kai-079  山梨百名山一覧表へ  「山岳巡礼」のトップへ戻る

山梨百名山 瑞牆山(2230m)
登頂年月日 1988/05/14 天候 晴れ 同行者 単独 マイカー利用
増富ラジウム温泉(6.30)−−−瑞牆山荘(7.45)−−−富士見平(8.15)−−−天鳥川(8.35)−−−瑞牆山(9.20-55)−−−天鳥川(10.25)−−−富士見平(10.40)−−−瑞牆山荘811.05-15)−−−増富ラジウム温泉(12.40)

昨年9月から日本百名山を登りはじめて半年、この瑞牆山が6座目だった。

未明に東京を発ち、6時25分増富ラジウム鉱泉に到着。旅館街先の路傍へ自動車を止めて出発。渓流沿いの道にはまだ朝の陽光は届かない。上空には一片の雲もなし。
鮮やかな新録が渓谷を溢れるほどに満たしている。樹林は保護林となっているため、のびのびと育った木々がことさらに美しい。
新緑を透過光線で見るみずみずしさはなんとも言えない。耳を澄ますと渓流の沢音にまじって、野鳥の囀りも賑やかだ。車道ながらこの道は歩いても楽しい。自動車で通り過ぎてしまうのは大変惜しい。巨岩、奇岩が次々とあらわれる渓流の変化も楽しめる。
新緑の道を歩くこと30分余、渓流は二つに分れる。左の金山川沿いを進む。このあたりからつま先上がりも少し急になってきた。

舗装から砂利道に変わり、金山平の手前で瑞牆山の岩峰が見えてくる。 カラマツの芽吹きを楽しみながら間もなく瑞牆山荘に到着。

自動車道と別れて、広葉樹林の登山道へと入る。
大きな岩石が点在する急坂をひと登りすると富士見平小屋だ。白樺の美しいキャンプ場になっている。標高1800米のここまで登ってくると肌寒さを感じる。風も強い。木々の梢がうなっている。
一旦天鳥川まで下ってから、いよいよ瑞牆山への急登がはじまる。台風のためか古い倒木が重なり合い、それをくぐり、 またぎ、今度は岩を避けながら登って行く。荒れた沢という感じである。巨岩が次々とあらわれる。今にも倒れかかってきそうな大岩柱を巻いて肩のようなところに出る。ツララが下がり北側に回りこむと、残雪はカチカチに氷化している。足元に注意しながらわずかの登りで大岩峰の頂上に立った。

岩峰群は風化侵食されて角がとれ、丸みを持った岩ばかりだ。巨岩が天空に踊り出したようなその景観にまず驚いた。 南側は足下から一気に切れ落ち、下をのぞくのも恐ろしい。もやがかかっているが、金峰山、富士山、南アルプス、中央アルプス、遥かに御岳などがのぞめる。ハイライトは何といっても残雪の連峰が大きく裾野を引く八ヶ岳である。

30分ほど岩の上で過ごしてから、登ってきたときと同じコ ースを引き返した。
(1998年9月記)

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初回登頂から12年後(2000.05.13日)、瑞牆山荘からふたたび瑞牆山に登った。そのとき登山道の荒れ方のひどさに驚いた。特に富士見小屋から天鳥川の間がひどい。これも日本百名山ブームが一役買っているのだろうが、それはしかたないこと、山を目指す人が増えるのは大いに歓迎したい。
せめて登山者は登山道を優しく歩く心遣いを忘れずに歩くことにしよう。


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