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越後百山 大源太山=だいげんた(1598m)

七ツ小屋山(1675m)・シシゴヤの頭(1473m)
登頂年月日 2007.06.14 天候 晴れ 単独 マイカー 三角点なし  地図・茂倉岳北西

旭原登山口(4.40)−−−渡渉(5.13)−−−尾根上(5.50)−−−大源太山(6.50-7.00)−−−七ツ小屋山(7.55-8.10)−−−分岐(8.36)−−−シシゴヤの頭(9.10-9.25)−−−旭原登山口(10.45)

大源太山山頂、左端はトマ・オキ、右は万太郎、仙ノ倉山方面

谷川連峰は西の平標山・大源太山から脊稜を起こして東へ向かい、主峰オキ・トマの耳からその脊稜は二本に分かれて北へと向きを変える。その北の端が七ツ小屋山・大源太山となる。

その稜線上にあるピークのほとんどはこの足で踏んできたが、北端に位置する七ツ小屋山、大源太山が未踏のまま残され、長いこと気にかかっていた。この2座にシシゴヤの頭を加えて3座のピークを訪れた。4年ぶりの谷川連峰である。

梅雨入り直前の好日を選んでの山行。深夜2時に長野を出発、国道117号線から17号線へ、関越湯沢IC付近で大源太方面への看板を見て、湯沢パークスキー場、青少年旅行村への道を走ると『大源太山登山口』の看板が見えてくる。ここから林道へ入り道なりに進むと終点が登山口である。

すっかり夜の明けた4時40分出発。平坦道をしばらく進むと金属製の橋で渓流を渡る。すぐ先に帰りに使う予定の『謙信ゆかりの道』コースが右に分岐している。渓流に沿った左岸の道を遡上して行くと、出発から30分余で飛び石を使って右岸へ渡渉する。増水時は水中の渡渉になるかもしれない。沢の岸辺を少し遡上するとコースは左手の支沢へと入る。ここから長い長い急登が待っている。道型ははっきりしているし、コース状況も問題ないものの、この登りはけっこうしんどい。たちまち汗がにじみ、帽子のひさしからはとめどもなく汗がしたたり落ちる。切れ目がないほどに、固定ロープがつながっている。ロープを利用して四肢を動員すると足への負担はだいぶ軽くなる。

谷川のマッターホルン、大源太山
胸のつかえるような急登が一段落して尾根上へ出た感じになるとほっと一息つける。美しい樹肌のブナが目につくようになる。ウグイス、カッコウの声が森閑とした樹林に絶え間なくひびく。そういえば託卵ということでカッコウとウグイスの関係を聞いたことがある。この森で聞こえてくるのはこの二種類の小鳥が主だった

いったん緩んだ勾配も再び厳しくなってきた。右手には七ツ小屋山と思われる山容がのぞめる。近そうに見えた大源太山も見え隠れしながらなかなか至近には近づいてくれない。コース沿いにはチゴユリ、コイワカガミ、イワハゼ、エンレイソウなどの花が楽しめる。高木の樹林を抜け出て展望がきいてきたが、それは山頂での楽しみとして足元へ目を落として山頂への足を運ぶ。
登山口からの高低差約900メートル余、途中で花の写真を何枚か撮ったが、ほかには休憩らしきものは無し、それでも所要は2時間10分、我ながら脚力の衰えを実感する


残念ながら大源太山には三角点はない。鋭く尖ったこの姿は『谷川のマッターホルン』という愛称を持っている。
展望はすばらしい。まず目を惹くのは残雪豊富な巻機山のどっしりとした姿、そして朝日、笠、白毛門と続く脊稜、大源太山から延びる尾根は七ツ小屋、武能、茂倉、一ノ倉、オキ・トマの主脈。さらに西に延びる万太郎、仙ノ倉、平標。その背後には苗場山や岩菅山など。巻機山背後の残雪の山は尾瀬の平ケ岳だろうか。
しばらく展望を楽しんでから、目の前に見える七ツ小屋山へ向かった。

鎖のフィックスされた岩場を慎重に急降下、そのあと七ツ小屋山への登り返しとなる。わけなく行けそうな感じに見えていたが、歩いてみるとけっこう時間がかかった。コル付近から大源太山を振り返ると、尖峰のその姿はマッターホルンの愛称にふさわしかった。樹木を剥ぎ取って裸にしたら、まさにマッターホルンかもしれない。シラネアオイの花がそこここに見える。


七ツ小屋山山頂、後方は一ノ倉岳、その奥がオキ・トマ
清水峠方面への道を分けて右に進むとすぐに七ツ小屋山の山頂だった。ここも360度の展望が広がり、三等三角点がある。三角点脇に腰を下ろして休憩方々しばらく展望に見入る。武能岳から一ノ倉岳方面への縦走路がよく見える。
これで谷川連峰の稜線上のピークはすべて踏んだことになる。
ケータイで妻に電話、ここまで無事の報告を入れる。

ピークを後にして蓬峠方面へ向かう。蓬ヒュッテ手前にシシゴヤの頭経由旭原登山口への道標が立っている。2万5千図には載っていないが、登山道として立派に存在しているということだ。
主稜コースと分かれてシシゴヤの頭へと緩く下って行く。小さなアップダウンはあるが、シラネアオイがコース沿いに頻繁にあらわれる。それにコイワカガミもまた何と多いことか。シシゴヤの頭までの道はさしずめ『シラネアオイの道』とでも名づけたいほどだった。

9時10分、シシゴヤの頭で最後の展望を楽しんで15分の大休憩。山頂には三等三角点もある。山名がシシゴヤの頭などとなっているのは、一人前の山として認められていないような印象を受けるが、そんなことはなく、押しも押されもせぬ一峰としての存在感のある山である。

シシゴヤノ頭
ここから登山口への下りに入る。高低差800メートルほど、普通なら40分か45分あれば下ってしまう高低差だ。そう思って下りにかかったが、この道は意外に緩やかに出来ていて、几帳面なほどに丹念にじぐざぐが切られている。足への負担は小さいがその分高度差が稼げないということになる。
ツバメオモト、コイワカガミ、ミツバオーレン、イワハゼ、ミヤマカタバミソウなと亜高山帯の花がたくさん咲いている。ウラジロヨウラクもツボミを開きはじめていた。

樹林帯へ入ると大きなブナが目立つようになってきた。道は相変らず緩い勾配のままだ。これが『謙信道』、その昔兵馬が歩くのに作られた道なのだろうか。

結局シシゴヤノ頭から登山口まで1時間20分もかかってしまった。


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