原告

   お仕事は何をされていますか。

      ホームページを製作するウェブクリエーターという仕事をしておりま

      す。

   あとパトロール。

      あと週末休みのときに,現在は,なるべくボランティアのような形で

      行っております。

   スキーパトロールのお仕事もされているということですね。

      はい,そうです。

   パトロールの経験はどれぐらいですか。

      2004年1月からで6シーズン目ですので,事故のあった年は5シ

      ーズンです。

   主に,どちらのスキー場でパトロールを,その5年間されていたんでしょう

   か。

      ずっと,同じ神立高原スキー場です。

   では,神立高原スキー場のコースには詳しいですね。

      はい。

   本件,照会事項における証人の役割を説明してください。どのようなことを

   事故に対してなさったか。

      当時,事故のとき,私は現場に救助に参りまして,あと救護室に戻っ

      てまいりまして,そこで調書をとりました。

   救助と事故調査を担当されたということですね。

      はい。

   救助を担当されたということは,事故発生現場に行かれるということですか。

      はい,そうです。

甲第2号証を示す

これは,証人が作成されたのでしょうか。

      はい,私が作成しました。

   これは,いつ,どのように作成されたものですか。

      事故発生現場から救護室に行きまして,そこでAさんちゃありぃさ

      から状況を伺い,それでその場で作成しました。

   事故当日に作成されたということですね。

      はい,そうです。

   事故の起きた発生場所は,どこだというふうになっていましたか。

      ここにもあるとおり,プロキオンコースです。

甲第25号証の2(事故現場概略図)を示す

   被告のAさんは,甲25号証の2で図示した地点よりも,もっと下のボル

   ックスコースで事故は発生したと主張してるようなんてすが,そのような可

   能性はありますか。

      私が行った現場はプロキオンコースなので,ボルックスではないです。

   プロキオンコースのどのぐらいの位置だったかというのは,覚えてらっしや

   いますか。

      ここの絵には説明ないんですけども,カレーハウスの横に大中平リフ

      トの降り場かありまして,私そこから降りて,少し上るような形で現

      場に参りました。カレーハウスを横切ってですね。ですので,ボルッ

      タスコースに行くときは,そこから下に降りなければならないことに

      なりますので,ボルックスではないと思います。

   プロキオンコースのボルックスと接続するところよりも,上の位置で事故が

   起きていた,救援にいらっしやったということですね。

      はい,そうです。

甲第2号証を示す

   これには事故原因として,次のように書かれています。Aさん,つまり被告

Aさんですが,プロキオンから滑ってきて,左前方よりBさん,原告の

ちゃありぃさんが来るのを確認。ブレーキをかけてとまろうとしたが,間に合わず

衝突した。この記載は,主に被告のAさんからの視点で記載されています

が,証人の事故状況調書に対して,被告のAさんは,どのように事故の伏

況を説明したんですか。

   私が,どのような状態でぶつかったかを伺いまして,まず,大事なの

   は,Aさんちゃありぃさんを事故の前,どの位置で確認したかというこ

   とです。ブレーキをかけたのかと聞いたら,かけました,かけようと

   したとおっしゃいましたので,それには理由があるので,じゃどの位

   置で,ブレーキをかける理由を伺ったら,直前と答えました。それで,

   そこからどの方向で見たか,斜面下方,左前方になりますね,スノー

   ボード,レギュラースタンスですと左前方になります,その位置で石

   橋さんが出てくるのを見たと。それでブレーキをかけようとして,間

   に合わず衝突したということに,その現場で伺った形ですね。

まず,ブレーキをかけたが間に合わなかったというふうに,Aさんがおっ

しゃったと。

   はい。

その理由を証人が確認したところ,原告を見たんでというふうにおっしゃっ

たと。

   はい,そうです。

甲2号証の記載では,被告のAさんが,原告のちゃありぃさんをどの地点で発見

したかが非常にあいまいな記載になっていますが,見つけたのは直前だった

というふうに,その事故調査のほうではおっしゃったということですか。

   ブレーキをかけて,とまろうとしても間に合わない距離というのが,

   私の中で直前になりますね。それがたとえ何メートルであっても,そ

   の個人の能力の違いなんですけれども,スピードと能力の違いですね。

   間に合わない距離というのが,私の中で重要なポイントでしたので,

