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山梨百名山 編笠山(2524m)権現岳(2718m)
登頂年月日 1995/05/20 天候 晴 同行者 妻 マイカー
観音平(7.00)−−−展望台(7.15)−−−雲海展望台(7.45)−−−押手川(8.15-25)−−−編笠山(9.35-1.00)−−−青年小屋(10.20-25)−−−権現岳(11.15-35)−−−青年小屋(12.10)−−−押手川(12.40)−−−観音平(13.20)

編笠山山頂

久しぶりの妻同行。展望の楽しみを条件に考慮した結果編笠山を選んだ。
小淵沢ICを出て、登山口の観音平着は7時少し前。標高は既に1 500メートルに近い。
芽吹きのカラマツ林、小鳥の囀りがひときわ爽やかな高原を歩き初める。すぐに『展望台まで1キロ』の表示。『遊歩道』の標識を目印に、澄明な大気を味わいながら、ゆっくりと高度を上げて行く。 昨夏、北海道カムイエクウチカウシ山の下山時、沢の岩伝いに下ったとき痛めた膝が、いまだにはかばかしくない。今日もまた右膝をかばいながらの行動である。

1キロ先の展望台には休憩舎もあり、甲斐駒、北岳の眺めが優れていた。
いくらか勾配の増してきた木立の中を行く。野鳥の囀りが遠く近く、途切れることがない。次にまた展望台があって、観音平から直登してきたコースと合流する。この展望台は雲海展望台と称して標高は1800メートル、南アル プスの展望が大変良い。
依然として遊歩道のつづきのような良い道が伸びている。観音平から1時間10分ほど歩いたところで、妻に促されて小休止にする。樹林は原生林の趣き濃く、林床はグリーンの絨毯を敷いたような苔におおわれている。ひんやりとした風が肌に冷たく、セーターを着込んだ。

小休止を終って歩きだすと、2〜3分も行かないうちに押手川。本来はここが最初の休憩ポイントである。押手川からは青年小屋への巻き道を見送って、編笠山直登コ ースへ取りついた。いよいよ本格的な登りとなる。ときには岩石積み重なる急登となったり、また潅木にしがみついたり して高度を上げて行く。
シラベやカンバの林を抜け出ると低潅木帯となり、急に展望が開けて目を圧する。ハイマツの植生する高山帯域である。急登の途中、ここもいい休憩ポイントで、休憩がてら南アルプスを1枚スケッチした。

もう頂上は近い。一休みして山頂を目指した。
低潅木と礫岩だけで展望を遮るもののない登り。
初夏とは程遠い冷たい風に吹かれて、ひと登 りすると編笠山頂上だった。
岩塊の堆積した頂上の一角、シラベ矯樹の陰には残雪も見える。前回登頂のときと同様、今日もまた恵まれた展望に満足してひとときを過ごした。
目の前には八ヶ岳赤岳、阿弥陀岳、それに蓼科山、美ガ原、霧ケ峰、 北アルプス(笠ケ岳〜穂高岳〜白馬岳)、頚城の山々、乗鞍岳、御嶽山、 中央アルプスの全山、甲斐駒、仙丈、北岳、鳳凰三山、奥秩父、 富士山。
中部山岳の中央に位置する立地に恵まれ、文句のつけようのない、一大パノラマを満喫した。
2枚ほどスケッチしてから山頂を辞し、権現岳との鞍部青年小屋へ下った。途中北向きの斜面は残雪を踏んでの下りだった。

妻には青年小屋から巻き道にコースをとって、先に観音平へ下ってもらい、一人権現岳へ向かった。
権現岳へは青年小屋から300メートル余の登りだ。往復2時間みれば十分だろう。山頂へは尾根筋を一直線の急登で、シラベ帯の中をぐんぐん高度を稼いで行く。行程のところどころには残雪が道を覆い、雰囲気も高山らしくなってきた。
振り返ると青年小屋が小さくなり、編笠山も目の下になっていた。
権現岳は岩山で、岩場の2〜3箇所には鎖が取りつけられている。しかし鎖を頼るほどのことはない。権現岳山頂の巨岩も、編笠山からだと、ただの岩にしか見えなかったが、間近に眺めると圧倒されるような巨岩の堆積だった。
権現岳手前のピーク山頂直下を巻き終わると、権現小屋が目の前で、管理人が一人、登山道を補修していた。
小屋裏の高みに権現岳頂上があった。折り重なる巨岩の最高部へ、恐る恐る立って万歳の手を上げた。 編笠山同様に眺望は文句なかった。八ヶ岳主峰赤岳から阿弥陀岳、その間に見える横岳、この角度からの険しいアルペン的な風貌がまた新鮮だった。薄く刷毛ではいたような雲が広がりはじめ、遠くの山は春霞の 中に溶け込みつつあった。
権現岳頂上で展望を楽しみながら軽い昼食を取り、下山にかかった。
青年小屋から妻の後を追って、巻き道を観音平へ足を速めた。

(1995年5月記)

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