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米子 奇妙山=きみょうさん(1629m)

長野県 2004.04.21 単独 マイカー 三等三角点
コース 米子滝駐車場(7.15)−−−学校跡・四阿屋(7.40)−−−奇妙滝−−−石仏入口(8.00)−−−石仏−−−稜線(8.55)−−−奇妙山(9.20-9.35)−−−石仏(10.10)−−−奇妙滝−−−学校跡地−−−滝見館往復−−−駐車場(11.10)
残雪の稜線を行く
長野市近郊に奇妙山という山が二つある。一つは長野市松代町にある奇妙山、もう一つは須坂市米子瀑布付近の奇妙山で「米子奇妙山」と言って区別している。
その米子奇妙山へ登った。

須坂市内からは米子瀑布への道標が丁寧に設置されているので、この道標にそって行けばいい。林道入口には積雪のため通行不能の看板があったが、最奥の駐車場まで問題なく入ることができた。

駐車場から滝見物の遊歩道へ入り、左に小社を見て小さな橋を渡ると道は二分する。直進する遊歩道と分かれて、左の石段道へ入る。20数分の登りで広い平坦地に出る。以前硫黄採取の鉱山が活況を呈していたころ、この平地には学校や映画館もあったという。日本の滝百選に選ばれた米子瀑布のニ条の滝が正面に望める。滝壷付近はまだ氷の塊となっている。真冬にはきっと氷瀑となっているのだろう。

平坦地から左手方向への車道を、下り勾配に少し行くと奇妙滝がある。さらにカーブしながら緩く下って行くと「奇妙石仏」の道標を見て石仏への山道へ入る。すぐに「清の水」という細い流れがあり、大岩が現れてその上に年数を経た石仏が座している。
カモシカがじっとこっちを見ている。考えこむようなその風貌は、山の哲学者というにふさわしい姿だった。

道はここまで、この先からは藪の中をルートファインディングしながら登ることになる。
石仏の手前で右手の藪の中に目印のテープが見える。ここから藪へ入る。笹や雑木を分けながら稜線を目指して行く。黄色テープ、青テープなどの目印しを追って行く。わかりにくいところには帰りのために持参の赤布をつけて行く。右に見える沢状の地形を一つの目途にして、その左の尾根あたりにルートを取って行くのが分かりやすそうだ。
藪は目隠しするほど密ではないのでテープを探すのにそれほど苦労はしなくてすむ。

勾配が急になってくると、笹や潅木に掴まりながら直上して行く。藪漕ぎ1時間近く、汗を滴らせて稜線に登り着くことができた。
稜線に出れば踏跡があるかと期待したがそれらしいものはなく、左手にわずかに進んだところが松に囲まれた小さなピークになっていた。展望は米子滝から根子岳方面がわずかに開けているのみ。境界標石が埋められているが果たしてここが奇妙山の山頂だろうか。手製表示一つない。樹木を透かして見ると北側にもう一つピークらしいものが見えるのでそこまで行ってみることにした。

北斜面のために残雪がある。稜線を外さないように注意しながら鞍部へ下る。テープ類はまったく見えなくなった。ということはさっきのピークが奇妙山かもしれないが、あとで後悔したくないので、とにかくさっき見えたピークまで行くことにした。
残雪に足跡が残るので目印を残す必要はない。笹の背丈が高くなり、藪も濃くなって見とおしが悪くなってきた。強引に漕ぎながらひと登りすると、林床を笹に覆われた松やダケカンバの樹林帯となり、台地状の広がりはどこがピークとも決めかねる。
境界標石のあった先ほどのピークと、このダケカンバのピーク一帯が奇妙山というのではないだろうか。どっちの方が高いのか、三角点はどっちのピークにあるのか、判別することはできない。高さはほとんど同じかもしれない。あるはずの三等三角点を探すすべはなかった。

人一人座れるほどの笹の隙間に腰を下ろして休んでいると、近くで藪がこすれる音がする。クマでは?緊張する。10メートルとは離れていない。雰囲気は小動物ではない。しばらく様子を探るが遠ざかる様子はない。静かにしているべきか、音を出すべきか。思いきってクマよけの鈴をジャラジャラ鳴らし、歌を唄ってみた。やがて去って行く気配がして安心する。

樹間からわずかに望める根子岳などを眺めてから同じ道を忠実に引き返した。
稜線から石仏までは目印テープを追って一気に下ってしまった。

帰りは滝見館付近の展望台から滝を観賞、さらに頚城山塊や北アルプスの全山展望を目にすることもができた。
 
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