておいで。しかもしかも骨惜しみをなさらぬ働き者で、造成の現場で凛々しくも的確な指示を出すお姿をお見受けしたかと思えば、それから数刻も経たぬうち、詰め所に戻っておいでの、お茶の支度やお仲間の着物のお洗濯など手掛けていたりなさるものだから。

 『もしかして…モモタロさんは もう一人いるですか?』

 冗談抜きに鹿爪らしいお顔になったコマチ坊が、こっそりと訊いたことがあったほどというから半端じゃあない。
(笑) 本人に言わせれば、ついつい色んなところに目が行く性分で、誰も手をつけないことが放り出されてあると、気になって気になってしようがなく。それで、これまたついつい手が出てしまうまで…ということだそうだけれど。

 『いやぁ、あれはカンベエ殿の世話を焼いて来た後遺症だと思いますねぇ。』

 きっと、いかにも男らしい司令官殿であった分、身の回りに関してはあまり細かいことへこだわらない、何かと手の掛かる御方だったに違いないその上。シチさんがまた、負けん気の強かったお人で。御主がご不便がったり、不具合を誰ぞから笑われたりしてなるかと思うあまり、水も洩らさぬという勢いでお世話を焼いていてのそれで、そういう性分が身についてしまったのではありませんかね、とは、案外と皆をよく見ている小さな工兵さんのご意見で。それへまた、異論を唱える者はおらずの、それどころか皆して“お〜〜〜っ”と成程合点の拍手を送ってしまったほどであり。

 「…それって、お褒めに預かったと思っていいのでしょうか。」

 当のご本人は、少々複雑そうなお顔になって苦笑してらしたそうですが。


   ………そりゃそうだわなぁ。
(苦笑)





  ◇  ◇  ◇



 そんな働き者な彼が、こそり“おっ母様”と呼ばれてもいるのは、日頃のまめまめしさとはまた別な、とある事情背景があってのことでして。

 “えっと。こっちの行李に入れてたと思ったんですがねぇ。”

 詰め所の奥の間、仮眠用にと衾を準備した居室の壁の作り付けの棚を、膝立ちになって覗いておいでの槍使い殿。何やら探し物をしている模様で、用途別にキチンと整頓された行李の中の1つを引っ張り出して、ああ、あったとネジ蓋のついた小瓶を取り出す。どうやら手持ちの軟膏薬を補充しておこうと思った彼であったらしく。暇を見つけて摘んでおいた薬草から薬効成分を抽出させて、グリセリン系の軟膏へ混ぜ込んだという、完全なお手製ながらもその効き目はあらたかな優れもの。腰から提げる格好になった嚢から携帯用の容器をつまみ出すと、棚の前にてお膝を揃え、その上へ小瓶を据えて。小さなサジを使い、手際よく移し変えての補充をし、あっと言う間に御用を終えて、さて片付けようと、膝立ちになると棚へと再び向かい合う。一切無駄のない所作は、まるでお芝居や舞いの中の一節のように優美でもあり、これぞ“機能美”というものか。

 “………それにしても。”

 人が暮らしていると、生活の中での必要に迫られて、気がつきゃ何やかやと道具が増えるものだというのは知っていたけれど。
“こんな非常事態の中にあってもそれは言えるのだな。”
 自分たちの動向を怪しんだ手合いらから追われての、着の身・着のままで出て来た者が大半だのに。気がつけば…結構“身の回りの品”とやらが増えているのが、この棚を見ても判る。先住者の残した置き土産、古びた衾や生活雑貨のあれこれが多いのは勿論のことであるが、その手前には、自分たちが日頃使うものを入れた行李が、大小と幾つも居並んでおり。常備薬と予備の晒布を入れた薬箱や、針に針山、端切れ布や握り鋏を入れた裁縫箱。爪きり用のニッパーや耳かき、爪楊枝や房楊枝のスペアが入った雑具入れもあれば、塩を入れた棗
(なつめ)や、唐辛子に山椒の粉の入った竹筒などが収まった調味料入れ、鎮守の森にて誰かさんに手伝ってもらって収穫した、金色の蜂蜜の入った壷など。村人からご厚意で貰ったものもあれば、自分らで作ったり、持っていたものを共用しようと置いているものまで、結構な数の行李が並んでいるのが、そのまま、彼らの此処への馴染みよう、定着度を示してもいるかのようで、今更ながら擽ったいものを感じたシチロージだったらしく。

 “…これには何が入っていたっけか。”

 少しほど奥に押し込まれているが、間違いなく自分たちが足したものらしき、大振りの柳行李に目が行って、だが。あれれぇ? 中身を覚えてないなぁと、綺麗なお顔をひょこりと傾け、小首を傾げたシチロージ。手元へ引き寄せ、蓋をぱかりと両手で上げ開けば、