   ここに記入しました。

直前とおっしやったと。

   そうです,間に合わない距離ということですね。

事故調査の結果,被告のAさんと原告のちゃありぃさんの斜面での上下関係は,

どのようだったと理解しましたか。

   Aさんが上から,下にちゃありぃさんという状況です。

なぜ,そのように理解をされたんでしょうか。

   Aさんは,左前方にちゃありぃさんを確認したという状況で,Aさんは,

   それで上にいるということになりますね。

原告のちゃありぃさんが説明した,後ろから衝突されたという事故状況について,

事故調査の場では,被告のAさんは認めていらっしやいましたか。

   認められてましたので,ここに記入して,お名前,署名記入していた

   だいたと思います。

被告のAさんは原告にこの事故現場の調査の場では謝っておられました

か。

   そのときの雰囲気は,特にもめるような雰囲気ではなくて,すいませ

   んという形ですね。

被告は,準備書面1で,以下のように主張しています。左前方よりBさんが

来るのを確認,ブレーキをかけてとまろうとしたが間に合わず衝突したと記

載されていますが,自分は直進していたところ,相手が左肩口から突然あら

われ,自分の進路に進入してきたので,驚いてしりもちをつき,板を立てて

ブレーキをかけるようになったと説明したので,違うと言いましたが,パト

ロール隊の人は,左肩口より突然あらわれたというが,相手が来だのを見た

のだから相手を確認したことであり,しりもちをついたと言うが,ブレーキ

をかけようとして衝突したのだからと言われ,怪我も打撲程度であるうとい

うことで,特に賠償等の問題にはならない感じであったので,それ以上訂正

を求めるようなことはしませんでしたと。今言ったような,そのような訂正

を求められた事実はありましたか。

   いえ,ないです。

事故状況について,そのような訂正を依頼されるような,もめるようなこと

はなかったということですね。

   はい。

被告のAさんは,事故調査の場では,原告のちゃありぃさんが飛び出したとは言

っていませんでしたが,裁判になって初めて,事故の原因は,原告のちゃありぃ

んの飛び出し,かのごとくの主張をされています。このことについて,事故

調査の場で,証人はどのように判断をされましたか。

   飛び出しということ自体が,すごいあいまいな表現です。 自分が動い

   てて相手も動いてる場合,どちらも飛び出しに感じますので,そうい

   うのは,この衝突の事故には載せないように,私はしてます。そうい

   うあいまいな表現ではなく,どこにいたか,で,どうなったかを記入

   するようにしてますので。

たとえ,相手が飛び出しと言っても記入しない。この事故の場合,飛び出し

ってことはおっしやられたんですかね。

   は,記億にはないです。

先ほど,直前になって原告の人を見つけたんじやないかとおっしやってまし

たが,そんな直前に見つけたときに,飛び出しだったかどうかというのは分

かるんですかね。

   直前でブレーキかけてとまろうとしたけれども,間に合わない位置と

   いうのは,どちらも飛び出しに当たると感じますけれども,ただ,両

   方からなんですよね,それは。お互いですね。 どちらかが上にいるの

   が重要なので,下にいる人間は避けれないんですよ,スキー場の場合

      は。避けるのがすごい難しいんです。 しかも,斜面の下を見てます。

      体は横向いてたとしても,頭の向きでは後ろになりますので,斜面上

      方は。 というので,飛び出しというのはないと思います。

   飛び出しということ自体が,スキー場の事故では理由にならないということ

   ですか。

      私は,そう思います。

   原告のちゃありぃさんは,背後から衝突されたと事故調査の場で言ったと言

   っているのですが,その背後から衝突されたとの記載が,甲2号証には,な

   ぜ記載されていないのでしょうか。

      まず,左前方ということで,ちゃありぃさんから見れば右後方になる

      ので,それで背後を含めたつもりです。もう一つは,体の向きと頭の

      向きは,スキー場では常に変わっておりますので,その背後というの

      が頭にとって背後なのか,体にとって背後なのか,すごいあいまいに

      なりますので,こういう左前方,右後方という,私は表現の仕方をし

      ます。

   ちゃありぃさんが言っていたのは記憶していたが,左前方という言葉で,そ

   れを記載したということですね。

      すべて含めました,はい。

甲第3号証を示す

   この事故調査カードのJ欄,間接原因という項目には,以下の7つの原因の

   記載があります。 1つ目が技術未熟,2つ目が身体の不調,3番目が事故,

   被害者の不注意,4番目が相手,加害者の不注意,5番目が締め具不良,6

