kai-075  山梨百名山一覧表へ  「山岳巡礼」のトップへ戻る

山梨百名山 日向山(1660m)
登頂年月日 1992/04/18 天候 晴れ 同行者 単独 電車・バス利用
韮崎駅(8.20)==バス白須車庫(8.55)−−−雑木バス停(9.30)−−−矢立石(10.20)−−−日向山(11.25)−−−雁ケ原(11.35-12.40)−−−錦滝(13.00-05)−−−矢立石(13.30)−−−雑木(14.00)−−−途中写生15分−−−白須車庫バス停(14.35)

雁ケ原から甲斐駒をのぞむ
崎駅前からバスに乗ったのは二人だけだった。
白須車庫バス停で下車、国道20号線から竹宇方面への村道へ入り、 のどかな集落の中を行く。正面には白銀の甲斐駒、その左には鳳凰三山がよく見える。甲斐駒右方の手前、樹木の山が日向山だろう。後方には茅ケ岳、八ケ岳があった。
桜の花びらが舞い、シバザクラが咲き、ユキヤナギがそよ風に揺れて、春の香が漂っている。小川の土手にはタンポポやスミレも目につく。
道沿いには駒ケ岳神社を示す石碑、石柱、それに道路のマンホールにも駒が岳が描かれていた。
棚田を前景にして聳える山々を視界に入れて、里の道を行くと、雑木集落を過ぎて民家が途切れた。ログハウスの別荘地先からようやく山道へ入る。ミズナラ等の雑木林の中、ヤシオツツジが点々と彩りを添えている。
作業道がいたるところで枝別れしていて紛らわしい。分厚い落ち葉を踏んで登って行くと、先程別れた舗装道路に交差。5分ほど舗装道路を歩いて再び山道でショートカットすると、矢立石という登山口だった。マイカーならここまで来ることもできる。登山口の標高約1100メートル、バス停からはほぼ500メートル登った地点である。山頂まで残り550メート ル。

矢立石から道は良くなった。整備され指導標も要所に取り付けられている。傾斜もさして急なこともなく、ずっと同じペースを保ちながら歩ける。
1000メートルを越えると、樹木はわずかに芽吹きをはじめたばかり。カラマツの林と下生えの笹、落ち着いた雰囲気が漂う。間近くなった駒ケ岳が樹間に見え隠れしている。
高度計が1600メートルを越えて、道が平坦になり、頂上かと思ったら、だらだらと下り始めた。頂上を見落としたかとあわてたが、本当の山項は下り切った小さなコルからもう一度登り返したところにあった。
登山道から薄い踏み跡が右に認められたのでたどってみると、 2〜30メートル奥の雑木林の中に、三等三角点標石と日向山と書 かれた小さな板切れが、木の枝にぶら下がっているだけのひっそりと した山頂だった。

眺望も無いので、少し先の雁が原まで進む。
樹林が切れて、明朗な花崗岩の大きなざれに飛び出すと大展望が待っていた。
だれもいないと思った山頂に3人のハイカーが休んで いた。地蔵岳や甲斐駒を連想させるような花崗岩と白砂は、この山に対する予備知識も少なかった私には、予想外の嬉しい景観であった。この白砂が遠くからは雪のように見える。おや?真夏に雪が・・・なんて錯覚するのがこの白砂である。
眼前には白銀まぶしい甲斐駒が力強く迫り、薬師岳・観音岳・地蔵岳、そして八ヶ岳はこの方角からはやや迫力不足の感が否めない。晴れているのに、春霞で澄明度がいまひとつなのが惜しまれる。本来ならば北アルプスまでもが遠望できるとのこと。

1時間あまり山頂で時を過ごししてから下山にかかった。登りとはコースを変えて、急坂を錦滝まで一気に降りると、そこが林道だった。
矢立石への林道はいたるところ落石累々として、すでに林道の体をなしていなかった。

(1992年4月記)


山梨百名山一覧表へ   「山岳巡礼」のトップへ戻る