 「………あ。」

 中に鎮座ましましていたのは、鮮やかな赤や紫、つやのある純白に可憐な緋色、溌剌とした黄などなど、目にも鮮やかな色合いの着物や羽織、帯などなどが何着か。
“ああ、そうか。”
 見てようやっと思い出したのが、これらをまとって現れた“珍道中”組のお三人。人目の多い街道を来た、ゴロベエ、ヘイハチ、リキチの三人が、途中で芸人一座の方々から譲られたこれらを駆使し、見事な
(?)女装で警戒中の野伏せりの眸を誤魔化したという、武勇伝というか曰くのついた衣装と小道具の一式で。
“うわ、結構いろいろあったんだ。”
 化粧品や髪飾り、造花の飾り物に首掛けや飾り鎖など、様々な装飾品も一緒に入っており。衣装の方も、あの三人が羽織っていたものの他にも幾つかあって。

 “ヘイさんが着ていたのはこれか…。”

 心底いやがっていたリキチと違い、どこか喜々として楽しんでいた風でもあった侍二人。小さな工兵さんが着ていた洋装ドレスは案外と腰や背が細く、
“日頃ちょっぴりふくよかに見えるのは、あの服装のあちこちに、驚くほどのポケットや嚢が縫い付けられているからか。”
 そいや、手も…あの手套を取ればびっくりするほど小さいですものね、細かい細工物、ちょこちょこと弄ってあっと言う間に仕上げてしまわれる、と。あらためてのそんなこと、思い出してのくすすと微笑っておいでの、皆様のおっ母様だったのだけれども。

 「…から、どうしてもです。」
 「〜〜〜〜。」

 おや、誰か戻って来られたのかしら。話し声と気配が二人分、表から声高に入って来た様子に気がついて。楽しい物思いを中座すると、棚を閉めての立ち上がり、囲炉裏のある板の間のほうへ戻ってみれば。

 「………どうしましたか、それ。」
 「〜〜〜〜。」

 小さなコマチ坊がその手を引いての引っ張るようにして、やや強引にも一緒に戻って来たその相方が、その真っ赤なお洋服の胸元から腹までを、ものの見事にびしょ濡れにしており。
「コマチがうっかりしていて粗相をしたです。」
 これでも先々では姉のキララと同じく、一人前の巫女となるコマチ坊。そこでのお務め、社の前にある“水分りの碑石”のお掃除をしていたそうで。半日かかって終わったお仕事、やれやれと気が萎えての油断が沸いた。お掃除に使った手桶の汚れ水を、そこいらへ撒いてしまえと、底を抱えてのえいっと振り飛ばしたところが。梢が途切れての地上へ降りて来たキュウゾウに、まともに浴びせる格好になったらしくって。この彼を相手にし、故意に掛けようとして掛かるものではなかろう。それこそ、思いも拠らない間合いでの、これぞ正しく“出合い頭”という代物。
『ごめんなさいです。早く着替えてくださいです。』
 コマチとそれから、社にいたキララは、お召しを汚したので洗いたいと言って聞かず。なのに、
『いい。』
 構うなと、こちらもまた譲らなかったらしいのだが、

 「…若侍がキーキーと煩くて。」

 押し問答をしていることこそが時間の無駄な浪費でしょうと、通りかかったカツシロウが割って入っての言うことには、

 『その上着の染みが消えぬ限り、
  コマチ殿もキララ殿も、この一件を思い出しては気にし続けねばなりません。』

 そうなるよりは、さっぱりと洗ってもらって一件落着とした方が、後腐れもないってものでしょうがと、偉そうにも言い諭されたそうで。
「おや、カツシロウにしては気の利いたことを言ったもんですね。」
 あらあら、おっ母様までがそんな言いようをなさるものだから、
「〜〜〜。」
 たちまち口元を曲げた双刀使い殿であり。ままそれでも、説得を飲んだからこそここへと戻って来たのでもあるらしく。
『若侍が、脱ぐなら詰め所でと言って聞かなくて。』
 まあ、キララという妙齢のお嬢さんの前で下着姿になるのは…

 “いや、それに関しては、既に前科があるんですけれど。”

 今さっき思い出していたところの、この村までの道中の最中。キララを庇ったことで腕を負傷したキュウゾウの、せめて服を繕いたいと申し出た巫女様だったため、さして衒うこともなくの上着を脱いで見せた彼であり。案外と、あの時 睦まじそうに見えた二人だったのを覚えていたカツシロウであり、ちょっとした悋気もあっての気の利かせようだったのかも…などと。純情青年の胸の内なぞ、ちらり想像してしまったシチロージだったのだが、