   番目その他,最後に不明ですが。この選択肢がありますが,この事故調査力

   −ドは,同じパトロール隊のF証人の同僚さんが記載していますが,事故調

   査を担当された証人は,この事故原因は,この選択肢の中では何だったと判

   断しますか。

      私も,相手の不注意だと思います。

相手とは,被告のAさんのことですね。

      はい,そうです。

   相手の不注意とした理由は何ですか。

      斜面上方から滑ってきたのに,下の状況を把握できていなかったとい

      う部分です。

甲第8号証の4を示す

   この平成15年1月25日,ファックスの事故状況確認についてという書面

   には,左側にマルがついていますが,マルはどなたがつけましたか。

      私,がつけました。

   マル印は,いつおつけになったんでしょうか。

      ファックスが届いた後,スキー場に私が手伝いに行きまして,そのと

      きにマルを私がつけました。

   日付は1月26日となっていますが,そのぐらいということでよろしいです

   か。

      そうですね。

   事故状況調査で記録していた項目番号に,このマルというのはつけられてい

   るんですか。

      はい,そうです。

   この項目で,原告のちゃありぃさんが背後から衝突されたという記載のある

   5項にマルをつけましたか。

      はい,つけました。

甲第19号証を示す

   これは,証人から,原告のちゃありぃさんに送付したメールですか。

      はい,そうです。

   4項に記載されていることについて,裁判では,被告のAさんは,自分は

   コースの右端をターンもせずに直進していたので,ターンをして自身の滑走

コースに入り込んできたほうが悪いというように主張されています。この点

について,事故調査の場での被告は,そのような説明をされてましたか。

   いえ,ないです。

原告のちゃありぃさんはターンをしていて,被告のAさんはターンをせずに直進

していたようですが,このターンをする,しないということについては,ど

う判断されますか。

   逆にターンをしないほうが,危険な行為だと思います。ターン自体は

   スピードを制御するためにするものですので,ターンをしないで滑り

   降りるというのは,スキー場では非常に危険な行為になります。

被告のAさんは,ある程度スピードは出ていたが暴走ではないと言ってい

ますが,この点について,証人はどのように判断しましたか。

   暴走かどうかは個人の能力によって変わりますが,スピードではなく

   危険を回避できるかどうかで,私は判断いたします。この場合,ちゃありぃ

   さんを確認したのに危険を回避できなかったということで,暴走とい

   うことに当たると思います。

暴走に入るということですね。

   はい。

スキー場のルールとして,斜面右端を滑走する場合,安全確認義務というの

は軽減されるのでしょうか。

   いや,全くほかと変わらないです。

下方への安全確認という観点から,被告のAさんは左足を前にするレギュ

ラースタンスのスノーボーダーなんてすが,斜面の右端を滑走する場合,注

意することはありますでしょうか。

   ほかの斜面を滑走する場合と全く同じです。注意する場所は同じです。

   ただし,右端なので,もっと斜面中央のほうに意識を向けないとなら

   ないと思います。

レギュラースタンスの場合で右端を滑る場合は,より斜面中央側の安全確認

が難しくなると,より注意しなければならないと。

   はい。

事故後もう1年以上もたっていますが,当時のことを非常によく覚えられて

いるように私は感じるのですが,スキー場のパトロールをされていると,多

分多くの事故に立ち会われると思うんですが,なぜ本件の事故についてよく

覚えられているのでしょうか。

   私は,スキー場に現在行っておりますのは,年末,お正月といった,

   そういった休みのときだけです。逆に言うと,非常にそういった事故

   にかかわることが少ない,ほかのパトロールよりも少ないことになっ

   ていますね。

何か事故の状況を確認するようなことがあったんでしょうか。

   その後にファックスが届きまして,それで思い出すということですね。

   もう一つは非常に自分の中では,現場に直接赴いていって,なおかつ

   救護室で調書を取るというのは珍しいことなんです。それで印象に残

   っておりました。

最初から最後まで,担当されるというケースが少ないということですね。

   はい,そうです。大概ほかのパトロールにパスというか渡したりして

   ますので。

本件事故の調査を担当した立場からお聞きします。被告のAさん,原告の

ちゃありぃさん,どちらが衝突を回避する責任があったと,調査をされて判断をさ

れましたか。

   斜面上方から来た,被告のAさんです。

その判断の根拠は,上方ということですね。

