被告代理人

乙第1号証を示す

   この陳述書は,内容を確認されて,署名押印をされたのね。

      はい。

   今回,どこか訂正される場所はありますか。

      これですね,且那さんと。

   3ページの上から7行目の後ろのほう,旦那さんとパトロール隊の人からと

   書いてありますね。これをどう訂正されるの。

      旦那さんはいない状態で,パトロール隊の人から,一緒に来てほしい

      っていうことを言われました。

   学歴や職業は,陳述書に書かれたとおりね。

      はい。

甲第5号証を示す

   ご自分の記憶だと,どこでぶつかったんだというふうな記憶ですか。

      この上から滑って。

   ぶつかったと思う地点を,赤いマルで。そこでぶつかったと。

       (赤でマルを記載)

甲第25号証の2を示す

   かなり大きく書いてありますけど,この図面だとどのあたりでしょうか。

      このあたりです。

   図の下のほうに電柱というのがありますね,左側に。その先ぐらい。

      そうですね。

裁判官

   甲25号証の2の図面に出ている一番下の電柱ですね。電柱3本ぐらい書い

   てあると思うんですけども。

      はい。

被告代理人

   じゃ自分の記憶でどこだと思う。赤いのでマルを。

      このあたりですね。

   あなたは,このコースのどのあたりを滑ってましたか。

      自分は右側を走ってました。

   あなたが,降りる方向に向かって右側。

      方向に向かって右側ですね,はい。

   そのとき,どの程度のスピードを出していましたか。

      スピードは出てませんでした。

   自分としては,出してるつもりは毛頭ないと。

      そうです。

   あなたの場合は,スピードを出すときは,どんな格好になるんですか。

      自分がスピードを出すときは腰を落とすんで,腰を落とした状態です

      ね。

   そういう状態ではなかったの。

      そういう伏態じゃなかったです。

甲第25号証の2を示す

   この図の被告というふう書いてありますね。

      はい。

   角に来たときは,この図と似たようなところにいたということですかね。一

   番上のほうに被告と書いてあるでしょう。

      そうですね,右側のとこを通ってたんで,そのあたりです。

   ここの被告という位置に立ったときに,前方というか,そのコースの中は全

   部見えましたか。

      全部見えました。

   そのとき前方にだれかいましたか。

   だれもいませんでした。

きちっと,それは確認したの。

   それは確認しました,はい。

衝突のときだけれども,陳述書では左肩口から突然目の前に人があらわれた

ということだけど,どの程度前にあらわれたわけ。

   いや,もう突然だったんで。

何メートルぐらいというふうな記憶はある。

   3メートルとか,もうそれぐらい。

とっさなの。

   もうとっさだったので,もう何メートルというのはちょっと分かんな

   いんですけど,かなり近い状態でした。

ぶつかった後,相手方のスキーの板はどうなったの。

   ぶつかった後は,一個は自分の近くにあって,もう一個は5メートル

   ぐらい下にありました。

その後,パトロール隊が来たみたいだけれども,パトロール小屋で甲2号証

を書きましたよね。

   はい。

これを作成するに当たって,あなたはどことどこを書きましたか。

   自分は,現場見取図で,この線,矢印は自分か書きました。

AとBという矢印はあなたが書いたの。

   はい。

F証人さんが書いたんじやないの。

   いや,書きませんでした。

あなたが書いたの。

   はい。

ほかの森みたいなのとか,カレーハウスとかはだれが書いたの。

   それは,パトロール隊の人が書きました。

あなたの話をもとに書いたんですか。あなたが,このあたりにカレーハウス

がある,ここに森かおるとか。

   いや,そういうことは何も言ってません。何も言わないで,パトロー

   ル隊の人が森とカレーハウスとリフトを書きました。

その横の文章について,何かパトロール隊の人言ったことありますか。

   1回だけ口頭で説明して,左前方よりBさんが来るのを確認,プレー

   キをしてとまろうとしたが,間に合わず衝突したって書いてあったん

   で,もういかにも自分か左から来るのを見えてて,左から来るのを確

   認して,それで間に合わないでぶつかってしまったみたいな感じで書

   かれちゃったので,自分はもう一回だけ,突然出てきてびっくりした

   ような感じでしりもちついて,ボードを立てて相手の右側の足にぶつ

   かったっていうことを言ったんですけど。そしたら,じゃ左前方から

   Bさんが来たんだねということを言われて,はいって答えました。そ

   れで,確認もしたんですねって言われて,そのときは,確認しました

   って言いました。

ぶつかる直前,ちゃありぃさんはどの位置にいたんだと思われてますか。

   ぶつかる前は,前方にはだれもいないで見えない状態だったので,平

   行して走ってたのか,死角に入って見えなかったんじゃないかと思っ

   てますけど。

衝突した現場からカレーハウスは見えましたか。

   見えませんでした。

ちゃありぃさんから,手紙や診断書が送られてきましたね。

   はい。

これに対して,どう対応されたの。

   診断書を見て,当日のじゃないんで疑う気持ちもありましたし,あと

    現場,ぶつかったときにパトロール隊の人も打撲程度だろうと言って

    たし,自分もそれはどの怪我には見えなかったので,疑う気特ちがあ

    りました。

原告

   お勤めの会社名と営業所を教えてください。

   それは言う必要は,自分はないと思ってるんですけど,何か。

裁判官

   あなたは,衝突するまで,どういうコースをたどってきたんですか。

      リフト名はちょっと分かんないですけど,左側の。

甲第5号証の1を示す

   先ほど印をつけた甲5号証の写しに,どうやって滑ってきたか青線で書いて

   ください。滑り出しを見たいんです。

       (青線で記載)

