平成16年(ワ)第387号損害賠償請求事件            

原  告  ちゃありぃ

被  告  無責任なスノーボーダ君

 

準 備 書 面 -4-

「誠意のない対応」に関する被告弁明への反論

 

                         平成16年5月27日

横浜地方裁判所 第6民事部 はB係 御中

 

                        原 告  ちゃありぃ 印 

 

 平成16年4月22日被告準備書面にて、被告の誠意のない対応に対し弁明し

ているが、被告の弁明のほとんどは事実ではない、あるいは著しく自己中心的な

主張である。以下の順に反論する。

 被告は事故原因の認識の隔たりではなく、「遊び場での事故に賠償責任な

   し」を話合いをしない理由としていた

第2 原告は終始一貫して本事故に関する被告の考えを問い合わせ、接点をさぐ

   っていた

 原告が一方的に全額の賠償を求めたという被告主張は事実に反する

第4 相手の主張に耳をかさず一方的に応じなかったのは原告ではなく被告で

   ある

第5 電話で即日連絡がなければ、他人に怪我をさせた事実はなくなるのか?

第6 原告報告の怪我の状況に不信感をもっていたため話合いをしなかったので

   はない

第7 原告からのパトロールへの連絡依頼についても被告は無視している

以下これらについて述べる。

 

第1 被告は事故原因の認識の隔たりではなく、「遊び場での事故に賠償責任な

   し」を話合いをしない理由としていた 

 平成15年1月24日の電話で被告が話合いをしない根拠としたのは「スキー

はお遊びなのでお互いさまだ、自分だって捻挫をするが費用の負担の請求などし

ない」という理由である。(甲27号の4および甲8号の3(お願い2)

 被告は「事故に関する認識が全く異なり、話合いが無意味だったので交渉を持

たなかった」と主張しているが、これらの書証からも明らかなように被告の主張

は事実に反している。

 

第2 原告は終始一貫して本事故に関する被告の考えを問い合わせ、接点をさぐ

   っている

平成15年1月23日に送付した書簡においては、16日より連絡のない被

告の考えを確認したい思いが強く,「浅井さまの考えをお聞かせ下さい」と記載し

ている。(甲27号の2)

 また、平成15年2月25日の書簡においても、スキー場での事故であっても

責任が発生する旨の参考資料も同封した上で、原告らは被告の事故に関する考え

を教えて欲しいと依頼し、被告との接点をさぐろうとしている。(甲27号の4)

 以上で明らかなように「(原告は)被告の反論に全く耳を貸さず、一方的にその

主張を述べ」との被告の主張は事実に反している。

 

第3 原告が一方的に全額の賠償を求めたという被告主張は事実に反する

 平成15年16日に送付した書簡においては、「大変申し訳ないのですが、下

記相談させて下さい」との書き出しで、費用負担の要求ではなく、検討依頼の表

現に終始している。(甲27号の1)

 また、平成15年1月23日に送付した書簡においても、過失割合につき「専

門家に相談したわけではないので、非常識な要求などあればご指摘ください」と

断わった上で、「一般的に請求が認められる額を(過失割合に応じて)請求したく

思っています」と書き、「過失割合に応じて請求する」ことを明示している。(甲

27号の2)

 以上のように「(原告が)一方的に全額の賠償を求める姿勢」であったという被

告の主張は事実に反している。

 

第4 相手の主張に耳をかさず一方的に応じなかったのは原告ではなく被告であ

   る

 平成15年1月24日の被告からの電話連絡は、24時近くという深夜であっ

たが、原告の夫は職場からまだ帰宅していなかった。原告は整復手術の退院直後

であり、電話で事故の責任などを話合えるような健康状況になかった。そのため、

原告は電話の冒頭で、夫が在宅している翌日(土曜日)に再度連絡して話合って

欲しい旨依頼した。しかし、この依頼に対し被告は高圧的な態度で「夫は関係な

い」と語気を荒げて怒鳴り、原告夫との話合いを拒否した。さらに、確実な連絡

方法のみならず、保険加入の有無、年齢の開示すらも拒否した。

 被告は「(原告が)被告の反論に全く耳を貸さず、一方的にその主張を述べ」と

の主張をしているが、原告は被告の考えを文面で送付して欲しいとの依頼を電話

の際、および、平成15年2月25日の書簡で依頼している。(甲27号の4)

 以上のように「相手の主張に全く耳を貸さなかった」のは原告ではなく、被告

である。この点においても被告の主張は事実に反している。

 

第5 電話で即日連絡がなければ、他人に怪我を負わせた事実はなくなるのか?

1 原告の病状および医師の診断経緯と被告への連絡

 甲26号証に原告が診断を受けた医師の診断経緯を示した。被告は病状連絡や

それに伴う請求が度々変わったので骨折していたと信じられなかったかのような

主張をしているが、甲26号証から明らかなように原告にとっても医師の病状判

断や処置方針が受診する度に変わっていたのである。原告にとって医師の病状判

断や治療方針の変更は非常にショックなものであった。このような状況を理解せ

ずに、被告への連絡内容が変更になったことを理由に対応しなかったとすれば、

身勝手な対応である。

 

2 事故発生日、病状が重篤であれば後日連絡することは合意済である

 パトロールは念のため病院での受診をすすめ病院も紹介している。(両者合意の

甲2号証左下)また、原告の夫は事故調査の後、被告との分かれ際に「何かあっ

たら後日連絡する」と被告に伝えている。(甲8号証5 14項、甲24号証 1

項)さらに、パトロールは被告もいる前で原告に対して「(駐車場の被告の車まで

同行して)被告の免許証などで住所を確認しなくていいのか?」と原告にアドバ

イスしている。これは「パトロール隊が賠償の問題を生ずるケースでない」と断

定しなかったことを示している。(甲24号証 1項)被告はあたかも、事故発生

日に原告が軽症であることが確定していたかのように印象づけているが、それは

事実ではない。

 

