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山梨百名山 毛無山(1946m)
登頂年月日 1991/04/20 天候 曇り 同行者 単独 マイカー利用
自宅(4.00)===朝霧高原・麓集落(5.40)−−−不動滝(6.05)−−−休憩5分−−−毛無山(7.30-8.45)−−−不動滝(9.30-50)−−−麓集落(10.10)

毛無山
お世辞にもうまいとは言えないが、スケッチはどことなく山の雰囲気があって、写真では味わえない楽しさがある。最近山へ登ると、1枚でもスケッチをしてくるように心がけている。

関東地方で土曜日に雨が降らないのは、7週間ぶりだそうだ。
午前3時、マイカーで出発。都留市を過ぎるとようやくうす明るくなって来た。本栖湖から朝霧高原へ自動車を進め、右手の毛無山を探すが稜線は雲の中だ。
朝霧高原で富士宮道路と別れて5分ほど自動車を走らせると、登山口の麓集落となる。畑の脇の空き地に自動車を止めて登山口まで行くと、『登山道崩壊通行不能。毛無山登山禁止』の看坂。登山道入口は鎖で閉鎖してある。このまま引き返したのでは、何のために早起きしてきたのかわからない。とにかくその崩壊の所まで行って見ることにする。

登山道に入るとすぐ、石がごろころした河原のような谷の末端に出た。まるで台風か洪水の後のような荒涼とした景観だった。雑木に『登山道』と書いた板切れがぶら下がっている。まだ新しく、最近取付けられたものだ。登山禁止と言いながら、こうした案内がついているのは、どうやら登山可能と考えていいようだ。

『登山道』表示にしたがって潅木の山道に入る。最初から急勾配の登りだ。ひと登りすると『不動滝見晴台』に到着。谷の対面に岩壁を落ちる滝がかかっていた。スマートでスタイルのいい滝だった。
萌え黄の新禄が、樹種ごとに微妙な色合いを見せ、谷全体を染めている。
不動滝を後にすると登りは一層急になり、ほとんど緩むこと なく頂上まで続いていた。雑木の中のピンクのツツジが一際目立つ。1500メートル地点で小休止、一時間で500メートル以上稼いだ。最近は1000メートル以上の高度を、一気に登り切るような強行登山から遠ざかっていたが、たまにはエンジンを全開する登り方もいいものだ。
いっときガスの中に入ったが、しばらく登ると上空に青空が覗いてきた。
ヒメシャラ、ミズナラなどの中に白樺が混じるよ うになり、さらにブナも見られるようになる。登山道は急勾配に加えて露岩の岩角を踏む登りも繰り返して、登る楽しさを味わわせてくれる。

長者ケ岳からの道と合わさると、5分ちょっとで毛無山々頂に着いた。富士山の脇役としてのこの山は、多くの山頂から幾度となく眺めてきた山である。
富士山を望む正面が開けて、春霞みに透ける富士山、そして愛鷹連峰がのぞめる。山頂には御影石造りの展望案内があって、駿河湾、南アルプス、奥秩父、七面山の山名が刻まれていた。
一等三角点を確認したあとスケッチをしたりしてから山頂を後にした。

帰りの自動車から振り返ると、ガスが切れて毛無山の全容が見え始 めていた。高度感もあって見栄えがする。時間が早かったので、精進湖に立ち寄ったりしてから帰途についた。

(1991年4月記)


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