甲1号の1

                  陳 述 書 −1−

                         原告本人 ちゃありぃ

 

1.私は、昭和××年××××女子大学を卒業し、同年M電機株式会社に

入社し、22年間同社に勤務し、現在は同社設計システム技術センターに

所属しております。

 また別の電器メーカーに勤める夫と共通の趣味であるスキーが縁で結

婚し、以来○○年間夫婦で休みの度にスキー旅行にでかけており、年間に

30日程度スキー場に出かけ、スキーの技能検定級こそ取得しておりませ

んが、どのような斜面でも滑走可能な上級者と同様の技術を習得しており

ます。

 

2.事故の状況

平成1511日午後14時30分ごろ、夫とともに正月休みを利用し

て訪れた新潟県神立高原スキー場において、遅い昼食を兼ねた休憩の直後、

スキー滑走中、スノーボードで滑走中の被告に急に後方より衝突され、そ

れが原因で骨折(診断名:右足関節外踝骨折)を負いました。

 事故発生時の状況は以下です。

(1)   事故発生場所

 神立高原スキー場のプロキオンコース(初級コース)からポルックスコ

ース(初級コース)に繋がる、巾の広い、10度以下の緩斜面で、難易度

の低い初級者用のコースで事故は発生しました。(甲2号証 衝突・接触

事故報告書、甲3号証 傷害事故調査カードG欄)

(2)混雑状況

  事故発生時、ゲレンデは非常にすいており、具体的には私が滑走開始

した時点では前方2〜3百メートル以上、他の滑走者は見当たらない状況

でした。(甲3号証 傷害事故調査カードP欄)

従って、被告が仮に自身のスノーボードをコントロール可能な状況であ

ったとしたら、前方を滑走する私に衝突せずに、人のいない別の場所へ回

避することは十分可能であったと考えます。

(3)視界

 事故発生時、神立高原スキー場は晴天であり、視界は良好でした。被告

は、前方に滑っている私を容易に確認することが可能であったと推定され

ます。(甲3号証 傷害事故調査カードF欄)

 

また、衝突発生時の衝突事故状況に対する当事者の認識は以下です。

(1)ちゃありぃの認識

 プロキオンコース(初級コース)からポルックスコース(初級コース)

に入るところで私と夫は一旦停止しました。ここはT字路のようになって

おり、前方の斜面の一部しか確認できません。また、滑り出し部分は初級

コースの中では少し斜度があるため、安全確認のため、我々は一旦止まり

ました。(甲6号証 事故現場の写真、および、説明)

夫はポルックスコースを先に滑っていきました。

 私にとってはこのコースの難易度は低く、広く緩い斜面をゆっくり、ゆ

ったりした気持ちでスキーで滑り始めました。すべり始めるるとすぐに

(数ターンぐらいで)突然、背後よりものすごい衝撃を受けました。気づ

いたら自分は倒れており、板は両足とも外れていました。衝突した相手の

大丈夫かという問いかけに対し、「大丈夫でないみたい」と答えました。

 以上のように、本件の衝突事故は私にとって、唐突に我が身に襲った事

態であり、私が衝突事故が発生するまで後方から滑走してきた被告を認識

することは全く不可能であり、衝突を事前に察知し事故を回避することは

不可能でした。(甲7号証 事故状況図)

 このことは、事故発生直後に神立高原スキーパトロールが行った事故調

査でも「突然後ろから衝突されたため、事故の状況はわからない」と回答

しています。(そのため、この事故調査を記録した事故調査は私からの聴

取内容は1つも記載されておらず、被告の述べた状況報告のみ記載されて

います。)(甲8号証 衝突事故状況)

(2)被告の認識

  現地で事故直後に行われた神立高原スキーパトロールの事故調査時

に「前方に私が滑っているのを確認し、ブレーキをかけて止まろうとした

が、間にあわず衝突した。」と事故発生時の状況を被告は話しており、そ

の発言を元に事故調査を記録した衝突事故報告書が作成されています。

(甲2号証 衝突・接触 事故報告書、甲3号証 傷害事故調査カードJ

欄)

(3)事故調査担当者の認識

 私の救助および本件衝突事故発生直後の調査および報告書作成にあた

った神立スキー場パトロール隊は、双方からの状況ヒアリングの後に作成

した障害事故調査カードに、本事故の原因について、「相手(被告)の不

注意」と明記しています。(甲3号証 傷害事故調査カードJ欄)

 なお、衝突事故報告書(甲2号証 衝突・接触 事故報告書)では、

「左前方よりBさん(私)が来るのを確認」と記載されております。

これは、表現として不正確ですが、上記事故状況(左前方にいるBさん(私)

