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越後百山 青田南葉山=あおたなんばさん(949m)
登頂年月日 2003/04/27 天候 晴 同行者 単独行 マイカー利用
南葉ロッジ(8.10)−−−青田南葉山(9.50)−−−南葉ロッジ(10.50)

潅木はすべて雪の下、梢の先も出ていない

青田南葉山は越後百山にも入っている山。ただし標高は1000メートルにも満たない低山。にもかかわらず存在感がある。日本海を間近にし、山麓には頚城の平野が広がるという立地にもよるのだろう。

4月も末近くではあるが、残雪が楽しめるかもしれないと期待して出かけた。
高速道を高田ICで下りて、料金所先の信号を右折、右手を注意して行くとすぐに“灰塚公民館”というバス停がある。その先を右折(角に小さなお宮さんがある)あとは道なりに南葉高原キャンプ場を目ざす。

南葉ロッジ手前の駐車場から歩きはじめる。コース案内板があるがよくのみこめない。舗装道を上へ向かうと、ちょっと下ったところに「二合目」という道標がある。右は藪に囲まれた雪の広場、左は雪の詰まった沢。どっちがコースかわからずにうろうろしたが、結局ブリッジ状の雪を越えて沢を渡る。
雪で道はわかりにくい。それらしい感じのところを、雪の重みで寝ている潅木を避けたりくぐったりして登ると道標がある。壊れていて方向がわからずに、ここでも行ったり来たりして少し時間をロスする。(ここでは考えずに山へ向かって右へ直角に折れればよかった)

しばらく歩くと平坦な夏道があらわれるが、それはほんのいっときだけ、あ
青田南葉山の山頂
とはまた残雪の上を行くようになる。広い斜面で、下山のときに間違えないかと不安になる。持ってきた目印の赤布を雪に立てて行くことにする。
雪は適度に締まっていて、アイゼンなし、ツボ足で問題はない。勾配が一気にきつくなってきた。潅木の間を縫ったりして、歩き良さそうなところを選んで、一直線に上へ上へと登って行く。緊張感も手伝って汗の量がいつになく多い。

ひょっこり“五合目”という標柱に出会った。だいたい正規のコースに近いところを歩いているのがわかって安心する。五合目から夏道が現れたり消えたりを何回か繰り返す。雪の消えたあとには、ショウジョウバカマやカタクリの花が賑やかに咲いている。
夏道は長くはつづかず、再び林床一面の残雪を行くようになる。知らぬ間に潅木は雪に隠れて、ブナなどの高木だけが雪面から出ている。ブナの根回りの穴をのぞくと、雪の深さは1メートル以上ある。残雪とブナ林、この景観は久しぶりだ。ぞくぞくして気持ちが高揚する。
滝のような汗を流してようやく急登を終える。30本ほど持ってきた目印の赤布が終ってしまった。傾斜が緩んで大きな斜面がつづくが、これからが目印がほしいところ。足跡が下山時まで消えないのを祈る。それにしてもGW初日の昨日あたり、入山者がなかったのだろうか。それらしい痕跡はまったく見当たらない。頼りになるのは自分のルートファインディングの能力だけ。低山だから事故などの心配はなくても、それなりに緊張はする。

傾斜が緩んだところで、妙高山方面が視界に飛びこんできた。山頂での展望が楽しみだ。広々とした雪稜を進むと、樹幹に赤テープが確認できる。かなり高いところに赤ペンキも見える。積雪4、5メートルという時期に、山スキーの目印にしたものだろう。
登りついた雪原が山頂かと思ったら、まだ先に高みがある。ブナの根もとの穴はさらに深くなっていて、優に2メートルは超えている。根もとの地面が見えない穴も多い。
ブナの根もとの穴は、深さ2メートル近くある
豪雪が想像できる。
この広々とした斜面は、山スキーで歩いたらさぞ気持ち良いだろう。よく見るとスキーの痕跡らしいものがかすかに認められる。スキーの痕跡に間違いないだろう。

山頂までのだだっ広い雪稜は、見た目以上に長かった。
この先に高みのないところに登りついた。そこが三角点の山頂のはずだ。その三角点は雪の下3、4メートルに眠っている。もちろん標柱なども雪の下、樹木もないこんもりとした雪の盛りあがった山頂だった。
無雪期には潅木などでほとんど展望はないというが、今は頚城三山の眺めが素晴らしい。春霞みで判然としないが、日本海が茫洋と広がっているのも望むことができた。

今日は気温が高い。ゆっくりしていると足跡が消えてしまう。
展望を楽しんであとは、同じコースを足跡を拾いながら下山にかかった。足跡は一部判別しにくくなっていたが下りは快適そのもの。赤布を回収しながら一気に登山口まで下った。

とても低山とは思えない豊富な残雪に、中級山岳を登ってきたような充実感があった。


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