   はい,そうです。

あとは,先ほど甲3号証のとこでおっしやられた,前方不注意ということで

   よろしいでしょうか。

      はい,そうです。

   現在,被告のAさんは,この事故の責任がないというふうに主張されてい

   ますが,事故調査の結果からはどう判断されてますか。先ほどおっしやられ

   たように,責任はAさんにあるということですね。

      はい。

   本日,証言を引き受けていただいたのは,どのような理由からでしょうか。

      スキー場で,やはり安全に皆さん滑っていただきたいという観点から

      本日証言を引き受けました。それと,この事件を担当した私の立場と

      して,Aさんにきちんとした対応をとっていただきたいと思い,こ

      こで証言いたしました。

被告代理人

   年齢はお幾つですか。

      32です。

   パトロール隊になられたのは,何歳のとき。

      26です。

   パトロール隊の隊員になるには,何か資格があるんですか。

      特にないです。

   特にないんですか。

      パトロールの中では,その場に,だれか資格のある人間についてやる

      という形になっております。

   その資格のある人というのは,どういう資格のある人なんだろう。

      それぞれ民間の業者のパトロールの資格ですね。特に,何か法的な拘

      束力があるとか,そういったものではないです。民間が勝手に主張し

      ているパトロールの協会団体の資格です。

   あなたはボランティアということだけど,お金をもらってないということだ

ね。

   ほとんどお金をもらってないという形でしょうね。お給料は発生しま

   すが交通費が発生しないので,働いた半分は交通費でなくなります。

お金はもらってるんですか。

   はい,いただいてます。

じゃ,だれから雇われたことになるんですか。

   神立高原スキー場ですね。

パトロール隊になるきっかけは何。

   きっかけは,パトロールをやりたいということです。

パトロール隊員になるとき,何か講習でもあるんですか。

   ございます,ええ。

どんな講習するんですか。

   パトロールの先輩から講習を受けます。危険な行為がどういう行為か

   とか,そういったものです。

当時1月1日,パトロール隊には何人パトロール隊の人がいたんですか。

   はっきりは,その日のことは覚えてません。

1月1日のこと覚えてないですか。

   だから,何人というのは。大体何人でよろしければ答えられますが。

はっきりとは覚えてないのね。

   はっきりとは覚えてないです。

大体何人ですか。

   大体十四,五人でしょうか。

その当日,点呼とか何かするんじゃないんですか。何人パトロール隊員がい

るだとか,そういう点呼しないんですか。

   しません。

しないんですか。

   しない。

何人今日はパトロール隊隊員として出てると,小屋に常駐しておるというこ

とは確認しないんですか。

   しません。

1月1日,本件事故のときに出動しましたね。

   はい。

それは,だれの指示で出動したんですか。

   無線から入ってくる指示です。私たちは,普段コース上に巡回という

   形で回っております。それですので,無線による指示で,そのコース

   に近い人間が,その現場に行く形になります。

F証人は,パトロール小屋にいたわけじゃないのね。

   はい。

コース上にいて,無線が入ったんですか。

   はい,そうです。

それで,そこへ急行するようにというふうな連絡が。

   はい。

それを聞いたパトロール隊員が,何人かそこに向かうんですか。

   向かってます。

何人向かうとか,そういう指示はないんですね。

   ないです。

このとき何人行きましたか。

   恐らく三,四人だったと思います。

はっきりとは覚えてないのね。

   はい。

あなたが現場にたどりついたとき,その場に何人の人がいましたか。

   Aさんちゃありぃさんですね,と私です。

あなたが一番最初についた。

   はい,そうです。

その後に何人来たんですか。

   その後に,確実に分かるのは,1人は必ず来ました。

ほかには分からないんですね。

   ほかには,見ていません。

どういう救助作業をされました。

   ちゃありぃさんの容体を伺いまして,それで自力で降りれるかどうか,降り

   れない場合,ボートを呼びます。ボートを呼んで,ボートに乗せ救護

   室まで運びました。

ちゃありぃさんは,証人が到達したときは,どういう状態でいましたか。

   座ってました。

どのあたりに座ってました。

   コースの端です。

被告のAはどこにいましたか。

   コースの,その近くにいました。

座っていたの。

   立っていたと思います。

ちゃありぃさんは座ってたんですか,ただ単に。

