echigo007    「山岳巡礼」のトップへ戻る  越後百山一覧表へ戻る

越後百山 日本平山=にほんだいらさん(1081m)
登頂年月日 1994.06.11 天候 晴 同行者 単独行 マイカー利用
自宅(2.45)===早川ダム(7.15-30)−−−駒ノ神(7.45)−−−金ケ谷渡渉(8.22)−−−トコヤ(9.25)−−−ガンが(10.05)−−−日本平山(10.22-10.45)−−−ガンガ(11.02)−−−トコヤ(11.30-11.35)−−−金ケ谷渡渉(12.12-12.15)−−−駒ノ神(12.50)−−−早川ダム(13.05)===白山登山口の慈光寺へ

一等三角点山頂
深夜2時45分、東京の自宅を出発。三条燕ICで高速道を降り、日本平山登山口の早川ダムへ向かう。村松町中心部を通り抜けて、早川ダムの標識を目印に、早朝の早川沿いを遡上、迷うことなくダム堰堤の駐車場に到着した。
7時30分、登山届をポストに入れて出発、ダム湖右岸の車道を行く。少雨のためかダムの水位が低下して、赤茶けた肌を剥き出していた。
車道は数分で終ったが、さらに延長工事の途中らしい。掘削中の土の山を踏み越え、急峻の岩壁に架けられた100メートルほどの桟敷橋を渡ると、その先からしっかりした登山道になった。湖面が少しづつ足下に遠ざかっていく。
7時45分駒ノ神着。大きな松や杉、ミズナラの木の下に小さな石祠がある。
ダム潮は険しいX字谷の早川をせき止めて作られている。この峡谷ダムは、両岸垂直にそそり立った岩の壁が、障壁のように取り囲んでいる。岩壁の中段を 削って細々とつけられた道は、高所恐怖症の人にとってはちょっと緊張するかもしれない。
迫力のある景観を楽しみながら、岩壁の道を上ったり下ったりしながら40〜50分歩き、ダムの末端近くで斜降、下り切ったところが金ケ谷の渓流である。コース中最適な休憩地でもある。

清冽な流れを飛び石伝いに渡る。ここまで約1時間歩いたが高度はほとんど稼いでいない。これからが本格的な登山道となり、急峻な登りがはじまった。ジグザグに急登して行くと、急斜面にヒメサユリの花がてんてんと見られる。透けて見えそうな薄絹に似た花びら、消え入りそうな淡いピンク、この花はまったく男ごころを引きつける要素がそろっている。
見下ろす湖面は、木々の緑を吸い込み、深淵な色あいは微妙に変化、さざ波が眩しく光をはね返していた。

岩壁をへつるような危なっかしい道をたどって高度を上げて尾根に登りついた。
急な尾根を25分ほど登ったところで、尾根を外れて右にトラバース気味に回りこみ、再び尾根に戻ったところで傾斜が緩んで来た。ここで初めて5分の休憩をとる。右手背後に残雪の粟ケ岳が頭を出して来た。明日登る予定の白山も見える。
ブナやヒメコマツの尾根を緩やかに登って行く。道はよく踏まれており、多くの登山者が訪れていることがうかがわれる。9時25分、トコヤ着。トコヤの意味がわからないが、ここは台地状の赤土の裸地になっている。鉱山跡のようだが、何を掘っていたのだろうか。ここには細々ながら冷たい水が流れていた。

トコヤの先は広い尾根となって、ブナの原生林に変わる。ブナ純林とでも言えそうなみごとな林だ。なだらかなブナ林帯を抜けた後、きつくなった登りにたっぶりと汗を絞られて、痩せた岩のピークに立った。10時5分、ガンガという露岩である。ここでようやく目前に日本平山を見ることができる。日本平山頂上より、このガンガの方が展望に優れている。まだたっぷりと雪を残した飯豊連峰、それに二王子岳。粟ケ岳等の川内山地、蒲原から越後の平野。ひとしきり眺望を楽しんでから、最後の登りにかかった。

ガンガから山頂まではわけないと思ったが、まだまだ先だった。さらに傾斜がきつくなった尾根を攀じって行く。潅木に体重を支えたりして頑張ると、ようやく勾配が緩み、やがて平坦に変わった。
平坦になったのに山頂がない。見通しのない潅木の中を進むと、東の端に切り開きがあって、ここが三角点の山頂であった。長らく気にかけていた一等三角点本標の日本平山々頂である。潅木で全体は見通せないものの、広い平坦な山頂であることがうかがえた。潅木がなければサッカーでも出来そうな、まさに大きく平な山頂であった。
山頂標示板の脇にプラスチックのビールケースが積まれて、展望の踏み台の役目をしているらしい。事実それに乗らないと飯豊連峰は望めない。
御神楽岳が切り開きの正面に聳えている。三角錐のその整った姿は名峰の名に恥じない。そして川内山地の後ろには守門岳と浅草岳もあった。

下山は同じ道を戻った。途中4組の登山者に出会った。予定よりやや早く13時5分、早川ダム駐車場へ帰着。ガソリンスタンドで教えてもらった“さくらんど温泉”で入浴してから、白山登山口のある慈光院へ向かった。


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