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広河内岳=ひろこうちだけ(2895m)・大籠岳=おおこもりだけ(2767m)

山梨県 2005.08.30-31 小雨 単独 マイカー 大籠岳 三等三角点

コース ■自宅(6..35)===奈良田駐車場(10.40−10.55)−−−第一発電所(11.10) −−−登山口(11.40)−−−大門沢小屋(13.50)
■大門沢小屋(5.15)−−−稜線下降点(7.40)−−−広河内岳(8.05)−−−大籠岳(9.40−9.45)−−−広河内岳(11.10-11.15)−−−下降点(11.35)−−−大門沢小屋(13.20-13.40)−−−登山口(15.25)−−−第一発電所(15.55)−−−奈良田駐車場(16.10)

広河内岳より大籠岳をのぞむ

北アルプス五色ケ原から帰り、一日の休養で今度は南アルプスへ出かけた。

目的は日本山岳標高ベスト100の広河内岳と大籠岳のピーク。初日は奈良田から大門沢小屋へ入るだけ、標高差1000メートルほどを夕方までに着けばいい。

朝6時半過ぎ、長野を出発。奈良田まで4時間。
奈良田から先は一般車通行禁止。一昨年は芦安〜広河原が土砂崩れによる通行不能のたために、代替道路として時間制で通行が許可されていた。

ゲート手前の駐車場へ車を止めて出発。15分で第一発電所、ここから林道へ入る。終点近くまで舗装された道を30分、14年前に歩いたときはこの林道があったのだろうか、どうも記憶が定かでない。

登山道へ取りついて吊り橋を二つ渡ると発電所関連の施設があり、その先でさらに三つ目の吊り橋を渡ると、次第に勾配を強めて高度を上げて行く。
空模様が怪しくなってきた。小屋に着くまで雨にならなければいいが。下山してくる登山者に何人かすれちがうが農鳥小屋からの人が多いようだ。

樹間から大門沢小屋の赤い屋根が見えてきたところで雨が落ちてきた。足を急かせて小屋へ入ったとたん本格的な雨となってしまった。雨はトタン屋根をたたいて一晩中降り続いていた。明日の登頂は可能だろうか。この日の泊まり客は5人だけだった。


目を覚ましても雨は止む気配がない。今日のコースはガイドブック通りに歩くと15時間近いロングコース、雨という悪条件を考えると途中で引き返すことも覚悟する。急いで朝食を済ませ、5時15分小屋を出る。

雨具に身を固め、滝と見まがうばかりの急流の大門沢を目にしながら、沢沿いの道を登って行く。稜線下降点までの急登は半端ではない。このルートを登りにとる登山者はまれにしかいないようだ。あまりの急勾配とコースの長さから敬遠してしまうわけが、登ってみるとわかる。北ア三大急登(ブナ立尾根、合戦尾根、重太郎新道)の比ではない。

小屋からのコースタイム4時間のところを、2時間25分で稜線まで登った。雨も小止みとなり降ったり止んだりという状態となり、どうやら予定どおり歩けそうな目途がついた。

今日は時間との勝負、休んでいる時間はない。すぐに広河内岳へ向かう。冷たいほどの風が発汗と体力消耗を抑えてくれる。20分余で広河内岳山頂に立つ。見通しは比較的良い。ここではじめて大籠岳へとつづく南アルプス南嶺の稜線をも見ることができた。いったん大きく下ったあとはゆったりとした山稜が延びて、その先端に見える円頂が大籠岳らしい。踏跡も見えるのでルートファインディングで苦労することもなさそうだ。見た目では往復3時間はかかるまいと読んだが少し甘かった。

左手の南嶺稜線へ向けて下って行く。ザレ斜面の判然としない踏跡らしいところを選んで行く。気がつくとかなり下りすぎてしまったようだ。そのまま下ると池の沢小屋へのコースへ入ってしまうところだった。

下りきったところで明瞭な踏跡にたどりつく。小さな起伏の稜線には石積みや赤布などが目に付くが、どうもすべてが正しいとは限らない。余計な回り道をしたり、ハイマツに隠れた道を膝で押しながら進んだりして中間で一番高い2772メートルと思われるピークを通過する。

岩塊の小ピークをいくつか越え、さらに目立った岩のピークを二つ越えると大籠岳はもう目の前だった。山頂からは塩見岳とそこから派生した蝙蝠岳への稜線が実にいい。あの稜線を歩いた日のことが思い出される。快晴の好天だった。

広河内岳から頑張れば1時間そこそこで歩けるかと思ったが、1時間35分を要していた。踏跡をうまく歩けばもう少し短縮できたかもしれないが、無駄な歩きも何回かあったりして効率が悪かったせいもある。

このあと奈良田まで下山しなくてはならない。雨も思い出したように降ってくる。急いで引き返すことにする。

広河内岳への帰りはほとんど無駄なく歩くことができたが、休憩も取らずに歩き続けてきたこともあって足には疲労がたまり、最後広河内岳への150メートルほどの登り返しはきつかった。

広河内岳で5分間の休憩、農鳥岳、北岳、塩見岳、北荒川岳などの高峰や、鳳凰三山、奥秩父の山々を眺めながら一服したあと下降点へと下り、あとは転げ落ちそうなむ急坂を大門沢小屋へと急ぐ。
大門沢小屋まで8時間余、休憩らしい休憩もなく歩き続けてさすがに疲労を感じる。小屋に頼んでおいた昼弁当を食べ、これからまた第一発電所までの長い下りにかからないといけない。
小屋管理人によれば、たまに大籠岳へ登る人がいるが、帰りもここで一泊するのが普通らしい。

もう飛ばす力は残っていない。無理のないペースを保って第一発電所へと下った。小屋から1000メートルの下りを2時間、私にはスローペースだったが、コースタイムの3時間よりだいぶ早かった。

ハードな1日を終えたが、明日はこれもハードな高嶺日帰り登山を予定している。奈良田の駐車場で車内泊して明日に備えた。

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