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 富士ノ塔山(998m)

長野県 2003.02.21 単独 マイカー
コース 平林集落手前(10.00)−−−平林(10.08)−−−林道終点(10.35)−−−尾根上(11.00)−−−富士ノ塔山(11.30-40)−−−林道終点(12.25)−−−駐車場所(12.35)
長野市郊外、低山スノーハイク
無垢の雪、コースを見さだめながら

長野市西部に位置する低山。長野市中心部からは前山に隠れて見ることができない山。
陽がさしていて良い天気になりそうな気配に、小さな山でも一つ登ってこようかと思い立って出かけた。

長野市内から国道19号線を走り、小市西信号を右折、ゴルフ練習場の先で右手に上がって行く道がある。富士ノ塔山の道標も立っている。この右手の道へ入ると急坂の雪道、四駆に切り替えてそろそろと走らせる。すぐに戸数数軒の平林という小さな集落となる。いかにもうら寂しく隠れ里という雰囲気のたたずまいである。登山口はこの先まだ林道を走ることになっているが、雪で無理のようだ。

平林集落の徒歩5分程手前の路肩に駐車。
集落の途切れた先から林道となり、雪は降ったままの状態で轍のあとも、足跡もない。30分ほどて林道は終る。杉林の林床は一面雪に覆われて、コースの様子がわからない。頼りの道標もない。見当をつけて杉林の中を進むと、すぐにそれとわかるコースとなった。杉林はすぐに終って冬枯れの落葉樹林へと変る。  

この時期、こんな名もない低山へ登りに来る物好きはいないのか、雪の上には人の歩いた形跡はまったく見当たらない。あるのはシカやタヌキの足跡だけ。一昨日の雪が落葉樹の枝や幹に付いたままだ。物音一つしない。人里近い山なのに、深山の趣さえある。冬の山だからこその趣である。これを静謐というのだろう。  
一昨日の新雪の下には、クラスト雪が隠れていて歩きにくい。数センチの新雪だけなら足先で抵抗もなく蹴飛ばしていけるが、下のクラストした雪が厄介ものだ。
山道へ入って約30分、尾根上に出た。天気の読みを見誤って上空は雪でも降り出しそうな雲に覆われてしまった。山は見えず、千曲川の蛇行する川中島あたりが見下ろせるのみ。深くなってきた雪道の尾根は、思いのほかエネルギーを消耗する。汗がたらたらと流れる。突然金網の囲いに突き当たり、その先で車道へ飛び出してしまった。コンクリートの階段を30段ばかり上がり、笹の頭だけが見える深い雪の中を、道らしい形跡を追って10分も進むと、小平地に四阿屋が見え、鳥居が立っている。  
鳥居をくぐって、本来は階段になっているらしい雪の斜面を上がると山頂だった。雪で覆われた山頂には年月を経た浅間神社の社殿や、富士ノ塔山の案内看板、展望盤などがあり、南面と北面には展望台が設置されていた。この山はのろし台としての役目を果たしていたという。  

展望盤には北アルプスをはじめ、360度の山岳展望が記されていたが、樹木が茂って、晴れていても南面の志賀、浅間、根子岳などと、北面の一部飯縄、戸隠なとがのぞめるだけかと思われる。
雪道の下山は早かった。1時間半かかった登りを、50分で下ってしまった。  小さな山だったが、ちょっとしたスノーハイク気分を味わえた2時間半だった。
 
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