   最後に,プロキオンコースというところを降りたわけですよね。

      はい。

   そこを降りるときの降り方ですが,ターンはしながら降りるんですか。この

   ときターンしながら降りた。

      大きなターンはしてないです。小さなターンは多少しましたけども,

      ほとんどまっすぐな。

   斜面がきつい場合は,ターンは結構するわけでしょう,そうでもない。

      するときもあるし,しないときもあります。

   しないで降りるときもある。

      ええ,あります。

   かなりスピードは出てた。

      そのときは,いや,出てないと思います。

   で,とまれなかった。

   とまれなかったです。

この日は,そのプロキオンコースでは,だれも人を見なかった。

   はい,見ませんでした。前に滑ってる人もいなかったんで。

あなたは,あなたが示した衝突地点からすると,原告のちゃありぃさんは,どこを

滑ってきたと思ってるんですか。

    自分は,反対側のほうのコースから来たと思ってます。

反対側というのは,プロキオンコースよりも林の向こう側っていう意味。あ

るいはボルックスコースを滑ってきたということ。

   右側のコースを滑ってきたんじやないかと思ってました。

右側って林の右側。

    ● ● ● ● ● 

先はどの図面に,あなたが考えている原告のコースを黒で書き入れてくださ

い。

    (黒で記載)

                                   以上

 

 

平成16年(ワ)第387号損害賠償請求事件            

原  告  石  橋  裕  子

被  告  浅  井  高  行

 

準 備 書 面 1-

事故概要、事故原因に関する反論概要事故状況に対する反論

 

平成16年27

横浜地方裁判所 第6民事部 はB係 御中

 

原 告  石  橋  裕  子 印 

 

 平成16年4月22日被告作成準備書面の被告の主張する事故状況に対する原告の反論を述べる。

 

第1 本件事故の大要

 原告は、斜度のゆるやかな初級コースを、通常スキーヤーが滑るようなS字形のパラレルターンでゆっくり下方に向かって滑走していた。数ターン、コース斜面開始地点から約85〜100m下方にさしかかったところ、被告がゲレンデ上方よりスノーボードで直滑降し、原告の足首に被告のスノーボードを衝突させた。その際原告が受けた衝撃はあたかも全くブレーキもかけていないかのような猛スピードを思わせるような衝撃であり、その衝撃により原告の体は下方に約20メートル近くも突き飛ばされた。この衝突事故により原告は骨折という重症を負ったものである。

 

第2 被告主張の事故状況への反論

1 事故は原告の滑走ルートに被告が後方から突込んで来たことにより発生

 原告は急激なコース変更は全く行っておらず、一定のリズムのターンで斜面下方に向けて滑走していただけである。事故は、原告の通常のスキー滑走ルートに被告が上方(後方)から猛スピードで突っ込んで来たものであり、原告の飛び出しであるかのごとくの被告の主張は事実に反する。

 

2 衝突時の衝撃は猛スピードを想像させるほどの強度であった 

 衝突時に被告が受けたものすごい衝撃は、ほとんどブレーキもかけずにまっすぐ突っ込んで来たかのごとくの強い衝撃であった。尻餅を突きスピードが吸収された後の衝突衝撃であるかのごとくの被告の主張は事実に反する。

 

第3 原告の主張概要

 事故は、一定のリズムで通常のパラレルターンをしていた原告の滑走ルートに、被告が斜面上方(後方)から猛スピードで一方的に追突してきたものであり、原告に何ら過失はない。

 このことは、事故直後に作成された甲2号証、甲3号証、および甲8号証3で裏付けられている。また事故調査の場で、被告が原告の後ろから突っ込んだことと事故原因が被告にあることとを被告が認めて謝罪していたことにつき、新たに本件事故調査を担当したパトロール隊員の証言が新たに得られている。(甲19号証)

 

 被告は、事故後に原告に連絡をとらなかった理由について、事実を曲解し、原告の行動に問題があった為かのごとくの事実と異なる主張を行っている。これと同様に、事故原因についても事故発生直後は自分の非を認めていたにもかかわらず、裁判に至ってはじめて前言を翻し、原告に過失があったかのような事実と異なる主張を行っている。

 

 後方滑走者であった被告には、前方注意義務、衝突回避の責任がある。衝突を回避できないスピード超過状態であったことの他にも、一時停止し安全確認していない、斜面中央側を確認しずらい姿勢をとり続けた、という前方滑走者の発見の遅れを誘発するような行動をとっている。このことは被告陳述書で確認できる。

 

 以上の原告主張、反論根拠につき、下記の文書構成にて詳細を述べる。

(1)準備書面 -1-  事故概要、事故原因に関する原告反論概要(本準備書面)

(1)準備書面 2-  事故原因に関する原告反論(詳細)

(1)準備書面 3-  原告提出書証への被告指摘事項に対する反論

(1)準備書面 4- 「誠意のない対応」に関する被告弁明への反論