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東北百名山  蔵王 雁戸山(1485m)南雁戸山(1486m)
 
 2007.10.24 天候 快晴 単独 地図 笹谷峠南東  雁戸山 二等三角点
笹谷峠(5.40)−−−関沢分岐(6.15)−−−宮城・山形コース合流(6.45)−−−三叉路鞍部(7.00)−−−雁戸山(7.25-7.55)−−−南雁戸山(8.20-8.25)−−−雁戸山(8.55-9.05)−−−三叉路鞍部(9.25)−−−関沢分岐(10.00)−−−笹谷峠(10.20)

車中泊した山形自動車道古関PAから笹谷峠へ。昨日は烈風の吹いていた峠も、今朝は無風快晴の登山日和となった。東北4日目にしてようやく風も収まったくれた。明るくなるまで車内で待機、これから登る雁戸山が東北百名山最後の山、この好天に感謝。

5時40分峠を出発して雁戸山へ向かう。コースは山形コースで、無線中継アンテナから登山道へ入る。目の前のゆったりした斜面は地図どおりのなだらかな登りだ。
今朝は快晴となった分冷え込みもかなりきつかった。落ち葉も小石も土も霜で真っ白、霜柱も立っている。

高木とまではいかない中・低木の道を快調に登って行く。4日目となると足の方もなれきていちばん調子が良くなってくるときだ。紅葉もなかなかいい、今日は天気も絶好、色の染まり具合をじっくりと見ながら歩く余裕もある。振り返ると樹間から昨日登った神室岳などが朝日に染まっているのが見える。
関沢からのコースが合流し、さらに先で宮城コースが合流してくる。

雁戸山山頂
いよいよ東北百名山達成のときが近づくのを感じるが、いましばらく先までこの楽しみを残しておきたかったという思いもかすめる。これは300名山の終盤でも同じだった。

宮城コース合流の先から1393m峰を東から巻いていく。地図では等高線に沿ったほとんど平坦に近い道に思えるが、ごく小さな上下をひっきりしなに繰り返していく。こうした道はけっこう疲れるものだ。いわゆるボディーブローのように利いてくるというやつだ。雪圧に抑えられた木を踏んだりまたいだり、足場もあまりよくない。行く手に紅葉を身にまとった雁戸山を見ながらしばらくこの歩きに耐えると三叉路となる。
ここから最後の登りにかかる。蟻の戸渡りと言われる痩せ尾根の急登だ。蟻の戸などという名前を聞くと、さぞや険しい道と思うが、それほどのことはない。垂れされたロープにつかまったりして、大変だという感じもないままに登り着いたピークが雁戸山、東北百名山の達成である。

祝福するかのような快晴の下、大きく展望が広がっていた。まずは三脚を立て、作ってきた記念ボードで写真を撮る。20カット以上も撮りまくったが、画質を最低にセットしたままだったために、帰宅してみるとろくな写真がなかった。不注意の自業自得ということで諦めるしかない。

霜で真っ白な山頂も、無風のためにそれほど寒さは感じない。ここ雁戸山は蔵王の北端に位置していて、蔵王連山の一峰であり、笹谷峠から苅田峠への縦走路でもある。南には主峰熊野岳などがセピア色に高々と聳えている。昨日の神室岳もここから見ると平凡で、それほど目を惹く山には見えない。その背後には大東岳や面白山、遠く目を転ずると雪をいただいた鳥海、月山、冠雪はないようだか朝日連峰、そして飯豊連峰はもう真っ白に雪化粧している。そして目をこらすと吾妻連峰まで確認できた。はるか北方、霞の上に浮かぶのは岩木山らしい。まさに東北の名山がことごとく目に入るような大展望を楽しむことができた。

南雁戸山山頂
この雁戸山を東北百名山最後の山にしてよかった。実は日本300名山の最後として奈良・大阪県境の金剛山を選んだことに大きな悔いを残した経験がある。まるで観光地と見まがうような山をなぜ最後の山にしてしまったのか。嬉しさとも感動ともほど遠い思いを、あのときは味わってしまった。
この雁戸山は十分に気持ちを満たしてくれるものがあった。山へ登るという楽しみも味わえるコース、山頂での展望もまた文句なし。

大満足の余韻を残しながらこの先の南雁戸山まで足を延ばした。
100メートル余の下降から、同じくらいの登り返しとなる。その登り返しの急登は岩が多く、それが真っ白い霜に覆われているため、うっかり足を乗せると氷のように滑ってしまう。ケガでもしたらたいへん、慎重に足場を選び、雁戸山から30分弱で南雁戸山のピークに立った。
山頂に立つと蔵王の主峰がいっそう間近になり、八丁平から名号峰へ向かうルートがよく眺められる。“山の神”と彫られた大きな石碑や、南雁戸山の山名道標が立っている。足下に広がる満艦飾に彩られた色模様を楽しんでから雁戸山まで戻った。
もう一度展望を楽しみ、東北百名山達成の思いをかみしめてから下山の途についた。
下山は宮城コースも考えたが、どうやらコースは同じような雰囲気らしいと判断して、登りと同じ道を下った。

下山後、笹谷温泉『一の湯』という看板を見て入浴、さっぱりした気分で一路長野市へと車を向けた。



『東北百名山』は、東北山岳写真集団選定によるものです。
初版は1990年、その後10山の入れ替えがあって2000年に新版が発刊
されました。私は新版の100座を対象としましたが、できれば初版
から外れた10座も全部登りたかったのです。結果としてはその10座のうち
五ノ宮岳と白岩岳の2座が未登として残ってしまいました。


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