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東北百名山  仙台神室岳(1356m)山形神室岳(1344m)ハマグリ山(1146m)
 
 2007.10.23 天候 晴れ 単独 地図 山寺南東  山形神室岳 三等三角点
ハマグリ山 三等三角点
笹谷峠(6.30)−−−ハマグリ山三角点(7.05)−−−ハマグリ山(7.15)−−−トンガリ山(7.40)−−−山形神室岳(8.05-8.10)−−−ダンゴ平(8.25)−−−仙台神室岳(8.50-9.05)−−−ダンゴ平(9.25)−−−山形神室岳(9.50)−−−トンガリ山(10.15)−−−ハマグリ山(10.30)−−−笹谷峠(11.05)
ハマグリ山山頂

車中泊をした山形市西蔵王公園から笹谷峠へ向かう。

夜の明けたばかりの笹谷峠は烈風に近い風が吹き抜けていた。ここは季節風の通り道だという。相変わらずオホーツクに低気圧が居座った冬型気象で季節風がことのほか強烈だ。峠に止めた車も風に揺れるほどだ。高圧線が不気味に鳴っている。この風の中無事に歩けるだろうか。いくらかの不安を感じずにはいられない。

レインウエアをウインドヤッケ代わりにに身を固め、勇を鼓舞して出発する。風は強烈だが上空には深い青空が広がっているのが救いだ。
まずはハマグリ山へのじぐざぐ道を登って行く。無事この仙台神室を登れば、あと東北百名山は笹谷峠を挟んで反対側に対峙する雁戸山だけとなる。何としてもがんばって登らなくては、そんなヤル気も湧いてくる。
強風のために高木は育たないのか、丈の低い潅木のみで終始展望は開けている。その代わり風は遮るものがなくまともに吹きつけてくる。
ドウダンやミネカエデ?ナラなどの矮木もそれぞれの色で紅葉の盛りを迎え、昇ってきた朝日に照らし出されて色の洪水を演出している。穏やかな陽気の中を、紅葉を愛でながら歩けたらさぞや気分も良いことだろう。

最初の急登が終わってなだらかな道に変わると、間もなく登山道の真ん中に三等三角点があった。この少し先がハマグリ山のピークで、古びた山名道標が立っていた。目ざす仙台神室が一風変わった台形の姿を見せている。まだかなり遠い。その間にいくつか越えなければならないピークもある。

ハマグリ山からはちょっとした岩場を通過したりして、コルへと下降する。次のピークのトンガリ山は名前の通り鋭く尖った姿をしている。このあたりが特に風が強かった。いわゆる風衝帯というのだろう。体をまっすぐにして歩くことができない。ストックで地面を押さえ、バランスをとり、揺れる姿勢を立て直しながら一歩一歩進むことになった。こんな行程がつづいたら山頂到達はむずかしい。しかしそれほど案じることはなかった。ここを過ぎると風は幾分弱くなってほっとする。

トンガリ山への登りがかなりきつそうに見えたが、歩いて見るとそれほどのこともなく、岩場を2ヶ所登ってピークに立った。ここまで来ると山形神室の姿が目の前となる。稜線通しに低潅木の中を一筋の登山道が、山形神室へとのびているのがはっきり見てとれる。目的の東北百名山仙台神室も全身が確認できるようになってきたが、その間のコルがかなり深そうだ。

その前にまずは山形神室への最後の登りが待っている。
山形神室への上り返しは、思ったほどの苦もなくコルから20分そこそこでピークへ達した。山形神室は地元でも人気のある山なのだろう、道は良く踏み固まっていてとても歩きやすかった。高原情緒漂う広闊とした尾根道は、風さえなかったら展望を楽しみながら高原漫歩のような気分のいいハイキングが楽しめるだろう。

山形神室岳山頂
地形図には山形神室岳(1344.2m)と、その東北東直線距離で1.5キロのところに神室岳(1356m)が載っている。後者の神室岳を区別するために仙台神室岳と呼び、こちらが東北百名山となっている。三角点は山形神室岳の方に三等が設置されている。

まずは山形神室のピークに立って一息入れる。10数年前に妻と登った大東岳やこの夏登ったばかりの面白山などが間近に見える。
仙台神室への山頂直下最後の登りコースがのぞめるが、衝立するような急峻さが手に取るようにわかる。

これからコルへ向かって100数十メートルの大きな下りとなる。これまでの乾いた歩きよい道とちがい、ぬかるみなどもあって状態はやや悪くなってきた。山形神室で引き返し、仙台神室まで足を延ばす人はやや少なくなるのかもしれない。
下りついいたコルがダンゴ平、下から来た仙台沢コースが合流している。これまで低潅木がつづいたが、仙台神室の登りに取りつくと、ブナなどのやや背丈のある樹木が見られるようになる。それでも大木というのは見あたらない。いよいよ望見した山頂直下の急登となる。一歩一歩潅木の幹にしがみつきながら体を持ち上げていく。半端な急登ではない。壁を登っているような気がする。
急登が終りやれやれとの思いでもう一足延ばすと目的の仙台神室の山頂だった。小さな切り開きに不鮮明な道標が立っている。ようやく仙台神室岳と読むことができる。

仙台神室岳山頂
山頂から南に高々と見えるのが蔵王連山、全体に紫色にくすんでいて明日予定の雁戸山もそのシルエットの中に同化していて区別できない。ただ昨日の滝山だけははっきりと確認できた。間近に大東岳や面白山、西に見える市街は山形市、東は仙台の市街だろうか。歩いてきた山形神室、トンガリ山へと延びる長い尾根も見渡せる。

15分ほどの休憩で笹谷峠への下山にかかる。
平日にもかかわらず、中高年の登山者が何組も登って来るのに出会う。紅葉目当ての登山者だろう。この強風の中みんながんばっているんだと感心する。
笹谷峠に降り立つと、紅葉見物に訪れた車で広い駐車場はいっぱいだった。

笹谷峠から青根温泉まで下り、公衆温泉『じっぽの湯』で汗を流し、その夜は山形自動車道古関PAでの車中泊とした。明日は東北百名山仕上げの100座目、雁戸山へ登る日だ。どうやら風も収まって良い天気になってくれそうだ。


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