 「それじゃあ、お預かりして行くです。」

 そうこうする内にも、汚してしまった深紅の長衣、持ち主がその痩躯からするりと脱いだのを両手に抱えたコマチ坊が、姉が待つ自宅へと戻ってゆくのだろう駆け出してゆき、

 「ああ、これこれ。どこへ行くんですか、その恰好で。」

 ではと、背中から外した双刀の鞘を手に掴むと、何事もなかったかのように続いて出ていこうとする、肩出しで腰までという半端な丈の、痩躯に吸い付くようなアンダーウェアと、スパッツもどきの下履きだけという姿の次男坊の手をはっしと捕まえるところは、さすがに卒がないおっ母様。何もその姿、キララ殿にだけ目の毒な訳ではないでしょうにと言いかけたところが、
「???」
 まるで判っていないらしいキュウゾウの、ただただキョトンとしているばかりなお顔を見やり。呆れ半分、可愛さ半分、口許へ浮かびそうになる苦笑を何とか咬み殺すと、
「風邪を、そう、風邪を引いたら何にもなりませんでしょう。」
 外へ出るなら、何か羽織っておゆきなさいと。そのまま手を引き、居室のある方へと上がらせる。
“…とは言ったものの。”
 着替えと言っても、寝間着の小袖か、あとは農作業用のものだろう作務衣風のモンペと上着くらいしか、常備の着替えはなくて。
「これだと…。」
 上着の身幅はともかく、下履きの方がどう見ても、身長の半分は脚という彼には裾丈が合っていないので。どんな仮装なのやらという恰好になるのは請け合いで。
“キュウゾウ殿ご自身は、そんなことくらいと気に留めないのでしょうけれど。”
 そんな滑稽な恰好でいらしたその原因はと、後辿りをされたなら、やっぱりコマチやキララが気にしはすまいか。それを思ったその途端、シチロージの、いやさ、おっ母様の“世話好きモード”にカチンとスイッチが入ったらしく。

 「乾いたのを持って来て下さるまで、此処でお待ちなさい。」
 「…?」

 いやそういう訳にはとキュウゾウが反駁しかかったものの、
「なに、今日は幸いにしていいお日和だし、空気も乾いているからさして時間は掛かりますまい。」
 それに、急ぎたければ しわ延ばし用のコテを使うという手もあるのだからと、さすがは物知りなおっ母様、案じることはありませぬと諭してのそれから。風邪を引くと引き留めた手前、何かないかと再び棚の方を向いた彼に眸に留まったのが…。


  「あ………、そうだ♪」


 こらこらこらこら、その語尾の♪は なに?
(苦笑)






  ◇  ◇  ◇



 秋の夕陽はつるべ落としの如くというけれど。まだ少々、夏の名残りの陽の長さを保ってもいる頃合いであり、まだまだ日は長く。それでも、村を包む空気が金色に染まりつつある時間帯。吹く風は夕陽に染まってのなおの黄金を増した稲穂を揺すってざわざわと、悪戯を仕掛けての吹き過ぎる。
「戻ったぞ。」
 日課である作業場の視察とそれから、今日は弩の発射装置の仕上がりを、念入りに視て来てのお戻りであるらしき惣領殿。常であれば、留守を守っていた元副官のシチロージが、こちらからの声掛けと競うように即妙に返事を返しての“お帰りなさい”と声を掛けて来るものが、
「?」
 おや、入ってすぐにも全部が見渡せる、囲炉裏端にその姿がない。だが、気配はちゃんとするので、此処に居ることは居る彼であるらしく。
「???」
 あれほどまめまめしく働いての動き惜しみをしない彼が、出迎えに顔さえ出さぬとはと怪訝に思い、足にかぶった砂埃を拭う手間も惜しんでの、居室へと上がって奥の間を覗いて見やれば、

  「………おお。」

 何せ農家であるがゆえ、そちらの居室も濡れ縁だの障子窓などが設けられてあるような、小粋で数寄な作りではなく。板壁の少し高いところに連子窓が刳り貫いてあるだけ、黄昏どきともなれば至って仄暗い空間であり。ただ、今だけは、西日が深く射し入っての蜂蜜色に染まった室内で。同じような金の髪の輪郭を淡くけぶらせて、いづれが春蘭秋菊か、二人の美丈夫が向かい合っての座しており。彼ら二人が、刀を持っていないとこうまで人が変わるものかと驚くほど、それはのほのほとした甘い雰囲気まとわしての、母子のように仲睦まじいのはいつものことだが、

 「もうちょっとですからね?」
 「…。(頷)」

 おっ母様からの言いつけを守り、大人しくしている双刀使い殿の、色合いも肉づきも薄い口許へ。貝殻の器から中指の先へ、ちょいと掬い取ったる紅をば移して載せると、そのままそぉっと伸ばしての綺麗に綺麗に。はみ出さぬよう丁寧に塗ってやっているシチロージ…という図が、視野へといきなり飛び込んで来たから、