   はい。座っていたというよりも,おしりをコースにつけておりました。

担架を呼んだんですか。

   ボートを呼びました。

ボートをどうして呼んだんですか。

   ちゃありぃさんに自力で降りれますかと伺ったところ,無理ですとのことで

   したので,ボートを呼びました。

コースから外れていたから,救助か難しかったというような記憶はないです

   か。

      難しいということはないですね。そういった記憶はないです。

   そのとき,三,四人で救助活動をされたんでしょう。

      はい,そうです。

   あなたが先頭に立ったのかな,パトロール小屋まで。

      はい,そうです。

   パトロール小屋に入ってから,自分で調書をとられた。

      はい,そうです。

   この調書をとったのは何回目ですか。

      全部で,合わせて,分からないですね,それは。

   この本件,平成15年1月1日以前に何回とったか覚えていますか。

      それが覚えてないから,何回目だか分からないという。

   かなりの多数回やってますか。

      多数回ですね。

甲第2号証を示す

   この事故報告書,どの部分をお書きになりましたか。

      日付,現場見取図,スキー場のコース名と事故状況です。あと搬送先

      と担当です。

   現場見取図,これは全部証人が書いたんですか。

      はい,そうです。

   図面はこのとおり,行ったときの記憶に基づいて書いたんですか。

      はい,そうです。

   この左端のほうに森みたいなのありますね。それでA,Bの通ってきた軌道

   もありますね。カレーハウス,この大中というのはリフトのことですかね。

      はい,そうです。

   リフトと平行したところでぶつかってるということですかね。

      そうですね。大体そのような形です。

   これは,全部書いたのね。

      はい,そうです。

   プロキオンコースというのも,ご自身で書かれたのね。

      はい,そうですね。

   救助行かれた中に,F証人の同僚さんという方も一緒に行かれた覚えある。

      は,ないです。

   F証人の同僚さんはないの。

      一緒に救助に行ったかは覚えてないですね。救護室にはいました。

   一緒に行ったかどうかは覚えてない。

      はい。

   一緒に行ったかもしれないし,行ってないかも分からないということだね。

      そうですね。

甲第3号証を示す

   これは,F証人の同僚さんが書いたんですよね。

      はい。

   これは,ここにボルックスコースって書いてあるんですよね。

      そうですね。

   どうして連うんだろう。

      まず無線連絡があったときに,事故の発生がボルックスコースだと無

      線が入りました。それでボルックスコースを探したところいなかった

      ので,プロキオンコースを見たところ倒れてましたので,ということ

      ですね。ボルックス,ボルックスと無線の中で何回も言ってるので,

      F証人の同僚は,恐らくボルックスと勘違いして書いたと思われます。

甲第5号証の1を示す

   これがゲレンデマップ,これがコース関係ですね。

      はい。

   この13というのが,ボルツクスコースね。

      はい,そうです。

   12というのは,このプロキオンコースね。

      はい,そうです。

   ここで,あなたは,やはりプロキオンコースだというふうに思われてるのね。

      はい。

甲第2号証を示す

   これリフトと平行する場所に,衝突した×というのは書いてあるんじやない。

      はい。

甲第5号証の1を示す

   プロキオンコースは,この大中リフトには平行じやないですね。

      でも,カレーハウスよりこっち側ですね。

裁判官

   カレーハウスより,下から見て左側。

      下から見て左側になりますね。ということはプロキオンコースですね。

被告代理人

   そういうふうに,あなたは判断したの。

      プロキオンコースは,ここまでなんですよ。

裁判官

   甲5号証の1のコピーを用意してますので,尋問調書に添付するために,証

   人に書き込んで,プロキオンコース,赤でちょっと最初書いてもらう。

被告代理人

   プロキオンコースは,どこまでがプロキオンコースだと思うんですか。

      私は,ここに電柱があります。ここから,ここまでですね。(赤く線

      を記載)

裁判官

   ちょっと書いたとこ見せてください。赤く線を引いたのが,プロキオンコー

   スの終点ということですね。

      はい,そうです。

被告代理人

   それでは,あなたが救助に行った場所はどこですか。

      この辺ですね。(青い×印を記載)

