kai-006  山梨百名山一覧表へ  「山岳巡礼」のトップへ戻る

笹子雁ガ腹摺山(1358m)
登頂年月日 1990/03/04 天候 晴たり曇ったり 同行者 単独 汽車
新宿駅(6.22)〓〓〓笹子駅(8.15)−−−新田墓地(8.49)−−−1188m峰(9.50)−−−笹子雁ガ腹摺山(10.10-20)−−−石材所−−−初鹿野駅(11.45)

笹子雁ガ腹摺山三角点にて

先月、雪であえなく退却させれらた笹子雁ガ腹摺山へ再度のチャレンジに出かけた。
あのときは初鹿野から北斜面にとりつき、大鹿峠まで上ったが、そこから先は深い雪に気押しされて、情けなくも背を向けて帰って来てしまった。今回は笹子駅から南斜面を登るルートにした。あれから大雪は降っていないし、南斜面だから積雪に阻まれることはないだろう。

コースは旧甲州街道の東側を頂上に向けて直登して行く最短ルート。
中央線新宿駅6時22分発甲府行きの純行列車に乗車。3月の声を聞くも山はまだ真冬、登山姿の乗客は少ない。
笹子駅に降り立った登山者は私一人。 8時15分過ぎ身支度を点検して出発する。甲州街道を笹子峠方面に向かう。登り勾配の国道、冷たい風が吹きつける。東京との季節の違いを感じる。
30分も歩けば新田の集落、笹子川の手前で、国道はY字に分かれる。右は笹子雁ガ腹摺山の直下をトンネルで貫通して行く新道だ。一方左手は旧甲州街道でもつれる糸のように、くねくねと笹子峠目指して上って行く道である。左手の旧甲州街道をとって笹子川を渡ると、すぐ先に見落としてしまいそうな小さな指導標で雁ガ腹摺山への登山口を知る。
国道から一歩入るともうそこは山道である。沢に沿って緩く登る杉林の道は鬱陶しく陰気が満ちている。道は明瞭ながら勾配がきつくなって山腹をひと頑張りすると、送電鉄塔の立つ明るい支尾根に出た。背後に道志あたりだろうか、山並みが浮かび上がっていた。ここかからいよいよ支尾根上を急登に次ぐ急登がつづく。変化のない一本調子の直登である。高度を取るにははかがいくが、たちまち汗が流れ出す。
何回となく流れる汗を拭い、やっと傾斜が緩んで立ち止まり一息入れたのが、 1188メートルの小ピークのようだ。周囲は雲に覆われて展望は全くだめだ。
平坦の通がしばらくつづいて足を休ませるのには役立つが、道は薮っぽくなる。雪も出て来たが足跡らしいものは残っていない。登山者がまったく入らないのだろうか。やや不安な気持ちが芽ばえる。
平坦な道は5分ほどで終わって、再び胸につかえるような急登に変わる。そして登山道はほとんど雪に覆われるようになった。急勾配にべたっと張り付いた雪、その下は赤土という厄介な登りは、一歩一歩が滑ってどうしようもない。薮に掴まりながら腕力で体重を引きずり上げるような登りだ。ガスで視界は更に悪く、眺望の楽しみもないまま早く頂上にたどり着こうと気持ちだけが先行する。
その登りも長くはつづかず、ひょっこりとガスの中のピークに立った。そこには山頂であることを示す何の表示もなく、ここが笹子雁ガ腹摺山の頂上であるのかどうかもわからない。三角点標があるから山頂に間違いなかろう。10 時10分、笹子駅から2時間弱。それにしても山名表示の一つくらいは欲しい。

さて時間も早いし、このまま笹子峠へ下ってしまうのは勿体ない、お坊山から大鹿峠を経由して、前回の雪辱を一気に晴らそうと計画変更。
山頂には道標ひとつなく道がわからないが、細長い山頂の両端に登山道らしい形が認められる。展望がないので方向の確認もならず、感で下り道に入る。急坂だが歩き出すと道は比較的明瞭で、ときどき立木にペンキ印もあって、この道だと確信する。しばらく下ると積雪も薄くなってきた。雑木の伐採地跡は、放置された木々で道が不明確だったが、たいして不安も感じない。

こんなに下ってしまうと、お坊山手前の米沢山を登り返すのがまた難儀だ。米沢山の標高は笹子雁ガ腹摺山とほぼ同じ、下っただけ登らなければならない勘定だ。かなり下ったころ傍らに石祠を見る。山頂でもないこんな稜線の途中に石祠とはちょっと意外に思って地図を広げると、米沢山へのルートはこんなに下っていない。コースを間違えてしまったらしい。
依然とし霧で見とおしは悪くて確認できないが、お坊山へのルートとは明らかにちがっている。しかしもう一度雁ガ腹摺山へ登り返してやり直す気にもならなず、どこへ出るのかわからないままにこの道を下るしかない。

登りにとったらさぞ大変だろうと思わせる急坂をぐんぐん下って、璧のような斜面を木の根につかまりながら滑り降りたところは、新笹子トンネルの北口付近に通じる林道だった。下ってきた道は登山道ではなく作業用の山道のようだ。
林道を下りついたところに石材所があり、そこで甲州街道に出てしばらく行くと、景徳院からの道と合して国道を初鹿野駅に向かった。


山梨百名山一覧表へ   「山岳巡礼」のトップへ戻る