tohoku-042  東北百名山一覧表へ  「山岳巡礼」のトップへ戻る

東北百名山 虎毛山(1433m)
登頂年月日 1993.08.12 天候 雨 妻同行 マイカー利用 2等三角点
赤倉橋(8.20)−−−赤倉沢渡渉(9.40)−−−1234P(11.00)−−−虎毛山(11.40-12.40)−−−1234P(13.10)−−−赤倉沢渡渉(14.05-14.10)−−−赤倉橋(15.00)

池塘の点在する山頂湿原
台風一過と期待したが、相変わらず雲が垂れ込めて思わしくしな い。むしろ昨日より風が強い。

東北山旅5日目、爽快な登山日和は1日もない。どこまで天気に見放されたものかと嘆きたくなる。今日の虎毛山は、山頂には湿原を有し360度の展望か望めるということで、妻も楽しみにしていたのに、また雨中の登山となりそうだ。

登山口の赤倉橋までは、湯又温泉から自動車で15分。赤倉橋の袂ら赤倉沢へ急な坂を下ると林道がある。この林道を沢伝いに遡上して行く。途中で沢が二岐に別れるところで、左に進むべきを道標を見落として、そのまま広い林道を進んでしまった。二つ目の堰堤で道が消えて誤りに気付く。
10分ほど引き返すと、草むらに隠れるような小さな道標に『登山道』と表示されていた。  朽ちかけた橋を渡って沢の左岸を行く。平坦に近い道は歩きやすくいい道だ。途中にはモリアオガエルの生息する池なども見える。カエルは見なかったが、池にはオクマジャクシが黒いかたまりに見えるほどたくさんいた。  

赤倉沢の上流‘最後の水場’の標識で水筒に水を詰める。沢を丸木橋で対岸に渡ったところがベンチのある休憩場所だった。歩きはじめて1時間30分、晴れていればブナの木の下でひと休みというところうだが、今にも降りだしそうな天気ではそんな気分にもなれない。  沢を離れるとブナ林の中の急登が始まった。かつて人手と費用をかけて設置したと思われる木製のベンチが、登山道沿いに数多く残っているが、老朽化して傾いたり、倒れたりして今では役に立たないものばかりだ。そもそも登山道にこんなベンチは無用である。
アスナロ林がしばらく続く。『ヒノキ林』の標識も見える。

丸木橋から25分で標高850メートル地点。残りはまだ500メートル以上ある。
標高が1000メトルを越すあたりから、アスナロ林がブナの自然林へと変わって行く。このブナ林も素晴らしい。
相変わらず厳しい 急登を攀じていく。高度を上げるにつれて、ミルクを流したような霧が立ち込めて来た。ついに雨も降り出した。またゴム長靴に雨具という格好になってしまった。  霧の樹林を黙々と頂上を目指す。
長い急登をようやく終えて稜線に登りついた。ここは1234メートル地点、左高松岳、右虎毛山の分岐になっている。一気に視界が開ける場所のようだが、一面霧のベールに閉ざされている。
右方向の虎毛山へ向かって稜線上をたどって行く。低潅木を縫う道は、急な上下もなくたんたんと伸びていた。ぬかるみが多くゴム長靴が威力を発揮する。
私達に先立って出発して行った、宮城ナンバーの人が下って来るのに出会う。掘り割り状の上りをだらだらと登って行くと、濃い霧の中に小屋が現れた。軒先の鐘を鳴らしてから小屋へ入る。だれもいない。新しくて小奇麗で、吹き抜けの作りもしゃれている。20人は楽に泊まれるだろう。たき火用の炉もあり、外には薪も用意されている。
ラーメンを作って食事をしたり、1時間近くくつろいでから、雨の降る中、せっかくだからと湿原の散策に出た。三角点は小屋のすぐそばにあった。
ここは栗駒国定公園の一角、傾斜湿原には池塘が点在しているが、濃霧で全容をつかむことはできない。池塘の周りにはモウセンゴケがびっしりと群生、中には白い花をつけたものもある。キンコウカ、イワイチョウも花をつけている。
濃霧の中を20分ほど散策してから下山の途についた。

下山後は秋の宮温泉卿にある国民宿舎『秋の宮山荘』の温泉で汗を流した。

(1993年8月記)


東北百名山一覧表へ   「山岳巡礼」のトップへ戻る