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東 山=ひがしやま(1849m)

長野県 2003.11.18 永井氏 マイカー
コース 自宅(6.00)===奥裾花駐車場(7.10-7.40)===ミズバショウ園登山口(7.550-8.00)−−−休憩(8.42-8.50)−−−稜線(9.00-9.05)−−−中西山(9.30)−−−1629mピーク(10.00)−−−1840mピーク−−−東山(11.10−11.40)−−−1840mピーク(12.30-12.45)−−−中西山(13.20-30)−−−登山口(14.20)
東山(永井氏撮影)

山友の永井氏から電話がかかってきた。「明日は天気がよさそうだから、信州百名山最後の東山へ登ってしまいたいが同行できないだろうか」というものだった。
特に予定がなかったので一も二もなく快諾。

長野市内は氷点下の冷え込みとなったが、天気は上々、待ち合わせの奥裾花駐車場で合流。いつもは閉じられているこの先のゲートが、ラッキーにも開放されていて、ミズバショウ園手前まで車で入ることができた。これで車道40分の歩きを省略。

車道を挟んでトイレの反対側に登山道入口がある。以前はここに「中西山」の道標が立っていたが、どこかへ消えてしまった。水路の溝に3本の丸太が架かっている。ここから登山道へ取りつく。落ち葉の道は遊歩道並に整備されている。ふた抱えもありそうなブナの大木が立ち並ぶ美林の中を気持ちよく登って行く。10年前に東山へ登ったときは残雪の上だったが、そのときとは雰囲気はまったくちがって穏やさが漂う。
汗の滴をしたたらせて約1時間で稜線へ登り着く。残雪期ならここから東山までは大展望の縦走となるが、この季節は背丈の笹が邪魔になる。それでも頚城や戸隠、北アルプスなどが垣間見える。
登山道には足跡が残るほどの薄い積雪があるが、歩行には支障はない。

稜線を30分近く登れば中西山のピーク1741mで、ここには三等三角点がある。残雪期には見るとのできなかった標石を確認する。高妻山、戸隠連峰の眺めが良い。高さでは目指す東山に108メートル低いだけ、見た目にもたいした距離はなさそうだが、ここから東山までが見かけの倍以上もあって、歩いてみるとたやすくないのがわかる。

一息入れて先へ進む。
稜線の道も笹や潅木が刈り払いされていて歩きやすい。稜線は次第に痩せてくる。たいした雪ではないが、両側の削ぎ落ちたヤセ尾根は慎重を要する。小さなコルを一つ渡ってから急登にかかる。潅木につかまり、ロープにしがみついて這い登って行く。雪の下に隠れた木の根などに滑ったらおおごとだ。細心の注意で岩場の急登をクリアすると大展望台の1840メートルピークに立つ。山頂には三角点標石と見まがう境界標石があり、ここを東山ピークと勘違いするケースもあるようだ。高さも東山より9メートル低いだけだ。
鋭い三角錐のピークは展望抜群。先行の男性が一人展望を楽しんでいた。我々も立ち止まってしばしこの展望に見入るが、先ずは東山ピークを踏むのが先決。
視野にかなり近づいてきた東山を目指して歩を進める。残雪期には恐怖で下った急な斜面も、今回は夏道を伝って難なくコルまで降りる。標高差100〜150メートルという大きなコルだ。

コルから最後の大きな登りを攀じり終ると、東山はもう目の前、2、3センチの雪を踏んでさらに小さなコブを越える。
待望の東山ピークへの最後の登りを、永井氏はこれまでの99座の足跡を反芻しながら足を運んで山頂に立った。がっちりと握手。おめでとう!
残雪期にはめくるめくような大パノラマが広がっていたが、背丈ほどの笹が邪魔になって展望はいま一つという感じだ。二等三角点を確認し、山では禁酒を守っている二人も、このときばかりは永井氏持参の缶ビールでおめでとうの乾杯。美酒が胃に染みとおる。10年前、一人雪に覆われたこの山頂に立ったきの感激がよみがえるとともに、今達成の感激に浸る永井氏の胸の内が伝わってくるようだ。
10分もすると寒さがじわじわと染み入ってくる。記念写真を撮ったりしてから、展望の良い1840mピークまで戻ることにする。

雪のヤセ尾根は、一層注意を払いながら慎重に足を運ぶ。次に雪が来たら、一般登山者を寄せつけない厳しい山に変わることだろう。登りと同様、足にこたえる急登を踏ん張って1840メートルの三角錐ピークに登り返して、今度はゆっくりと展望を楽しむ。白馬三山は目の前の至近距離にあって、白銀も眩しく峻烈とした冬姿のなんと美しいことか。犬ケ岳から朝日、白馬、鹿島槍、そして穂高、乗鞍岳へと延びる連嶺、火打山、焼山、金山、雨飾山など頚城の山々、岩稜を威丈高に見せつける戸隠・高妻山。
遥かに浮かぶ八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスなど。
展望に満足したあと、下り一方の下山の途は足も軽かった。
下山後、鬼無里温泉で汗を流し終ったころ、鬼無里の村は陽が傾きはじめていた。

▼中西山三角点から東山三角点まではいくつかのピークがあり、中でも1840mのピークは目立つ三角錐で、ここを東山と間違えることもあるようです。東山三角点はここからさらに30分〜40分を要します。
▼この山は登山者は少ないと思いますが、雪の来る前なら、登山道の整備は良いし、何の問題もなく登れる山です。展望を楽しむなら、北アルプス、頚城山塊などに雪のあるときが絶好です。 
1994.05.07 東山・堂津岳日帰りの記録はこちらへ(残雪期)
 
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