3 平成15年16日は原告の怪我の治療方針が定まった後の最短の連絡日で

  ある

 事故発生日に受診した湯沢の角谷医師は仮の応急処置のみ施術し、治療方針は

地元の医師に委ねる判断をした。1月2日、3日の祝日に開いている病院もなく、

この年は1月4日は土曜、1月5日は日曜であったことから、松葉杖を早く手に

いれるために1月4日に診療している病院を捜すことでさえ原告にとってはやっ

とのことであった。1月4日にようやく診察している地元の病院を見つけ出し、

治療方針が定まった後、配達記録による書簡が投函可能な連絡日として1月6日

は最短の連絡スケジュールである。(甲26号証)

 

4 原告は状況の変化があった時には、すみやかに連絡している

 話合いに応じるよう依頼する定期的な連絡のほかに、骨折の旨の連絡(平成1

5年1月6日)手術が終わり退院した時(平成15年1月23日)、出勤を始めた

時(平成15年2月25日)、抜釘手術が決定した時(平成15年5月19日)、抜

釘が完了した時(平成15年7月7日)と状況が変わった都度、連絡をしている。

 

5 原告は怪我の対応で手一杯なため、連絡手段として書簡を選択した

  原告は怪我をしており、痛みなど健康状態のケアのほかにも、正月に診療し

ている病院さがし、松葉杖の入手、2階の寝室からベッドを1階の客間に下ろす

など原告のみならず、原告の夫も最低限の生活確保のために日々「てんてこ舞い」

の状況であった。この状況は手術が終わり抜糸するまで1カ月余りも続いた。こ

れら怪我への対応を優先した結果、被告への連絡は時間を気にせず行える書簡で

の連絡以外に手段がなかった。さらに2月ごろには原告開示の電話番号では原告

にアクセス不能なことが明らかとなっていた。また、電話での連絡は後日「言っ

た、言わない」という問題となることを危惧する原告らのビジネス習慣からまず

は書簡での連絡をすることがより望ましいとの判断も働いた。(現に原告申し出に

ついて曲解している被告に対し、書簡での連絡方法を採用したことは正しい方法

であったと原告は考える。)

 

6 被告自身の都合のよい日、都合のよい通信媒体のみを要求は自己中心的

 被告は平成15年1月24日の電話連絡の際、電子メールや携帯電話など確実

に連絡のとれる通信手段の開示を拒否している。現時点でも居住が確実ではない

実家の電話番号しか開示していないにもかかわらず、原告から事故当日の電話連

絡がなかったので話合いに応じなかったかのごとくの主張をしている。

 そのころ原告らは怪我のため苦痛を強いられ,その対応に忙殺されていたので

ある。事故からたった5日間経過した後の連絡だったことや、自分自身が望む電

話と異なる連絡方法だったからというような些細な理由をあげて、しらん顔をし

たことが正当であるかのごとくの被告の主張は自己中心的であり、いわば被告の

不誠実さの証である。

 

第6 原告報告の怪我の状況に不信感をもっていたため話合いをしなかったので

   はない

1 原告は被告が要求すれば医師の診断書を送付する旨申し出ている

 平成15年1月6日の骨折であった旨を被告に伝える書簡において、原告は「必

要であれば医者の診断書も送付する」旨申し出ているが、被告からの診断書提出

要請はなかった。(甲27号の1)

 

2 原告は被告に対し医師の診断書を同封し送付している

 平成15年1月23日の手術を受けた旨を被告に伝える書簡において、原告は

被告に対し、病名「右足関節外踝骨折」と11日に受傷、1月15日手術施行

記載のある診断書のコピーを同封し送付している。(甲27号の2、甲27号の3)

 

3 骨折が疑わしいとの被告主張は電話の際にはなかった

 「原告の診察に立合い担当医師より宣言されていないので、原告の連絡で骨折

をしたか信じなかった」と主張しているが、仮にそうであるとしたなら、平成1

5年1月24日の電話の際に被告が原告に対し本当に骨折なのかという確認を全

くしていないことは不自然である。

 

 以上の事実からわかるように、原告報告の怪我の状況に不信感を募らせたため

話合いをしなかったかのごとくの被告の主張は事実に反している。

 

第7 原告からのパトロールへの連絡依頼についても被告は無視している

 原告は、被告が「遊び場での事故に責任なし」との主張で話合いに応じないこ

とを神立スキーパトロールに伝え、一般論として、スキー場での事故でも賠償責

任が生じることをパトロール隊から被告に説得してもらうことを依頼した。その

求めに応じ、高埜氏が被告に対し被告提示の電話番号に何回か連絡をしたが、被

告本人と連絡がつかなかったとの連絡を受けていたため、平成15年2月25日

に原告から被告に送付した書簡(甲27号の4)では、被告に対し、「神立スキー

パトロールに被告から連絡して欲しい」旨依頼している。

 乙1号証6項で、「パトロールからの電話連絡の伝言につき気にとめなかった」

と被告は陳述しているが、衝突事故を起したスキー場のパトロールからの電話連

絡の事実を家族から聞き、さらにはその後の書簡にて、怪我をさせた相手からの

パトロールへの連絡依頼を受けているにもかかわらず、気にもとめなかったのだ

ろうか? 被告が誠実に対応していなかったことの証である。

 

第8 まとめ

 以上のように、被告が原告に対し交渉をもたなかったことへの弁明は事実に反

している。このことは原告から被告への書簡で証明できる。