   青い×印のところが,あなたが救助に向かったところですね。

      はい。

甲第2号証を示す

   この図だとABというのが,このリフトと平行した場所に書かれていま

   すよね。

      点なので,平行にはならないですよね。

   ただ,この図だと,リフトと平行の場所にね。

      いや。平行というのは,線と線があって,それが同じときに平行です

      ね。現場は,点ですので,リフトと平行という表現にはならないと思

      います。

裁判官

   今,証人は,リフトは,まさにラインのリフトそのものをイメージして,恐

   らく答えておられるんです。今,被告代理人はリフトの終点の,これ大中平

   の終着駅を恐らく指しているんじやないかと思うんです。

被告代理人

   これは大中駅で下に向かって線が書いてありますね。

      はい。

   これがリフトの線でしょう。

      リフトの線です。

   だから,このリフト線と平行するところが,事故の現場じやないんですか。

      とにかくリフトから見える位置ですよね。

   プロキオンコースで,今回指示された場所ですけれども,この図と甲の2号

   証の図というのは矛盾はないと思ってますか。

      同じです。

   同じだと思ってる。

      はい。まずリフト小屋がここにありますね。リフト小屋が,この終着

      駅です,ここです。

裁判官

   甲5号証の1の写しを指しているんですか。で,リフト小屋を,三角になっ

   たところですか。

      そうです,三角。

   大中平のリフトの終点にあるリフト小屋。

      はい。その横に,若干黒い部分かあるんですけど,それがカレーハウ

      スですね。その向こうに現揚があると。

被告代理人

   この図面と矛盾はないというふうに考えてるんですよね。

      はい。

   甲2号証の報告書というのは,どういう目的のために作成されるんですか。

      それは,お互い,このときの状況を納得していただいて署名いただい

      て,後で問題が起こらないようにするためです。納得していただくた

      めに,署名していただいております。

   納得していただくために作成する。

      はい。

   この報告書というのは,ほかでどういうふうに利用されるんですか。

   今回の場合ですと,Aさんちゃありぃさんにコピーをしてお渡しし

   たという形ですね。

両方に,この事故現場を確認してもらうため,ないし事故の状況を確認して

もらうために作るんですか。

   それを確定させるためです。

それを,ほかの証拠として過去に使ったことはあるんですか。

   いえ,ないです。

この記載方法なんかについては,だれかに指導を受けましたか。

   はい,受けました。

だれに,どういう指導を受けましたか。

   パトロールの先輩です。まずは客観的に書けということですね。

客観的に書けというのは,どういうことでしょう。

   こうしたいとか,こうしようとしたとかはなるべく入れないようにし

   て,どこにだれがいて,どうなったということですよね。

どこに,だれがいて,どうなったかを,ちゃんと聞いたとおりに書きなさい

ということですね。

   聞いたとおりではないですね。

聞いたとおりじゃないの。

   聞いたとおりですと,だから主観が入ってますので,それをもとに,

   私が作成します。

衝突したとこは,当然見てないんだよね。

   瞬間は見てないです。

この甲2号証が作成されて,双方署名したんですね。

   はい。

これは,双方納得したということなんですかね。

   そうです。

この現場見取図を見ますと,このA,Bという人たち,これは,同じ点に平

行してあるんじゃないですか。前後関係が書いてないですね。

   どっちが前か後ろかですね。絵には入ってないですね。絵はだってぶ

   つかったときなんです。ぶつかる前の状況は,私は絵には入れてない

   ので,現場見取図ですので。そのぶつかった現場を伺って,それで私

   が現場に赴いた状況から判断して,ここに記入したということです。

A,Bという,ここの位置にいたんだというふうに,じゃ話は聞いたんです

ね。位置を客観的に聞いて記載すると言われたでしょう。

   はい。

A,Bは,こういうふうに,双方この位置にいたんだと,ぶつかる前は。

   いや,ぶつかった後です。ぶつかった瞬間です。現場状況で,説明を,

   どういうふうに行ったか。矢印でこう終わるんですね。

ぶつかったところって,この×のところぶつかったところって指示してるん

じゃないの。

   そうです。

だから,その前はAさんもBさんも,この矢印の,この位置にいたというこ

とで納得してたんでしょう。

   いえ,それは違いますよね。それは,こっちの事故状況で,これは現

   場見取図ですから。

だってあなたは,言われたとおり双方確認するように位置とか何か,一番大

事なとこだから,そこは聞いてそのとおり書くんじゃないの。

   位置は,こっちの事故状況に書いてあります。そのときの状況は書い

   てあります。で,見取図は,現場の事故発生現場の見取図を書きまし

   た。

あなたは,事故現場は見てないですね。

