褥創(ジョクソウ) 奮戦記  
褥創=床ずれのことです。褥瘡とも書きます。 私が出会ったサイトでは「治る傷」という意味で 「創」という字を使っているということでした

H15、春  骨折して歩けなくなってから、仙骨辺りに赤黒くなった楕円を発見する。
透析クリニックで診てもらうと、これは褥創とは違うのではないかということだった。
お尻の後ろ、割れ目の間、片側に出来ている。
出来る場所が、褥創と違うということであった。
私は褥創そのものを見たこともない。ただ、出来ると大変だ、出来ないように
するほうがいいんだ。ということ位しか、知らなかった。
その時はクリニックで手当てをしてもらっていた。薬はワセリン。ワセリンの名前を聞いたとき
古いなあと思った。いまどき、ワセリンかあ〜である。
でも、それで最初は直っていた。
お尻におおきなガーゼとバンソコウ。時々バンソコウの後が赤くなったけど・・・

なるべく乾燥させてください。
ドライアーで暖めるのも血液の流れが良くなるからいいですよ。

ところが、直ってもすぐ出来る。(直ったと思ったのはカサブタができたから。これが一番の
間違いだと後で解る)
マットレスは褥創の出来にくいというマットレスを借りていた。車椅子用も退院するときに
買い求めた。リハビリの先生の紹介だ。どこで、褥創ができるのだろう。

クリニックでは褥創なのか分からないようだったが、私は褥創と勝手に判断し
まず、原因を探そうとした。看護婦さんに聞いても、首を傾げるばかりだったが、出来ている場所
から見ると、寝ているときとは思えなかった。仙骨辺りに1箇所だったから。
これは車椅子?でも3,4万円かけたマットが敷いてある。では、送迎の車?確かにウェルキャブ
にしてから、助手席のクッションが硬い。
カーショップで低反発のマットを購入。
それでも、直ったと思うと出来るを繰り返す。全く同じ場所である。それに、その場所がだんだん
厚くなっていくようである。ただ大きさはずーっと同じ、T,5×2センチぐらいのものであった。

そのころの母はいつもお尻の痛みを訴えていた。透析クリニックでの食事のときも顔を
しかめるようになった。車でも、自宅の車椅子でも。
しかたがなく、母のベッドにいる時間を長くした。

しかし、これにも限度がある。クリニックで他の病院で診てもらう事をすすめられる。
迷っていたときだったので、渡りに船である。

もう9月になっていた。

自宅近くの皮膚科を受診。
そこで私は褥創の対処の仕方が違っていることを教えてもらう。
これは立派な褥創であること。
(仙骨より下の部分だけれど、皮膚がずれて座るとなるということだった)
乾燥させてはいけない。
(ドライアーで乾燥させていた・・・暖めてもいたんだけれど)

そこで受けた治療は閉鎖?治療法。
フィルムをそのまま、褥創部分に貼るというものだった。直接?
その時はびっくりした。
でもそのフィルムのおかげで褥創はとても良くなった。ただ、気になることがあった。
そのフィルムを剥がすたびに、おしりの角質も剥がれていくのである。
貼る場所が平らではないので、便をするたびにフィルムの隙間が汚れ、その度に
フィルムを貼りなおすことになるのだ。

そのころ、友人の紹介で褥創予防講習会に行く。
そこでまた私の間違いに気がつく。

フィルムの剥がし方を間違えていたのである。
普通のテープを剥がすようにテープに対して直角に引っ張って剥がしていたのである。
そうすることで角質を剥がし皮膚を傷めるのである。
時、すでに遅し。母のお尻はフィルムを貼った部分が赤くなっていた。おまけに、
カンジタ菌のおまけまで付いていた。
最初からやり直しだった。

その時から自分で、もっと調べなくてはいけないと思い、インターネットを使い
あちらこちらを漂っていた。

そこで出会ったのが、お医者さまのHPである。
繰り返し繰り返し、読んでみた。今までの方法があながち間違っていた訳ではないが
やはり貼り付けるフィルムには問題がある。先生はサランラップで良いと提唱している。
本当だろうか?

