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志賀高原 小坊寺山=ぼうでらやま(1826m)

長野県 2005.04.06 単独 マイカー 三角点なし
コース 石の湯手前に駐車(8.40)−−−石の湯(8.45)−−−小坊寺山(10.20-10.35)−−−石の湯(11.10)−−−駐車地点(11.15)
小坊寺山頂にて背後は笠ケ岳
≪厳しい雪上登山≫

目標は坊寺山だったのに、登り着いた山頂は小坊寺山。
4月に入って雪も締まり、苦もなく山頂へ立てると考えて出かけたのは甘かった。結果はそんなに簡単なものではなかった。

蓮池から熊ノ湯方面へ向かい、木戸池の先「平床」で右折して石ノ湯へ。石ノ湯の少し手前に駐車スペースがあったのでここへ車を止める。
石ノ湯ロッジまで徒歩数分、目の前に黒々としたピークが3つほど並んで見える。どれが坊寺山だろうか。背格好は似たようなもので区別がつかない。ロッジの先で橋を渡り広い雪原へと入って行く。
道標があるのかもしれないが、まだ雪の下だろう。
山へ取りつくには雪原の中の流れを渡らなくてはならないが橋があるのかないのか、行ったり来たりして渡渉点を探す。雪上にわずかに頭を出した標を見つけた。落下した橋が雪を載せている。おそるおそる渡る。

しぱらく雪原を進む。雪の締まり具合はまだ甘くて、ズブズブと沈むがワカンはまだ着けない。足跡のたぐいは皆無で感だけが頼り。
とにかく尾根上へ登ることが先決と考える。そのあとは尾根をたどって行けば山頂へ行きつくだろう。
黒木樹林の急斜面へ取りついたがなかなか登れない。一歩出してもそのままずり落ちてしまう。低潅木は雪の下、たまに出ている木につかまって腕力で体重を引き上げる。尾根まで頑張れば何とかなるだろう。早くも滝のような汗。やっとの思いで明るい尾根に出る。勾配も緩み、これで順調に山頂へ向かえるだろうと楽観。

ツボ足では太ももまで沈むようになる。ワカン装着。いくらか歩きやすくなるが、それでもまだ沈んでしまう。
ほっとしたのもつかの間、尾根は黒木樹林の中へつづき、とんでもない急勾配になってきた。半端な勾配ではない。膝で雪を崩して一歩上げてもそのまま下へずり下がってしまう。滑落も怖い。樹林だからどこかで止まるだろうが、無傷ではすむまい。

見えるのはカモシカらしい足跡だけ。テープ、赤布もゼロ。だんだんと不安になってくる。あの木まで登ったら戻ろう。今度こそあの木のところで・・・。何回か繰り返しているうちに行く手の先に青空が見えてきた。ピークは近そうだ。水を浴びたような汗を流してとうとうピークに登り着いた。
コメツガの木に「小坊寺山・信州山学クラブ」のプレート。あれっ?坊寺山へ登るはずだったのに小坊寺山とは。このピークは坊寺山三角点の南方、地図上の1826m観測点だった。とにかく苦労してたどり着いたピーク、本命の坊寺山には13メートル足りないがそんなことはどうでもいい。とにかく満足感は十分。疲れきってさらに坊寺山へ足を延ばす元気はなかった。

山頂の積雪は2、3メートル、動物の足跡一つない無垢の雪、展望も素晴らしい。志賀のシンボル笠ケ岳が目の前、それに横手山、志賀山など。北には高社山、鍋倉、妙高、天狗原、黒姫、高妻、飯縄、戸隠・・・・。北アルプスは春霞に融けこんでいるのが残念だった。

急斜面の下りは、登り以上に恐怖感があった。一度スリップして数メートル流されたが無事に止まることができてヤレヤレ。自分の足跡をたどって慎重に石ノ湯へと下った。


夏道があるかどうかは不明。残雪期でもこの山に登る人は少ないと思われる。 もう少し雪が締まってくると、アイゼンで比較的楽に登れるかもしれない。機会があったら次は坊寺山三角点へ残雪期に登ってみたい。


2006.04.01の坊寺山はこちら  
 
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