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山梨百名山 高ドッキョウ(1134m)〜貫ケ岳(897m)
登頂年月日 2003/05/11 天候 曇り 同行者 なし マイカー利用
石合林道終点付近登山口(4.30)−−−樽峠(5.10)−−−最初のコブ(5.30)−−−2番目のコブ(5.45)−−−3番目のコブ(5.55)−−−4番目のコブ(6.00)−−−清水市方面展望所(6.05)−−−アップダウン繰り返し5回−−−高ドッキョウ(6.25-35)−−−展望所(6.52)−−−樽峠(7.27-35)−−−平治の段(8.07)−−−晴海展望台(8.26)−−−中沢コース分岐道標(8.38)−−−貫ケ岳(8.51-9.05)−−−平治の段(9.50)−−−樽峠(10.15)−−−登山口(10.40)

高ドッキョウ
≪高ドッキョウ≫
富沢町で国道52号から801号線へ入る。奥山温泉への案内を目安にして走ると、左方石合への小さな標識あり、ここで橋を渡って左折、あとは材木工場の横を通り、林道をまっすぐに進んで行く。いくつか林道支線分岐があるが、どれも無視して直進して行く。
やがて左に小さな小屋があり、その先に林道工事の残土を台形に盛り上げたところで、右へ折れる林道へ入る。そこが駐車スペースとなる。林道はさらに奥へ向かって工事中なので、古い案内書などを見て行くとちょっと戸惑う。
このスペースに車を止めて一夜を過ごした。

駐車スペースの奥へ進むと、右手の沢に丸木橋がかかっている。ここから登山が始る。植林の中のしっかりとした道を40分弱、樽峠へ登りつく。ここから西へ向かえば高ドッキョウ、東へ向かえば平治の段を経由して貫ケ岳となる。
頼りの案内書≪山梨百名山≫は、登山コースの案内というよりは、山の歴史などの記述が主で、ちょっと役不足というところだ。今日登頂予定の西沢渓谷鶏冠山を中止して、急遽登ることにした高ドッキョウと貫ケ岳はまったくの予備知識なし。地図もない。少し不安があった。
まず高ドッキョウへ向かう。

平坦の尾根を進むと、20分ではっきりとしたピークを一つ越える。この尾根は山梨・静岡の県境尾根となっている。山梨側は杉や桧の植林、静岡側は新緑の落葉樹が主体。雨の降り出しを気にしながら早めのペースで足を運ぶ。
尾根道はホウチャクソウの群生地で、やや薄ミドリがかった白い花がふんだんに咲いている。
木の根を階段がわりに踏み、15分で2番目のコブを越える。
新緑の道は退屈することはないが、展望はまったくきかない。狭い岩の間を抜け、ロープの張られた急登を登ると3つ目のコブとなる。10分間隔くらいに次々とコブ越えが待っているのは、結構足には負担を感じる。

4つ目のコブを越えて鞍部に下ったところが、清水市方面の展望所となっている。生憎の曇り空で近くの山が煙るように見えているだけだ。
新緑の茂みからは、ウグイスの啼く声がしきりと届く。生息密度がかなり濃いように思われる。4つ目のコブを越えたあとは、アップダウンを5回繰り返し、最後に厳しい登りを踏ん張ると高ドッキョウの山頂だった。

道はしっかりしているが、アップダウンの連続する、なかなか体力を強いられる行程であった。
小広い山頂は真中に山梨百名山の標識、それに二等三角点標石、もう一つ串刺しダンゴのような標識は、静岡県のものだろうか。このタイプの標識は静岡の山で何回か見かけたような気がする。ここは山梨百名山だが、山梨・静岡共有の山頂でもある。

汗で濡れた体を休めるまもなく、雨を心配して往路を樽峠へと戻った。  アップダウンのつづく尾根道は、下りだからといって決して楽ではなかった。


貫ケ岳
≪貫ケ岳≫

天気が持ちそうだったので、貫ケ岳を往復することにした。
時間がどのくらいかかるかとんと分からない。高ドッキョウは1134m、一方貫ケ岳は897m、そしてこの樽峠は高度計で700m。峠から貫ケ岳への標高差は、たった200メートルということになる。高ドッキョウの半分ほどで往復できそうに思えた。地図があれば見当はつくのだが、とにかく歩いて見なくては分からないというご粗末さ。

峠で一服したあと平治の段へ向かう。道標には30分とある。実は峠から高ドッキョウまで1時間と表示されていた。一応健脚と思っている私が急いで歩いて1時間15分かかっている。普通に歩けばさらに30分は余計にかかるだろう。平治の段30分はまったく当てにならない。

ホウチャクソウを足元に見ながら植林の中の平坦道をしばらく行くと、いきなりの急登が待っていた。ロープにつかまりながら急登を攀じのぼって行く。汗が流れる。勾配が緩んでほっと一息つく。

所要30分が正しければ、私の足ならもうそろそろ平治の段へ着くころだ。そう思ってから平治の段まではまだかかった。結局30分余を要した。 ここで向きを直角に北へ変えて貫ケ岳をめざす。
すぐに十国展望台があり、ベンチも設置されている。十国が見渡せる場所かもしれないが、凡庸な山々がただ重なりあっているだけで、目を楽しませるものとは程とおかった。

この先大きく下って行く。落葉樹林の新緑が素晴らしい。実に気持ちいい。この雰囲気が春の山の醍醐味だ。登り勾配に変った。これを登れば貫ケ岳山頂のように思いこんで、重くなってきた足を励ましてがんばる。ピークには何もない。その先が開けていた。“着いた”と思って見ると「晴海展望台」となっている。がっかり。展望台とはなっているが、曇り空ではどうしようもない。
すでに樽峠から1時間近く歩いている。樽峠〜高ドッキョウの行程に近い時間を歩いている。どうも予想が外れて、貫ケ岳までは結構長いコースだったようだ。

気を取り直して先へ進む。
中沢登山口への分岐道標がある。山頂まで15分の表示。これを見てほっとする。最後は薄暗い杉林の中を急登して行くと、ようやく貫ケ岳の山頂だった。
広々とした山頂は二等三角点、それに山梨百名山の標柱。欲張って貫ケ岳まで足を延ばしてよかった。下から登りなおすことを思えばよほど楽だ。
曇りで展望がなのいのが惜しまれるが、雨に降られなかっただけましと思うことにしよう。
帰りのアップダウンを思うと気が重かったが、2週間後に依頼されている講演の構想作りを考えながら歩いていると、上りも下りも知らない間に、樽峠まで来ていた。
ひと仕事終えた爽快感で登山口まで下る足は軽かった。 


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