その頃、私は転んで捻挫をしてしまった。捻挫は若いときからの習慣性のもので
さほど気にもならなかったが、久しぶりにすりむいたひざ小僧に、閉口していた。
出来たかさぶたがひざを曲げるたびに、割れるのが分かる。母の介護をしていると
足を曲げないわけにはいかない。
どうしようか?その時思ったのがラップである。
私がやってみよう。
ラップを取り出し、少し大きめに切り、消毒もせず、薬もつけなかった。

あくる日、ラップから見える傷はまるで水浸し。こんなんでいいんだろうかと思いつつ
3日目、ピンク色になっている。ラップを剥がすと薄い膜が張っているけれど、かさぶたには
ならなかった。これはいいかもしれないと思った。
このとき、フィルムも貼ってみた。剥がすときが痛い。なるべく、フィルムに平行になるように
手前手前に引っ張る。すると、あまり痛くない。そして少しずつ剥がれていく。
やってみるもんだ。経験しないと分からない。
おばあちゃん、ゴメンナサイ!

母の褥創になりやすい部分をすべてチェックし直した。
@車椅子用のマットをエアーマットにした。(レンタル)
A透析中のベッドの上に低反発のマットを敷いた。40a×90a
  座いす用のものを購入
  食事中にお尻が痛いと言わなくなった。拘束されてベッドにいるのだから
  これが一番危険度が高かったのかもかも知れない。
B車にも低反発のマットを敷く。
  ヘルパーさんの送迎は車椅子ごとなので問題はない。
C車椅子の移乗はずらないように、持ち上げるようにして座らせる。
  一人はなるべく避け、二人で座らせるようにする。
D栄養のある食事をとる。
  母は透析があるのでたんぱく質の制限がある。
  たんぱく質は50グラムしか取れない。2週間に一度配れる検査結果を
  見ながら少しでも多く取るようにした。イエローカードがでるぎりぎりまで
  増やすことにした。

そして、靴擦れかかと用、ジェルプラスターを貼った。
  かかと用だけあって、お尻のくぼみにもナイスフィット。

靴擦れかかと用を貼るのには随分迷った。お医者さまのHPを信用しない
わけではないが、不安である。
自分で試したラップが決めてになった
ただ、ラップは母のお尻にうまくフィットしない。接着を避けるためにフィルムを二つ折りに
しても良いとかかれていたが、薄いシールを二つ折りにするのは難しかった。
しわが出来てしまう。
やはり、靴擦れ用しかない。

母にあうのはそれしかないと判断した。

貼った次の日、テープの中は白くなり、押さえるとぷよぷよしている。
周りはまだ黒くカサブタ状態。
でも、お尻から剥がれることもなく、いい感じ。

4日目、入浴のときに擦れたのか剥がれる。ゼリー状のものがお風呂に落ちていた。
褥創はびっくりするほどきれいになっている。肌はピンクになっている・・・
もう直った?まさか・・・
もう一度貼る。お尻を押さえてみたが母は痛がらない。(貼る前は押さえると
痛みがあった。)

もうじゅくじゅくしていない。今度は剥がすのは何時がいいのか迷ってしまう。
失礼かと思いながら、サイトのお医者様にメールを入れた。

びっくり!!返事が来た。
じゅくじゅくしなくなったら、剥がしても良い。
新しい皮膚を傷つけないように、ワセリンやストッキングで保護してあげてください。
褥創は乾燥させなければ、直るよ。

こんな先生が世の中にいたんだ、と思った。感謝、感謝である。

今、母の褥創はテープを剥がしワセリンを塗っている。
このまま、皮膚が厚くなっていってくれるといいのになあ〜

褥創のプレシャーは介護をした人は必ずあるのでは・・・私もその一人だった。
でも何とかなる。そう思ったら、肩の荷が下りたような気がした。
 
ラップ療法/開放性ウエットドレッシング療法

「これは、あくまでも私の個人的な経験です。ほかの方にそのまま当てはまるとは限りませんので、主治医と相談のうえラップ療法を実施することをお勧めします。ラップ療法のサイトでは、診断・治療は行っていないとのことです。質問のある方は、サイトの『掲示板』にお書きくださいとのことでした」

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