| 登頂日 1996.09.28 |
天候 快晴 | 単独 | マイカー | 一切経一等三角点 東吾妻三等三角点 高 山三等三角点 |
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| 浄土平（7.15）−−−姥ケ原（7.45）−−−東吾妻山（8.20-8.25）−−−姥ケ原−−−鎌池（9.05）−−−一切経山（9.40-10.00）−−−浄土平（10.35）＝＝＝車で移動＝＝＝鳥子平（11.10）−−−高山（11.40-12.20）−−−鳥子平（12.45）＝＝＝北温泉入浴 | |||||||
車外に出ると初冬を思わせる寒風にさらされた。 ≪東吾妻山から一切経山へ≫ 浄土平の湿原を横断し、一切経山、酸ケ平への道を右に分けると、姥ケ原への登りとなる。潅木林の道は今や紅葉の真っ只中、カエデ、サラサドウダンが黄や紅と色を織りなして、山肌を塗り潰している。 背中の一切経山の無気質さとのコントラストが面白くて、何枚もシャッターを切る。 紅葉を観賞しながらひと登りすると、姥ケ原の木道となる。目の前になだらかな山体を見せるのがこれから登る東吾妻山。黒木樹林の中に紅葉が点々と散りばめられている。姥ケ原で木道は十字に交差している。高下駄のような木道の下は、本来ならば池塘の点在する湿原なのだろうが、今はまったく水は涸れている。チングルマが深紅に紅葉していた。 十字交差路で東吾妻山へのコースを取ると、すぐにシラビソ、落葉樹の混成林へと入る。みごとな黄葉を横から見たり、上から見下ろしたり、陽に透かして下から仰いだり、紅葉狩りの気分で登って行く。ゴゼンタチバナの真っ赤な実が輝いている。 緩い登りを苦もなく登って、突然森林限界に飛び出した。ハイマツと砂礫のゆるやかな登りが、頂上へとつづいている。さえぎるものがなくなって、たちまち冷たい風にさらされた。 山頂に着くと入れ違いに二人のハイカーが展望台方向へ去り、山頂は私一人だけとなった。耳元を風のうなりがかすめて行く。ここは吾妻連峰の最高峰、広々とした山頂からは360度の展望が広がっていた。安達太良山、猪苗代湖と磐梯山、吾妻連峰の一切経山、烏帽子山、東大巓などが懐かしい。 あまりの寒さに、何枚か写真を撮ると早々に姥ケ原へ下山した。 姥ケ原へ戻ってから、十字路を今度は鎌沼への木道をたどる。鎌沼の水面は、空の色を吸い込んで深い藍色に静まっていた。沼のほとりには、鮮やかな橙や黄色の潅木が彩りを添え、散策気分で木道を行く。 沼を半周すると酸ケ平の湿原へと入って行く。ここはすっかり狐色に変わって晩秋の装いが濃い。予定ではここで浄土平へ戻るつもりだったが、気が変わって一切経山へ登って行くことにした。 豊かな紅葉を見せてくれた東吾妻山とちがって、一切経山は草木一本ない死の世界。 避難小屋の後ろから直登に取りついた。山頂までの標高差は200メ ートル前後、30分もみれば十分だろう。しばらく歩くと浄土平からのコースを合流、浄土平から登ってくるハイカーに続々と出会うようになる。絶好の快晴、秋の一日、これ以上のハイキング日和はない。みんな気分よさそうに歩いている。見下ろすと鎌沼の水面が美しい。その後ろには先ほどの東吾妻、そして山頂に電波反射板のような構築物の見えるのが、この後時間があったら登る予定の高山だ。 火山礫地の道をたどって行くと、簡単に一切経山の山項に登り着いた。７年前の10月中旬、西吾妻山から縦走して来て、最後のこの一切経山に到着したときには、山頂はガスと寒風が吹きすさび、記念写真だけ撮って逃げるように下山したものだった。 山頂の北端へ足を向けると、眼下に五色沼が期待どおり。エメラルドグリーンの見ごとな色をたたえていた。沼の対岸に見えるのが家形山、長い縦走をして来て、五色沼を見下ろ す家形山で、神秘の沼を眺めながらほっとして休憩をとったのを思い出した。 東吾妻山の背後に聳える磐梯山を、カメラに収めたりしてから浄土平へと下った。 ≪高山へ≫ 浄土平から高山登山口の鳥子平へ車で移動する。 高山登山口となる鳥子平は、東吾妻山のもう一つの登山口でもあった。スカイラインを挟んで東側の登山口が高山、西側が東吾妻山である。数台の自動車が路肩の広くなったところに駐車していた。私もそれにならって駐車し、高山へと向かった。 高山登山道を示す標識等は見当たらない。 自動車道から200メートルほど入ると、鳥子平の湿原に出る。ここから浄土平近くの桶沼まで散策道がつけられ、木道でつながっているようだった。 湿原を木道で渡り、桶沼方面への道を見送って登山道へ入ると、高山から土湯方面を示す案内標識がときどき目につくようになった。 山頂までの標高差はわずか200メートル。このコースも黄葉見ごろだった。青空に映える黄葉を目にすると、またシャッターを切りたくなってしまう。 ほどよい勾配の道は、しっかりしているものの、訪れるハイカーの数は少ない感じだ。 ゴゼンタチバナの実が、陽の光を浴びて真っ赤に染まっていた。紅葉・黄葉に目を奪われているうちに、前方に大きな電波反射板が見えて来た。３０分もかからずにあっけなく山頂へ着いてしまった。 大きな電波反射板が２基、山頂を占領しているのがつや消しだった。意外にも山頂には若い4人の男女がいた。楽しそうに笑い声が響いている。彼らは新幕川温泉へ下る予定だという。 ここから見る安達太良山は指呼の距離だった。紅葉越しには磐梯山の尖った頂きも見える。桧原湖も確認できる。東吾妻山や一切経山も、木々の梢が少し邪魔だったが見て取れた。スケッチをしたりしてから山頂を後にした。 下山後の楽しみは温泉、料金所を出た先の土湯峠を左折、野地温泉方向へ自動車を向けると、 『赤場』というのが目に止まった。何かで記憶の中に残っている名前だ。これが秘湯北温泉だった。小さく粗末な湯殿は赤錆色に変色しているが、これが秘場の雰囲気というところ。あふれ流れる湯に浸かって手足を伸ばし、山の汗を流していると、しみじみとした幸せを感じてしまう。 さっぱりした気分で、安達太良連峰箕輪山への登山口沼尻温泉ヘ向けて車を走らせた。 |
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