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東北百名山 牛形山(1340m)
登頂年月日 2007.06.18 天候 快晴 同行者 単独 二等三角点 地図 夏油温泉南東
夏油温泉(6.00)−−−経塚山分岐(6.17)−−−牛形山(8.15-8.30)−−−夏油温泉(10.15)

牛形山は『東北百名山』とともに『日本の山1000』でもある。
牛形山山頂から焼石岳をのぞむ



登山口は湯治場としても名高い夏油温泉で、焼石連峰縦走の一方の登山口でもある。14、5年前に五葉山へ登った帰り、妻と立ち寄り一泊したことのある懐かしい温泉だ。

昨夜車中泊した中尊寺PAから早朝の空いた道を駆け抜けて夏油温泉までやってきた。早起きの温泉客がタオルを肩に散策する姿もあって、湯治場らしい長閑な朝の風景を見せていた。

登山口は温泉宿手前の右手駐車場の奥にある。
身支度を整えて早速出発する。山頂までの標高差は850メートル前後、手ごろなワンディハイクというところだ。今日の予定はこの1座だけ、のんびり歩くことにする。


宿の北側を緩く登って行くとすぐに林道へ出る。林道を少し歩いて再び山道へ入る。ブナの樹林が気持ちいい。焼石岳方面へ向かう林道を横切って進むと『天狗の岩』の案内看板の立つ原っぱに出て、ここからいよいよ本格的な登りに入る。
実は東北百名山のうち岩手県の山はすべて終わったものとかん違いしていた。よくよく数えてみると1座足りない。それが牛形山ということがわかり、今回の東北山旅に急遽加えることになった。


ブナの大木に残るクマの爪あと
ブナの林に目を惹かれながら、黙々と足を進める。ふと見るとブナの大木に写真のような引っかき痕、クマの仕業だ。いかにも豊かさを感じるブナ林は、クマにとっても最高の環境ということだろう。

焼石岳は花の山としても知られるが、この牛形山も焼石連峰の一画、花が顔を見せるようになってきた。カタクリが今ごろ咲いているのが不思議な気がする。よく見ると葉っぱに斑が入っていない。種類がちがうのか?
ショウジョウバカマ、ミヤマカタバミソウ、マイヅルソウ、そしてキヌガサソウやサンカヨウも顔を出す。ブナの美林に加えて花を見つけるのも楽しみになってくる。このブナ林は山頂にかなり近いところまで広がっていて、東北の山はこのブナも楽しみの一つだ。

小さな湿地にミズバショウガ何株か咲いている。シラネアオイも何と多いことか、今を盛りと咲いている。オオバキスミレだろうか、登山道脇のいたるところに目につく。たった一輪、キクザキイチゲが迷う込んだように咲いている。

胸を突くような急勾配もなく、歩きいい道がつづいたが、ザレ気味のトラバース通過や、ロープで確保して登るところなども出てきた。
シラネアオイ と リュウキンカ・ミズバショウ
残雪も見えるが登山道の雪はほとんど消えている。
休憩なしで足を運び、ブナ林のトラバースを終わった先が急に開けて小湿原に飛び出した。ここのお花畑はすばらしい。残雪から解け出した流れが湿原を作り、リュウキンカとミズバショウの群落を出現している。思わず足を止めてしばらく眺めたり写真を撮ったりする。


ここから稜線へ向けて本コースいちばんの急登に取りつく。固定ロープのいくつかは無くなっていて、足場の悪いざれ斜面を慎重に登って行く。稜線までたどり着けは、あとは緩い山稜を左に、岩の道を数分も歩くと待望の牛形山山頂だった。

快晴、周囲はミネカエデ、ヤマハンノキなどの低潅木のみで展望絶佳、喉を潤してからゆっくりと展望に見入る。
残雪の焼石岳が目の前に大きく横たわる。焼石の後方に少しのぞくのが栗駒だろう。はるか足下には赤い屋根の夏油温泉が見えている。牛形山と並ぶ経塚山もなかなか見栄えがする。
二等三角点の標石は土が削れて埋設部分がかなり露出している。そのうちに倒れてしまうのではないかと心配だ。

しばらく涼風の山頂で展望を楽しんでから同じ道を夏油温泉へと下った。
下山後は勿論温泉、汗を流してさっぱりとした気分で、翌日予定の火打岳・小又山登山口のある新庄市へ向かい、土内で車中泊とした。


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