GSYZ13
13 日本経済の諸問題
13-1 農地改革に関連する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
農地改革とは,山林や原野の開拓による農地面積の拡張のことである。
A
農地改革では,食糧不足を解消するため,土壌改善の施策が実行された。
B
農地改革とは,耕地の大規模な区画整理のことである。
C
農地改革は,連合国による民主化政策の一環として実施された。
13-2 日本の農家に関連する記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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農業だけで他産業従事者と同水準の所得を獲得できる自立経営農家が急増した。
A
第一種兼業農家よりも,第二種兼業農家のウェートが大きくなった。
B
「三ちゃん農業」と呼ばれる,老人と女性の労働力に依存した農家が増加した。
C
高額な農業機械の導入によって,「機械化貧乏」に苦しむ農家が生じた。
13-3 日本の農家の経営規模の拡大に関連する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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経営規模の拡大は,米作農家の課題ではなく,畜産・果樹農家の課題である。
A
経営の大規模化は,農業において規模の経済を実現するために必要である。
B
政府の農地政策は,農地の借地化による農家の経営規模拡大を禁じている。
C
土地価格の高騰は,農地を大規模耕作農家に集中しやすくしている。
13-4 食租自給率に関連する記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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日本の食用農産物の自給率は,近年は供給熱量ベースで50%を下回っている。
A
食糧安全保障論では,食糧の自給体制を強化する必要が指摘された。
B
先進工業国のうちアメリカやフランスでは,食用農産物の自給率が日本と同じ水準にある。
C
食糧管理制度の下で,米は過剰に生産され,生産調整が必要になった。
13-5 日本の中小企業に関連する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
業種にかかわらず,従業員100人以下の企業を中小企業という。
A
大企業が設立した企業は,統計上,中小企業には分類されない。
B
大企業の下請関係にある中小企業は,円高等によって経済環境が変化したとしても,安定した受注量を確保することができる。
C
現在,中小企業は,日本全体の従業員の約80%,生産額の約50%を占めている。
13-6 日本の中小企業をめぐる今日までの状況の記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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独自の技術やアイディアを武器とするベンチャー・ビジネスは,高い収益が見込まれる一方で,経営に失敗することも多い。
A
日米構造協議の合意に基づき,中小企業の一層の保護・育成を目的として,大規模小売店舗法の改正が進められた。
B
大企業の下請け中小企業は,親企業に継続して部品の納入を行えるため,景気の影響を受けることなく,安定した経営を進めることができる。
C
伝統的な地場産業における中小企業は,地域との密着性が強く,消費者の多様な好みに対応できるため,国際競争力を一層強めることになった。
13-7 「四大公害」事件に関する記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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四大公害のうち,富山輿神通川下流域で起こったイタイイタイ病は食用油に混入したPCBが原因で,患者の皮膚や肝臓などが侵された。
A
四大公害のうち,熊本輿水俣湾周辺で起こった水俣病は,工場排出の有機水銀が原因で,患者の手足が麻痺し,視聴覚,神経などが侵された。
B
これらの裁判は,すべて日本の高度成長期に起こされ,いずれも原告が勝訴し,企業の責任が認定された。
C
これらの裁判によって,国民の公害への関心が飛躍的に高まり,1970年の公害対策基本法の改正では,「経済発展との調和」条項が削除された。
13-8 日本では,近年「典型七公害」と呼ばれるもの以外に新たな種類の公害も問題となりつつある。これらの新しい種類の公害の事例として最も適当なものを,次の@〜Dのうちから一つ選べ。
@
産業廃棄物処理場からの悪臭
A
地下水のくみ上げによる地盤沈下
B
産業活動による地下水汚染
C
ジェット旅客機の離着陸による騒音
D
大規模な工事に伴う振動
13-9 日本における公害問題の解決に関する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
日本政府は,1970年代初めに環境庁を設置して公害対策行政を一元化し,その後四大公害訴訟の判決を踏まえた公害対策基本法を制定した。
A
環境影響評価(アセスメント)に関する条例は,地方自治体が事業主体となる地域開発が自然環境に与える影響を予測・評価するものであり,民間の開発行為を規制するものではない。
B
公害対策基本法は,都市公害を念頭に置いていたものの,地球環境に関する諸問題を考慮していなかったため,これらに対する施策を盛り込んだ環境基本法が制定された。
C
国や地方自治体が行う公害防止事業の費用の一部を公害発生事業者が負担することを義務づけた法律は,汚染者負担の原則に基づいて制定された。
13-10 日本における環境対策に関する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
単なる公害対策や自然保護をこえて,経済活動による環境への悪影響を減らし,社会全体を環境保全型に変えることを目指して,自然環境保全法が制定された。
A
大規模な開発を行う際は,その前に環境に及ぼす影響を評価して,その結果を公表することを義務づけた情報公開法が制定された。
B
単なる公害対策や自然保護をこえて,経済活動による環境への悪影響を減らし,人間にやさしい社会を作ることを目指して,公害健康被害補償法が制定された。
C
大規模な開発を行う際は,その前に環境に及ばす影響を評価して,その結果を公表することを義務づけた環境影響評価(アセスメント〉法が制定された。