   私は見てないです。

この事故状況の文章を書かれてますね。

      はい。

   これは,本人たちが言ったことではなくて,あなたがそれを,こういうふう

   に表現し直したわけね。

      はい,そうです。

   双方の話を聞いて,あなたが書いたのね。

      はい。

   被告のAが言ったとおり書いたわけじゃないね。

      そうですね。

甲第3号証を示す

   これは,F証人の同僚さんという方が書いたのね。

      はい。

   現場に行ったかどうか分からないということね。

      はい。

   もしかしたら現場へ行ってるかもしれないということね。

      はい。

   先ほど,ボルックスコースだというふうに無線で指示があったと言ったでし

   よう。

      はい。

   本当に,そういう指示があったんですか。

      ありました。それで,記憶に,印象に残ってるんです。

   ボルックスだとだれが言ったんですか。

      その前に,だれかが,どこで事故があったと説明しなければ,パトロ

      ールはそこに出動できません。だれかが救護室なりどこか行って,ど

      の辺で事故が起きました。でも,スキー場に来るお客様はコース名ま

      で分かりません。大体どの辺,ポルックスあたりじゃないか,指さし

      た方向,それでポルックス付近で,ポルックスあたり,ポルックス上

      方,上のほうで事故発生という連絡を受け,現場に向かいました。

   だれが言いましたか。

      だれでしょうね。そのときに事務所にいた人間です。

   はっきりとは覚えてないのね。だれだかはね。

      はい。

   これは,F証人の同僚さんが書いたんだ。事故現場に行かない人でも書くこ

   とはあるわけね,先はどのお話だと。

      はい,そうです。

   これは,本人のちゃありぃさんから話を聞いたとおりに書くのかな,甲3号

   証は。

      はい,そうです。

   ただ,これだと,本件はスキーヤーとだれとの事故ですか。

      スキーヤーとスノーボーダーですね。

   ここのIのところは,スキーヤーと衝突というところにマルついてるね。こ

   れは間違いだね。

      そうですね。勘違いか間違い。F証人の同僚は,この時点でパトロー

      ルに入って,まだ数週間です。

   数週間だから,間違ったわけ。

      その可能性があります。どこか,その辺で間違えた可能性があります。

   F証人の同僚さんは入って間がないから,間違ったんだろうということね。

      はい。

甲第19号証を示す

   この下の文章は,F証人が全部書いたんですか。

      いや,違います。

   メールで,あなたはこれ返信したわけね。

      はい,そうです。

   自分で打たれた部分はどこ。

      私が確認して,それ修正して送ったということです。

   ちゃありぃさんのほうから送られたきたメールがあるわけね。それは,ほと

   んどこれと同じようなメールですか。

      電話での内容を,だからちゃありぃさんがまとめられて,それを私に

      送りまして,私がそれを見まして,読みまして,私はそんな表現はし

      ていないという部分とか,また,本当はこういう表現をしたかったと

      いうような部分を修正しまして,ちゃありぃさんのほうに返信いたし

      ました。

   これが,4月18日の電話での会話の内容ですね。

      はい,そうです。

   こういうのがちゃありぃさんから送られてきて,それに修正を加えて送り返

   したと。

      はい。

   以上の内容に相違ありませんというのは,F証人がつけ加えたの。

      はい,そうです。

裁判官

   ボルックスコースというのは,この大中平の高速リフト終点から始まるコー

   スなんてすか。

      ボルックスはそうなります。終点,その下からですね。

   その高速リフトを降りた人が滑るゲレンデということなんでしょうか。

      はい,そうです。

甲第5号証の1を示す

   事故現場として矢印が書かれてる,これは原告が書いたわけなんですけれど

   も,この矢印の下にちょっと黒っぽく線になっているのがありますでしょう,

   矢印に交差するように。これは何ですか。

      それは林です。

   その林の,この図面でいう右側を通るコースというのはあるんですか。

      大中平の上ですか,あります。

あなたは連絡を受けた後,この大中平高速4人乗りリフトを使って上に上が

った。

   はい,そうです。

そして,倒れてる人に気がついて,その方向へ向かうときは上った。

   若干上ります。

どういうふうな形,スケーティングか何かで上った。

   はい,そうです。

原告が,先ほど言った林の,この図面で言う右側のコースを通ってきたとい

う可能性は,まずないということですかね。

   下から見て右側のコース,ないです。

林の右側,そっちから来た可能性は,まずないだろうと。

   はい。

一番スキー事故の責任で大事なのは,ぶつかる直前どちらが上にいたのか,

下にいたのかということよりも,制動可能なところ,ぶつかるよりもちょっ

