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旭岳=あさひだけ(2867m)・白馬岳=しろうまだけ(2932m)

長野・富山県 2005.08.04 単独 マイカー 白馬岳 一等三角点
コース 長野自宅(2.00)〓猿倉駐車場(3.15-4.10)−−−白馬尻(5.00-5.05)−−−避難小屋(6.50-6.55)−−−村営宿舎(7.35)−−−旭岳(8.10-8.30)−−−白馬岳(9.20-9.30)−−−村営宿舎(9.42-9.55)−−−避難小屋(10.20)−−−白馬尻(11.30-11.40)−−−猿倉駐車場(12.20)〓〓〓帰宅(14.00)
ゴバイケイソウの咲くコルから見た旭岳
旭岳・・・標高順位39位の山・日本の山1000

標高順位39位の旭岳登頂と、久しぶりで白馬のお花畑を見たくて日帰り日程で出かけた。
白馬岳は5回目となるが、往復とも大雪渓コースをとったのは今回が始めて。7年前に清水岳(しょうずだけ)へ登ったとき、旭岳へ登ろうという気はまったくなくて、ピークをかすめて通過してしまった。その後標高順位39位の山ということ知り、いつか登っておきたいと宿題にしてあたためてきた。

少し行程は長いが一泊するほどのこともないと判断、日帰りの早駈け日程を組んだ。コースタイム通りに歩けば11時間半ほどの行程、少しペースを早めて歩けば問題なく歩けるはずだ。

猿倉駐車場で白みはじめるのを待って出発。しばらくライトを照らして歩くがすぐに明るくなってきた。白馬の稜線がきれいに見えている。どうやら登山日和にあたったらしい。
白馬尻まで50分、大雪渓が見えてきた。白馬尻小屋は雪崩れで倒壊し、少し位置をずらせて建てかえられていた。雪渓に乗るまで10数分登る。

白馬尻小屋に泊まった人が何人か雪渓を登って行くのが見えるだけ、登山者の行列の出来るのはこの後だ。ここで軽アイゼンをつけて雪渓に入って行くのだが、この雪渓でアイゼンを使用したことはない。靴は20年も前のズック同様の靴。
雪渓に入ると冷蔵庫にでも入ったような寒気に包まれる。半袖では寒いが歩くには寒いくらいの方がいい。見た目には強い斜度は感じないが、かなり勾配はある。雪渓の高度差は600mと言われる。快調に高度を稼いで行く。杓子岳からカラカラと斜面の崩れる音が絶えない。左手に天狗菱が天を突き刺すように眺められると、雪渓のかなり上まで登ったことになる。
雪渓を横断するような大きなクレパスを右に迂回し、もうひと登りすると雪渓から夏道へと移る。
雪解け水が流れる岩屑のがらがらした急登は、荒れがひどくて歩きにくい。手入れしても手入れしても、雪が融けてみるとまた元の木阿弥というのが実情、手入れしきれないのだろう。
避難小屋前で一服入れてすぐに上を目指す。足が大変軽く感じるのは体調の良い証、村営宿舎着7時35分、白馬尻から2時間30分。標準の4時間が問題にならない快調さ。気を良くして休まず旭岳を目指す。村営宿舎すぐ上の稜線へ出ると正面に旭岳、そして白馬三山、剣、毛勝三山、鹿島槍などが目に飛び込んでくる。

高山植物、とりわけコバイケイソウの群落に目をやりながら旭岳とのコルへ下る。コル一帯には大きな雪田が広がっている。旭岳山頂へのコースらしいものが確認できる。雪渓に踏みこみ、清水岳方面へのルートを見送ってしばらく雪上を登り、ほど良いところで岩片の散乱する踏跡へ移動する。あとは踏ん張りながら急勾配をじぐざぐに登って行くと、東西に延びる岩塊の山頂の一角となり、奥の
旭岳山頂、背後は白馬岳
岩塊の中に旭岳の小さなプレートが置かれていた。
白馬岳同様、南面は険しいが、北面にはその荒々しさはない。展望はすこぶる良い。目の前には白馬岳が横たわり、杓子、白馬鑓、鹿島槍、剣など。東には雪倉岳や朝日岳、また清水岳のおだやかな山容がやさしく横たわっている。
山頂は花の種類も豊富で、シコタンソウ、ミヤマダイコンソウ、アズマギク、イワギキョウ、ミヤマウイキョウ、イワツメクサ、タカネツメクサ、ミヤマシオガマ、ウルップソウ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイなどを眺めながら、汗して登ってきた苦労が報われる思いのひとときを過ごした。

せっかくこここまできたのだ。何回も登っているからと言って白馬岳の山頂に立寄らない手はない。コルまで下って白馬山荘経由山頂へ向かう。コルから山荘への登りはハクサンコザクラやイワギキョウなどが目を楽しませてくれる。山荘先の松沢レリーフ付近はウルップソウの群落が見ごろだった。

時間的に端境いなのか白馬山頂には数人しかいない。珍しいことだ。時刻は9時を回って、水蒸気が上がり雲が湧く時間になっていた。遠くの山はぼんやりとして、杓子、鑓などにも雲がからみだした。先ほど登った旭岳を確かめるように眺めなおし、もう一度目に焼き付けてから10分ほどの滞頂で山頂をあとにした。
村営宿舎前の手の切れるような雪解け水で喉を潤し、下山にかかる。
登山路は登ってくる人たちの行列がつづく。あえぎながら所かまわず立ち止まり、腰を下ろし、ときには20人、30人の団体にさえぎられ、イライラしながらコースを外したりして急ぐ。
雪渓の下りもアイゼンは着けないまま。スプーンカットを利用すれば何の不安もないし、少しくらいスリッブしてもリカバリーの対応に問題はない。

雪渓を抜け出ると蒸しかえるような暑さが襲ってきて現実に引き戻される。北アルプスなどの夏山から下山していつも味わうあのいまわしさだ。
行程10時間を予定していたが、所要は8時間10分という快調登山だった。

旭岳へ登ったことで、標高100位の山は残り10座となりました。

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