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越後百山 海谷 鋸 岳=のこぎりだけ(1631m)
登頂年月日 2003/07/16 天候 濃霧・小雨 同行者 単独行 マイカー利用
長野自宅(4.30)−−−雨飾温泉(6.40)−−−1本目の沢渡渉(7.30)−−−稜線分岐(8.00)−−−鋸岳(8.50-9.15)−−花の写真を撮りながら−−分岐(10.00)−−−1本目の沢(10.25)−−−雨飾温泉(11.00)

山頂直下岩場のシロウマアサツキ

海谷山脈の山はどうもついていない。またもや天気予報にまんまと欺されてしまった。何が梅雨の晴れ間、結局霧雨の中を歩くことになってしまった。
2週間前、隣の山“駒ケ岳”へ登った日も晴れ予報にもかかわらず小雨だったし、以前2回登った雨飾山のときも天気はよくなかった。
山頂での展望を楽しみにしていたのにまたもや振られる結果の登山に悔いが残る。

4時半に長野の自宅を出る。登山口の雨飾山荘着6時25分。山は濃い霧に包まれている。霧というより“霧雨”と言った方があたっている。
ここから山へ登る人のほとんどが雨飾山目的、駒ケ岳へ向かう人はほんのわずかなものだろう。雨飾山荘前の道標には雨飾山と鋸岳が別の方向を指している。ところが雨飾山へのコースははっきりしているのに、鋸岳へはどう行けばいいのかわからない。行ったり来たりしてやっとわかった。
林道終点から山荘への上がり口は自動車進入禁止のロープ、手前に10台分ほどの駐車スペースがあるが、その奥、一段上がったところにも広い駐車場がある。奥の駐車場の沢沿いに小さな手作り道標が沢を指している。えっ、沢へ入るの?という感じだ。よく見ると対岸にも同じような道標が見える。この沢を渡れということだ。飛び石で対岸に渡り、護岸工事されたコンクリートを登ると、草むらに隠れるような細々とした踏跡がある。こんな頼りない道?また不安になる。踏跡を急登すると水平道になり、草の茂った道を左手にちょっと進むと、今度は立派な「鋸岳登山口」の道標が立っていた。

道標からは歩きいい道となる。乳白色の霧に沈むブナ林が、実に幻想的な景観を見せている。
天候は残念だが、この道ならもうルンルン気分で山頂・・・、そう思ったのは早すぎた。ブナの樹林を抜けると登山道は深い草に覆われている。草露にびしょびしょ、おまけに草の下は大小の岩、見えないために歩きにくいことおびただしい。何回も足を取られたり、登山道の縁を外して谷側へ足を滑らせたり、何だこれでも登山道か、なんて愚痴りたくなってしまう。

1本目の沢を渡渉。靴を濡らすことなく渉る。沢というより小さな滝の連続という感じだった。
沢を渉って急登するとすぐにブナの大木が1本、森の主という貫禄で太い幹を見せていた。10分ほどでまた小さな沢を渉る。相変わらず森の中は濃い霧が流れていて、視界はいくらもない。歩きにくい岩はなくなったが、ぬかるみあり、あるいは隠れた木の根に足を滑らせ、1時間20分かかって雨飾山との分岐稜線へ登り着いた。途中アップダウンがあるものの雨飾山荘からの高度差400メートル、コースタイム1時間30分と比較しても思いのほか時間がかかってしまった。結局道が悪いということだろう。テントを張れそうなスペースがあり、ブナの大木が目印のように数本立っていた。道標には雨飾山3時間、鋸岳90分とある。

分岐からは道が見違えるように良くなった。刈り払いされた直後で歩くのに邪魔な草木もいっさいなし。ようやく快適な稜線歩行に移る。
アップダウンしながら鋸岳へ向かうのかと予想していたが、ほとんど一方的な登りがつづいた。これでスピードも増してどんどん高度を上げて行く。分岐からは350メートルほどの高度を稼げばいい。

固定ロープのついた足場の悪い急傾斜の登りを繰り返すようになる。霧で広範囲を見渡せないが、高木は見えなくなり、千数百メートルとは思えない高山の雰囲気が感じられる。花も目につくようになる。イワオオギやシロウマアサツキの群落が広がる。山頂直下は鎖やロープにすがって緊張する岩登りとなる。緊張しながらも岩場に広がる花々、シロバナホタルブクロ、ミヤマママコナ、ミヤマウツボグサ、イブキジャコウソウ、ミヤママンネングサ、タカネナデシコなどを横目で見て攀じり終ると岩峰の鋸岳山頂だった。
分岐から90分のコースタイムのところ、50分しかかからなかった。
ガスで何も見えないが、足下岩壁の切れ落ちた山頂は素晴らしい展望台であることがわかる。ここから頚城や北アルプスの展望を期待して来たのにほんとうに残念。
三等三角点は斜めに傾いてしまっている。ほんの一瞬ガスが薄くなって、鎖で登ってきた急崖が見えたが、天気が良いとかなり怖かったかもしれない。

山頂のノートに記帳し、しばらく休んでから雨飾温泉へ下山、途中から霧雨が小雨に変わってしまった。
温泉で汗を流してから帰途についた。
 


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