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山梨百名山 金峰山(2598m)
登頂年月日 1988/10/02 天候 曇り 同行者 単独 マイカー利用
瑞牆山荘(5.55)−−−大日小屋(6.46)−−−金峰山(8.00-8.10)−−−大日小屋−−−瑞牆山荘(9.40)

金峰山のシンボル「五丈岩」

瑞牆山荘から富士見平までは、瑞牆山登山道と同じ道を行く。紅葉には少し早いようだ。  

この日はソウルオリンピックマラソンの日、スタートは午後1時半、金メダル期待の中山の走りはどうだろうか。
何としてもテレビ中継には間に合うように帰宅したい。自然に足が速まる。富士見平から大日小屋へ、そして居丈高に屹立する大日岩を仰ぎ、原生林の中の縦八丁の急坂をスピードをあげてとばしていく。  

金峰の象徴、五丈岩がときどき木の間越しにうかがえるようになる。  
しっとりとした原生林の趣を味わう暇もなく、岩や木の根がむき出した急登を、まるで跳びはねるようにして登って行く。よく体が動くと思う。
ひとがんばりで砂払いの頭に飛び出す。森林限界を越えて急に展望が開けた。舞台の大転回に似た突然の景観の変転である。感動が湧きあがる。登高に費やしたエネルギー、汗の量が 多いほど、この場面転回の鮮やかさは、感動と喜びを大きくする。  

風が強く寒さが身にしみる。汗で濡れた体が冷えてくる。急いでヤッケをまとう。  
アルペン的なムードが漂う岩稜は、山梨県側は険しい絶壁、長野側は広々とした斜面をハイマツの濃い緑が覆う。  
千代の吹上はその名のとうり、山梨側からガスを伴って強烈に吹き上がってくる。巨岩の折り重なるコースを、岩角に手掛かり、足掛かりを求めてガスの中に見え隠れする五丈岩を目標に、スピードを緩めずにとばす。

五丈岩のすぐ先が三角点のある山頂だった。
金峰山頂まで2時間5分。ガイドブックの所要時間は4時間10分、ぴったり半分の時間で歩いてしまった。ジョギングで登っているようなスピードだった。
小川山、瑞牆山という真近の山から、八ヶ岳、北岳、間ノ岳、塩見岳、荒川三山、更には富士山・・・この一年私が登った数多くの峰々が確認できる。ずいぶん登れたものだ。いとおしいような懐かしさが湧いてくる。

早々下山にかる。マラソンが気になる。同じコースを益々快調に走るようにして下って行った。登りの途中で追い越した3人連れが「もう登って来たのか」とびっくりしていた。
人より持久力が少しましなのかもしれない。過去のマラソン大会でも、距離が長いレースほど、相対的に私の順位がよかったことでもうなずける。  

急いだ甲斐あって、オリンピックマラソン中継には十分間にあった。
(1998年10月記)

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