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山梨百名山 甲斐駒ケ岳(2966m)
登頂年月日 1989/08/19 天候 晴れ 同行者 単独 マイカー
●北沢峠(7.40)−−−馬の背ヒュッテ(9.40)−−−仙丈ケ岳(11.05-25)−−−小仙丈ケ岳(12.15)−−−北沢峠(14.10)−−−仙水小屋(15.00
●仙水小屋(4.20)−−−仙水峠(4.40)−−−駒津峰(5.30)−−−甲斐駒ケ岳(6.20-40)−−−駒津峰(7.15)−−−双児山(7.40-8.00)−−−北沢峠(8.50)

甲斐駒ケ岳(駒津峰より)
妻と仙丈ケ岳から北沢峠へ下山、その足で仙水小屋へ入って一泊。翌朝単独で駒ケ岳へ向かった。

帰宅の道路が渋滞しないうちに帰るため、朝食もとらずに4時過ぎ仙水小屋を出発した。
妻には二日続きの登山はきつ過ぎる。小屋から北沢峠へ下って待つことになった。
懐中電灯を頼りに、仙水小屋から20分で岩石帯を通過、その先が仙水峠で、奥秩父山嶺の上が朱色に染まり始めていた。
駒津峰への登りにとりつく。高低差約500メートルを一気に直登する登りは、小屋でも聞いて来たがかなりのアルバイトだ。木の根もあらわなシラビソ樹林の急坂を喘ぐ途中で、木の間越しにオレンジの太陽が空を染めて輝きはじめた。もう懐中電灯も必要ない。

森林限界を越えると、背後にアサヨ峰から早川尾根、それに昨日登った仙丈ケ岳が望める。夜の明けきった空は雲ひとつない快晴。高度が上がるにつれて、鳳凰三山、北岳、間ノ岳もせりあがり、真っ青な空の下にきりっとした輪郭で聳えていた。

頂上らしいピークに何回かだまされた末、5時30分駒津峰に到着。震えるが来るような景観に、登りの苦労が吹き飛んでいく。しばし四囲の展望に酔い、何回もカメラのシャッターを切ってから駒ヶ岳頂上に向かった。

駒ヶ岳は逆光線の中の青黒いシルエット。
駒津峰から一旦六方石へ急降下した上で、いよいよ駒ヶ岳への300メートルの登りとなる。右への巻道もあるが岩場を直登していくコースをとる。ロッククライミグを思わせる岩場の登りがつづく。ガイドブックには『鎖などがあって・・』とあるが、私の登ったコースには鎖などない。あるいはもうひとつ別のルートだったのだろうか。やっと手の届くような岩や、足がかりを探すのに苦労するところなど、何とか乗り越えて一歩一歩はいあがって行く。はやる気持ちを押さえ、三点支持、慎重に慎重にと言い聞かせて、急峻な稜線通しの岩稜帯を行く。

崩れやすい岩と岩礫、それにハイマツの点在する地点まで来ると頂上はすぐ上、やがて花崗岩が砂礫化した特徴ある白砂の斜面となり、そこをざくざくと踏んで露岩、巨石、奇岩群を避けながら行くと山頂だった。
小さいな がら立派な社が鎮座している。

突然の目もまばゆい陽光に、たじろぐように立ちどまった。広い頂上は白砂を敷き詰め、その上に丸みを持った花崗岩が長い影を引いている。スカイブルーの空は限りなく高く広く、南アルプスの雄北岳、そして女王仙丈ケ岳をはじめ千両役者が勢ぞろい。
白峰三山、塩見、荒川三山、赤石・・・。鳳凰三山地蔵岳のオベリスクも鮮明である。霊峰富士山、奥秩父連山、八ヶ岳と蓼科山。遠く浅間山もうかがえる。北アルプス、中央アルプス、恵那山、御嶽山・・・・。 山巓の眺望を心ゆくまで楽しんでから、下山にかかった。帰りは巻き道ルートをとり、摩利支天下部を経て砂礫のルートを下りトラバース気味に進むと、六方石で登りのルートに交わる。ここからは朝のコースを駒津峰まで駆けるようにして戻った。

仙水峠への道を分け、双児山を経由する尾根コースで北沢峠へと下った。
北沢峠には予定より1時間も早く8時50分に到着した。
(1989年8月記)


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