と前ぐらいのところで,どちらが上にいたのか,下にいたのかが一番大事だ

と思うんですけれども。その点については,何か確認しましたか。

   それは,どのぐらいの位置かということですね。ブレーキをかけだの

   か伺いまして,Aさんのほうに。で,かけたと。 ということは,そ

   れでぶつかったということは,ブレーキをかけてとまろうとしたんだ

   けど,とまれなかったんですかと伺ったところ,はい,そうですとい

   うことでした。

Aさんは,どういう滑り方で降りてきたのかについて,あなたに話をしま

したか。

   いえ,伺ってないと記憶しております。

衝突地点の位置なんですけれども,ゲレンデの下から見て一番左の端,コー

スの外れから何メートルぐらい右に寄ったところかは記憶ありますか。

      衝突時点では,記憶にないです。というのも,たしか移動したと伺っ

      た記憶がありますので。

被告代理人

   あなたが救助したときに,カレーハウスは見えたんですか。その現場から,

   あなたが救助したところから。

      そのときに見たかどうかという記憶はないですけれども,その瞬間で

      すよね。その場所では見える場所です。

   あなたが救助に行ったときに,そこでカレーハウスを見ましたか。

      見てないです。

裁判官

甲第6号証の1を示す

   そこに写真があるんですけど,建物が2つ見えますよね。

      はい。

   大きいほうの建物は何ですか。

      大中平リフトの小屋,リフト山頂。

   小さいほうがカレーハウスと呼ばれている建物ですか。

      はい。

                                   以上

 

 

平成16年(ワ)第387号損害賠償請求事件            

原  告  石  橋  裕  子

被  告  浅  井  高  行

 

準 備 書 面 1-

事故概要、事故原因に関する反論概要事故状況に対する反論

 

平成16年27

横浜地方裁判所 第6民事部 はB係 御中

 

原 告  石  橋  裕  子 印 

 

 平成16年4月22日被告作成準備書面の被告の主張する事故状況に対する原告の反論を述べる。

 

第1 本件事故の大要

 原告は、斜度のゆるやかな初級コースを、通常スキーヤーが滑るようなS字形のパラレルターンでゆっくり下方に向かって滑走していた。数ターン、コース斜面開始地点から約85〜100m下方にさしかかったところ、被告がゲレンデ上方よりスノーボードで直滑降し、原告の足首に被告のスノーボードを衝突させた。その際原告が受けた衝撃はあたかも全くブレーキもかけていないかのような猛スピードを思わせるような衝撃であり、その衝撃により原告の体は下方に約20メートル近くも突き飛ばされた。この衝突事故により原告は骨折という重症を負ったものである。

 

第2 被告主張の事故状況への反論

1 事故は原告の滑走ルートに被告が後方から突込んで来たことにより発生

 原告は急激なコース変更は全く行っておらず、一定のリズムのターンで斜面下方に向けて滑走していただけである。事故は、原告の通常のスキー滑走ルートに被告が上方(後方)から猛スピードで突っ込んで来たものであり、原告の飛び出しであるかのごとくの被告の主張は事実に反する。

 

2 衝突時の衝撃は猛スピードを想像させるほどの強度であった 

 衝突時に被告が受けたものすごい衝撃は、ほとんどブレーキもかけずにまっすぐ突っ込んで来たかのごとくの強い衝撃であった。尻餅を突きスピードが吸収された後の衝突衝撃であるかのごとくの被告の主張は事実に反する。

 

第3 原告の主張概要

 事故は、一定のリズムで通常のパラレルターンをしていた原告の滑走ルートに、被告が斜面上方(後方)から猛スピードで一方的に追突してきたものであり、原告に何ら過失はない。

 このことは、事故直後に作成された甲2号証、甲3号証、および甲8号証3で裏付けられている。また事故調査の場で、被告が原告の後ろから突っ込んだことと事故原因が被告にあることとを被告が認めて謝罪していたことにつき、新たに本件事故調査を担当したパトロール隊員の証言が新たに得られている。(甲19号証)

 

 被告は、事故後に原告に連絡をとらなかった理由について、事実を曲解し、原告の行動に問題があった為かのごとくの事実と異なる主張を行っている。これと同様に、事故原因についても事故発生直後は自分の非を認めていたにもかかわらず、裁判に至ってはじめて前言を翻し、原告に過失があったかのような事実と異なる主張を行っている。

 

 後方滑走者であった被告には、前方注意義務、衝突回避の責任がある。衝突を回避できないスピード超過状態であったことの他にも、一時停止し安全確認していない、斜面中央側を確認しずらい姿勢をとり続けた、という前方滑走者の発見の遅れを誘発するような行動をとっている。このことは被告陳述書で確認できる。

 

 以上の原告主張、反論根拠につき、下記の文書構成にて詳細を述べる。

(1)準備書面 -1-  事故概要、事故原因に関する原告反論概要(本準備書面)

(1)準備書面 2-  事故原因に関する原告反論(詳細)

(1)準備書面 3-  原告提出書証への被告指摘事項に対する反論

(1)準備書面 4- 「誠意のない対応」に関する被告弁明への反論