 “…これはなかなか。”

 構っている側も構われている側も、ほのかな緊張から軽く眸を伏せており。互いの指先と口許とへ意識をゆだねている、甘やかで少し妖冶な空気が何とも言えない。まだ舐めてはいけない花蜜でも差してもらっているかのように、そりゃあ大人しいキュウゾウの一途な表情といい。艶やかな化粧を手づからほどこすことで、自分の物と印をつけての満足を堪能しているかのような、シチロージの仄かに笑みを含んだ妖しい表情といい。下手な春画よりもなまめかしい、飛びっきりの眼福には違いない構図ではなかろうか。それに、よくよく見れば、キュウゾウのいで立ちからして日頃と違い過ぎないか。西日の強さに滲んでいて気がつかなかったが、上は身に添っての引き絞られ、下は大胆な切れ込みつきのひらひらとした、いつものあの紅の長衣ではなく。
“何と言ったかな。ナデシコ、いやさ鷺草のような。”
 淡い緋色の、絽だろうか透かし織りの羽織に、深紅は深紅でも随分と胸高に帯をくくった長い緋袴をはいており。豪奢華麗な花を思わせるほどに長い袂の羽織の下には、純白の小袖を重ね着たこの恰好、
“確か。”
 東の地方のチョゴリとかいう民族衣装ではなかったか。………しかも、女性の。

  「おや、カンベエ様、お戻りでしたか。」

 すみませんね、つい夢中になっておりましてと。やっと紅を引き終え、楽しい緊張から脱したらしく、にっこり微笑って見上げて来た古女房とは打って変わって、

 「…っ。//////////

 こちらは…珍しくも非常に判りやすい反応。一気に我に返ったキュウソウが、真っ赤になってのどぎまぎと慌て、口許を手の甲で拭おうと仕掛かったので、
「ああこれ、待て待て。」
 サッと素早い足運びで一気に間を詰めて、身を屈めた瞬発力の鮮やかなこと。そのまま相手の白い手を両方、手際よく掴み取ったカンベエであり。
「せっかくの傑作が勿体ないであろうが。」
「な…っ。/////////
 都の洒落者なら、男でも紅を引いておったではないかとさらりと付け足し、
「このような道具まで持っておったか?」
「いやいや、アタシの持ち物じゃあございません。」
 いくら何でも持ってるシチさんで通っていても、さすがに化粧道具まではねと苦笑をしてからの種明かし、

 「ほら、先日のゴロさんたち御一行の。」

 変装にとまとってた、女装やら小道具やらの入った行李を整理しておりましてと、どうして用意があったかの説明を先にし、

 「そこへと、衣紋を汚したので洗わせて下さいと、
  コマチ殿に上着を引っ剥がされかけてたキュウゾウ殿が、
  帰って来られたものですから。」
 「おやおや。」

 くつくつと微笑った惣領殿へ、紅の眼差し尖らせたキュウゾウだったが、いかんせん、今の恰好では迫力に欠ける。それに、
「これこれ。そんなお顔しないで下さいな。」
 シチロージが窘めのお声を掛けてくる。蛍屋は妓楼ではありませなんだが、それでも太夫は沢山おいでで。でも、

 「ここまで玲瓏でお綺麗な太夫や新造は、滅多なことじゃあ居ませんでしたよ。」

 それでついつい、もっと綺麗になるのじゃないかと、紅なんか塗ってしまってごめんなさいねと。大好きなおっ母様が おでことおでこ、こつんことくっつけて、謝って下さったりした日にゃあ、

  「…、…、…。(否、否、否。)」

 ふわふかな綿毛を揺さぶって、気にしてませんと大きくかぶりを振って見せての、いい子いい子とじゃらされるままに懐ろへまで。おっ母様にそおと抱かれての悦に入るところが、お手軽なんだか、それとも…何をされても構いませんというほど、情が深い間柄なの見せつけたいのか。とりあえず、今のところは神無村戦線、異常なしの至って平和なようでございます。






  〜どさくさ・どっとはらい〜  07.7.24.


  *キュウゾウ殿やシチさんも、ゲームでは女装しちゃうんですってね。
   そっちの設定のチャイナ服の方が艶っぽいとは思いましたが、
   あくまでもおっ母様のチョイスなので、チマチョゴリ風ということでvv
   きっと“女物なんて”という抵抗はしたんでしょうが、
   「けれど、いつも着ておいでのと どう違いますか」なんて言われて、
   あ・そうかも、なんて、
   楽勝で言いくるめられてる図が易々と浮かびましてね。
(おいこら)

めるふぉvv めるふぉ 置きましたvv **

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