13-11 ごみ問題に関連して,リサイクル法に関連する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
日本では,家電リサイクル法の制定以前に,廃自動車リサイクル法が制定されており,自動車の廃棄費用の負担を製造業者に義務づけている。
A
日本の場合,リサイクル法は再生資源の利用促進を目的に制定され,企業が資源の有効利用と廃棄物の発生抑制に努めるよう求めている。
B
日本では,容器包装ごみのリサイクルに関する法制化は見送られたが,分別回収の徹底により,容器包装ごみのリサイクルは実際には確立している。
C
日本の場合,デポジット方式と呼ばれるリサイクル方式は製造業者のリサイクル責任を明確にしたリサイクル法に依拠しており,既に普及している。
13-12 消丼者保護に関連して述べた文として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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訪問販売や通信販売など,消費者にとって便利な販売方法が利用されるようになると,売買契約や代金の支払いをめぐる紛争は生じなくなる。
A
購入前に知ることができなかった商品の欠陥や食品・医薬品の有害性により被害が生じても,消費者は製造業者などの責任を追及する方法を持たない。
B
消費者保護基本法は,国・地方公共団体の責任のほかに,事業者も消費者の利益に配慮するべきことを明らかにしている。
C
新開発の耐久消費財については,団と地方公共団体の消費生活センターが商品テストを行い,消費者に結果を公表することが義務づけられている。
13-13 一般に消兼者保護が必要とされる背景についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
生産者は,消費者のニ−ズを調査し,それを反映した商品の開発・設計を行っている。
A
生産者は,単独であるいは共同して,人為的に商品価格をつり上げることがある。
B
消費者は,生産者から提供される広告・宣伝を,商品購入決定のための重要な情報源としている。
C
消費者は,複雑化・高度化する商品について,十分な情報をもっていないことが多い。
13-14 マスメディアによる宣伝広告についての記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
消費者は,宣伝された商品で個性化を図ろうとして競争に駆り立てられることで,結果としてかえって画一化されてしまう。
A
宣伝広告は,商品の販売コストを引き上げてしまうため,かえって消費を抑制する一般的な要因となっている。
B
消費者は,宣伝される新製品を買って自らの欲求を満たすとともに,自分が社会から仲間はずれにされていないという安心感も得る。
C
宣伝広告は,商品についての大量の情報を消費者に与える反面,消費者を企業の宣伝などに押し流されやすくする。
13-15 日本の社会資本の充実に関連する記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
高齢者や身体障害者などのために,介護や医療の施設,社会参加を支援する設備などの社会資本の充実が求められている。
A
輸送施設や電力施設など産業に関連した社会資本だけでなく,住宅や公園など生活に関連した社会資本の充実が求められている。
B
道路の舗装率や下水道の普及率などはすでに世界の最高水準を達成しているので,今後は情報や文化に関連した社会資本の充実が求められている。
C
内需拡大を図り外国との貿易摩擦を解消する上でも,公共投資の増加による社会資本の充実が求められている。
13-16 戦後日本における社会資本整備をめぐる記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
1960年代,民間主導の高度成長を達成するため,政府は産業基盤整備事業を行わなかった。このことは,その後の日本の社会資本整備を遅らせる大きな要因となった。
A
1970年代半ば以降,社会資本整備のための公共投資は景気調整的に発動される機会が増えた。しかし景気回復に伴う税の自然増収により,この時期から80年代前半にかけては財政収支の不均衡を回避することができた。
B
1980年代後半のバブル経済で様々な資産の価格が上昇したが,なかでも地価の急激な上昇には目に余るものがあった。このことは,とりわけ都市圏において,社会資本整備の大きな阻害要因となった。
C
1990年代に入ると,バブル経済崩壊後の不況に伴う輸出の不振から,貿易赤字縮小のために内需拡大の必要に迫られた。これへの対応として,「公共投資基本計画」や「生活大国5か年計画」が相次いで策定された。
13-17 都市のスブロール現象についての説明として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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環境の悪化や地価・家賃の高騰などのために,都心に住んでいた人々が郊外に流出して中心部の夜間人口が少なくなり,都市が空洞化していく現象。
A
雇用を求めて農村部から都市に移動してきた人々が,仕事を得られず,都市の中心や周辺にある生活環境の劣悪な地域に集中的に居住していく現象。
B
都市人口の増加とともに,都心部よりも地価は安いが交通や公共施設などの社会資本が整っていない郊外に,住宅地が虫食い的に拡大していく現象。
C
地元を離れ都市で学生生活や職業生活を送った人々が,都市の物価高や住宅難,就職や家族の都合などから,出身地やその郊外へと戻っていく現象。
13-18 1980年代における大都市圏への人口集中の理由として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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この時期,大都市では土地市場における価格競争によって地価が値下がりし,人々が大都市で住宅を取得しやすくなったため。
A
この時期,国際化・情報化によって大都市が世界市場との結びつきを強め,産業の中枢機能が大都市に集中するようになったため。
B
この時期,農村部では出世率が上昇し,就業機会の少なさ,コメ余り状態,農産物価格の長期低落も手伝って,離農し大都市に移動する人々が増えたため。
C
この時期,大都市では出生率が上昇したことに加えて,大量の外国人労働者が居住するようになったため。