にスピードを出しすぎたAさん(被告)が急接近した状況を表現したもの

です。被告が後方から衝突し事故が起きたことは現地でのパトロール隊の

調査時に被告が話していることとと、同じ現地の調査時に私が「突然背後

から強い衝撃を受け転んだ」と話したことをパトロール隊に平成151

月25日に再度書面(ファクシミリ)にて確認し、事実関係を再確認して

もらっております。(甲8号証 衝突事故状況の5および13)

 

 また、以下の理由により、私は、衝突事故後の転倒が原因で骨折したの

ではなく、この衝突そのものが直接的原因で骨折したと考えています。

(1)板は2本とも外れた

 衝突の衝撃が強く、衝突と同時に板が外れ、1本は私が倒れた10メー

トル上方ぐらいに、もう1本は5メートル下方に飛んでいました。

 つまり、衝突時に私がうけた衝撃はかなり強く、被告がかなりオーバー

スピードだったことが推察されます。

(2)骨折箇所と同じ場所についたエッジ跡

  事故発生時に着用していたスキーブーツに骨折箇所と同じ場所にス

ノーボードのエッジ跡が残っています。(甲9号証 原告のスキーブーツ

の傷の写真)

(3)足首を骨折

 私の被った骨折は、ブーツの上部の骨折ではなく、硬い素材のブーツで

保護されたブーツ内の骨折です。(最近のスキー場での転倒による骨折は

ブーツが硬いためブーツ内部の骨折は少なく、ブーツ外での骨折が多いと

のことです。)

 

 従って、私は、本衝突事故は、被告が前方不注意で私の発見が遅れ、か

つ、プロキオンコースとポルックスコースとの間で一旦停止をしなかった

と推定される被告が自身のスノーボードをコントロールする能力以上の

スピードを出していたことが原因で発生し、また、私の負った骨折は被告

が私に衝突した衝撃が直接的な原因で発生したと考えています。

 

3.治療経過

本件障害事故による骨折により、2回の手術、12日間の入院、

および53日通院しました。この間の治療期間は186日です。

 また、ギプス等による固定期間は、69日、松葉杖使用期間は106日

であり、通院・入院による時間的な拘束のみならず、自力では動けないと

いう物理的な拘束は76日間という長期に渡り受けました。

(甲12号証 入通院日、その他の一覧)

 

治療の経緯概要を以下に記します。

神立スキーパトロール隊の簡易診断では捻挫であったが、事故当日、K整

形外科(新潟県湯沢町)にて捻挫ではなく骨折であることが判明し、応急

手当を実施し、帰宅しました。

 自宅付近のK病院(横浜市)の2度目の診察日に骨の転移(ずれ)が認

められ、手術が必要との主治医の判断から、総合病院である済生会横浜市

N病院に紹介転院しました。

 済生会横浜市N病院では、整復手術、抜釘手術の2回の手術を受け、合

12日間入院し、また処置のために13日通院しました。

 また、ギプスがとれてからリハビリのためにH医院に35日、さらに傷

口の応急処置等のために勤務先のM電機O診療所に3日通院しました。

その間の治療期間は、186日となります。(甲12号証 入通院日、その

他の一覧、甲13号証 診断書、甲15号証 医療費の領収書)

 

4.被害の重篤さ

 本件に係る損害は、治療費86万円、慰謝料170万円、休業補償104.4

万円(休業33日、家事労働休業18日)、代替交通手段利用のための交通

6.6万円、合計367万円です。

(甲10号証 賠償請求額、甲11号証 賠償請求内訳、甲12号証 入

通院日数、その他の一覧、甲15号証 医療費の領収書、甲16号証 医

療費以外の治療に関わる領収書、甲17行証 休業損害証明、甲18号証 

勤務・給与証明)

 慰謝料の請求根拠については、後の陳述書にて詳細を述べる予定です。

 

5.不誠実な障害事故加害者

 本件衝突事故発生の原因を作った被告に対し、怪我の状況報告と損害賠

償に応じるよう、おおよそ2カ月に1度の割合で書面にて依頼を行ってい

ますが、「スキー場での事故には賠償責任なし」との被告の持論を1度電

話で伝えてきただけで、被告が原因で私が被った災難に対し謝罪もなく、

損害賠償する様子がありません。

 その経緯や被告の不誠実な対応については、後の陳述書にて述べる予定

です。

 

 私は身体的、経済的、社会的にも損害を被っているにもかかわらず、被

告からは謝罪もなく、一般的に果たすべき責任を果たしていただくよう訴

える次第です。

 

平成15年12月31日

住 所 〒×××-×××× ちゃありぃの住所
氏 名 ちゃありぃ