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山梨百名山 雨乞岳(2037m)
登頂年月日 2003/06/30 天候 晴 同行者 単独 マイカー
石尊神社(4.00)−−−1600m三角点(5.40-45)−−−カラマツ大木の小広場(6.05)−−−水晶ナギを目にする地点(6.20)−−−雨乞岳(6.50-7.10)−−−1600m三角点(8.00-8.05)−−−石尊神社(9.10)

雨乞岳山頂

昨日富士見山へ登ってから雨乞岳登山口の石尊神社へ移動。神社前の広場で車内泊。

国道20号線を西進、鳥原の信号から左折する道が工事で通行止め、その手前のサントリー工場への道へ入り、途中から右折すると鳥原集落の中へと入る。鳥原集落の真中を、適当に上へ上へと車を走らせると、石尊神社参道石段の前の丁字路となる。右手に駐車スペースの広場、左手には白銀色の大きな水道タンクがある。左へ100メートルほど行くと「雨乞岳登山口」の道標があるが、潅木が茂って見落としやすい。

鳥原集落から登山口付近にかけて「熊出没注意」の看板が無数にある。脅かされているようで気持ち悪い。
昨日の暑かった富士見山の二の舞は避けたくて、夜明けの4時にスタート。熊よけの鈴を盛大に鳴らしながら、掘り割状にえぐれた薄明の道を行く。その昔、馬が伐採木を引いて搬出した道だという。胸を突くような急登はないが、だらだらとした勾配が、右に左にと曲折を繰り返して延々とつづく。
登山道沿いはほとんどが落葉樹林で雰囲気はいい。

脚は快調、速いペースを緩めない。ようやく明るくなってきて、梢越しに青空が広がってきた。早朝の涼しさに体調もすこぶる良好。
ポイントの1600メートル三角点までは高低差800メートル、案内書によれば2時間20分、別の記録では3時間。一歩も立ち止まることなく歩きつづけて、三角点へは1時間40分かけて到着。感覚としては登山競争でもしているような歩きかただった。案内書の2時間20分で歩ける人は、多分健脚の部類だろう。
三角点はカラマツ林の中を南に数十メートル、踏跡をたどったところにあった。忘れ去らされたように少し苔をつけ、等級は三等と読めた。

5分の休憩で出発。
ここから最後の急登に取りかかる手前の高度1800メートルまでは、カラマツ林の中を、たいした登りもない楽な道がつづく。三角点までの掘り割状の道とちがって、登山道らしい道だ。
若木のカラマツの中で、ひときわ目を引く大きなカラマツがある。ちょっとした小広場の明るい雰囲気のところだ。木の幹に道標がつけられている。ここでコースは右へ直角に折れる。

放置されたワイヤのところから、勾配がきつくなるとともに、樹相ががらりと変わってコメツガにダケカンバなどが混じる高山の雰囲気となる。奥秩父を連想するような古色蒼然とした太古の森を思い描く。コメツガの登りを終って尾根を乗越すような感じになると、再び平坦に近い楽な道に戻る。
道標といえば古くなって字も読みにくい尾白山岳会の私製のものだけ。標高も付記されている。さきほどのコメツガ林あたりから、かなり歩いたのに、目にした三つの道標はどれも1800メートル、高度を稼げていないということだろう。
雨乞岳から甲斐駒ケ岳をのぞむ
左手に水晶ナギを目にすると、その先に水晶ナギへの分岐道標があり、ここでコースは大きく右へターン、とんでもない方向へ行ってしまいそうな気がする。曲りくねって進んでいると方向も不確かになってきそうだ。笹の踏跡は明瞭だが、油断すると鹿などの獣道へ誘い込まれないとも限らない。用心にこしたことはない。

樹間から見え隠れする雨乞岳が確認できるようになり、「あと少し」と元気が湧いてくる。
また放置ワイヤがある。ここから最後の急登がはじまる。
このコース一番の急登を攀じ登って行く。200メートル余の高度差と思われるが、感じはそれ以上に長い。山頂が待ち遠しい。高度も高くなってきて、肌寒いほどの涼風が気持ちいい。樹林を抜け出すと笹の斜面が広がり、山頂は目の前だった。

雨乞岳山頂は東半分が笹原として開け、明るい開放的な雰囲気がいいが、西半分はコメツガの林が茂って展望を遮っている。
山梨百名山の標柱、三等三角点を確認する。
1600メートル三角点からも一歩も立ち止まることなく歩きつづけて、行程の全所要時間は2時間50分だった。高低差1200メートルのだらだらしたコースを考慮すると、これはかなり速いものと言えそうだ。
晴れているものの、梅雨どきの水蒸気を含んだ大気は眺望には不向き、甲斐駒や鳳凰山、それに日向山あたりが見えるだけで、八ツも富士山も望むことはできなかった。

これで山梨百名山は93座となった。
20分ほど山頂に留まってから下山の途についた。
帰りも1600メートル三角点で立ち止まって水を一口飲んだだけで、登山口まで速いペースを維持しつづけた。


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