ゆるゆると優しい温もりに包まれて、七はふいに目を覚ました。まだ夜も明けきらぬようで室内は薄暗く、なんとか物の輪郭をとらえることができる程度だ。ただ、雪見障子だけがぼんやりと発光するように明るいのは昨夜から降り続く雪のせいだろう。
「寒い…」
ほうと息を吐けば暗い天井にふわりと雲ができる。七はこの屋敷で二度目の冬を迎えようとしていた。
「まだ起きるには早かろう」
「あ…っ」
背後から主に抱き込まれ、首筋に温いものが触れた。ちゅ、と音を立てて主の唇が露になっている項と背中に降ってくる。身体に回された手が悪戯に這う感覚がたまらない。
「いけません、朝なのに…ひぁっ」
胸の形をなぞっていた指が突起を捉えた。じんわりとした甘い痺れに熱い吐息と喘ぎが漏れる。既に潤い始めた秘めた場所に侵入してくる主の指を感じつつ七は快感に涙した。
***
「御方様、そろそろお目覚め下さい」
すっかり日が高くなった頃芳しい白檀の香に七は揺り起こされた。ぼやけた視界にさらりと銀髪が揺れる。
「龍魅殿…」
白い小袖に縹色の袴を付けた少年は深々と一礼する。切り揃えた銀髪が朝の光を弾いて新雪のようだ。
「朝食をお召し上がりください」
「勘兵衛様は?」
「先程、天帝の御召しにより天界に」
また寝過ごしてしまったと肩を落とす新妻を可愛らしいと思いつつ、水神に使える子龍は笑みを浮かべた。
「なるべく早く帰ると、おっしゃっていましたよ」
〜Fine〜 11.01.26.
*『翠月華』宮原 朔様より頂戴しましたお話ですvv
龍神様である勘兵衛様に、
生贄に出されたはずの巫女の七郎次さんでしたが、
それって嫁に取られることだったようで。
なかなかに艶っぽいお話なので、大好きなんですようvv
龍魅君は今回は勘兵衛様の眷族。
銀龍様は天界にて薬師を龍斎様は鬼籍の管理をなされています…とのこと。
さらりと艶っぽいお話、ありがとうございましたvv
めるふぉvv


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