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18 日本国憲法の基本原理
18-1 日本国憲法が明治憲法の天皇主権原理を否定して国民主権原理を採用したことを明確に示す規定についての記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
天皇は日本国および日本国民統合の象徴で,その地位は国民の総意に基づく。
A
公務員は全体の奉仕者であり,公務員の選定・罷免は,国民の固有の権利である。
B
天皇の地位は世襲であって,特定の家系のものだけが,その地位につくことができる。
C
国会は,国民を代表する機関として国権の最高機関であり,国の立法権を独占する。
18-2 大日本帝国憲法の内容の記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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天皇は国家元首であったが,統治権を有していなかった。
A
国民の権利は,原則として法律の範囲内で認められていた。
B
信教の自由や言論の自由に関する規定はなかった。
C
帝国議会の議員は,すべて臣民の選挙によって選ばれた。
18-3 大日本帝国憲法と日本国憲法との異同についての記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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大日本帝国憲法では保障されていなかった信教の自由が,日本国憲法では保障されるようになった。
A
日本国憲法では,大日本帝国憲法と同じように,基本的人権は法律の範囲内でのみ保障されている。
B
大日本帝国憲法では認められていた天皇の緊急勅令を出す権限が,日本国憲法では否定された。
C
日本国憲法では,大日本帝国憲法と同じように,裁判所に,法律,命令などが憲法に適合するかどうかを決定する権限が認められている。
18-4 日本国憲法の成立過程についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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明治憲法の改正案については,枢密院に諮問し,意見を求めた。
A
政府が憲法改正作業に着手したのは,GHQ(連合国軍総司令部)からの示唆を受けてであった。
B
政府は,憲法問題調査委員会の作成した草案(松本案)を帝国議会に提出した。
C
勅選の貴族院だけでなく,民選の衆議院も明治憲法の改正案を修正できた。
18-5 憲法の改正手続には様々なタイプがあるが,日本国憲法が採用しているものについての記建として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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特別の憲法制定会議で改正案が承認されたとき,憲法改正が成立する。
A
議会において特別多数で改正案が可決されたとき,憲法改正が成立する。
B
議会が一定期間をおいて二回,同一の改正案を可決することを要する。
C
議会での特別多数による可決に加えて,国民投票での承認を要する。
18-6 日本国憲法は裁判所による違憲立法審査制度を採用しているが,この制度の運用についての記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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違憲とされた法律の規定は,国会による削除の手続を経ることなく,自動的に失効する。
A
合憲性の審査権は,下級裁判所にはなく,最高裁判所だけが有する。
B
審査の対象は法律だけで,政令や条例は対象から除かれている。
C
法律の合憲性は,具体的な事件を解決するために必要な範囲内で審査される。
18-7 裁判所が違憲審査を求められるケースには様々な類型があり得る。その中で,法律を制定するといった国家の行為によって,個人の権利が 現実に侵害されたかどうかを判断する違憲審査の類型の例として最も適 当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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政治活動をして起訴された公務員Aに関する刑事裁判の中で,Aの主張に応じて,公務員の政治活動を罰する法律規定の合憲性について判断する。
A
政治的信条を理由として解雇された民間企業の社員Bの訴えに応じて,その解雇の合憲性について判断する。
B
自衛隊を設置する法律が成立しただけの段階で,その法律を違憲とする野党Cの訴えに応じて,その法律の合憲性について判断する。
C
生存権保障を具体的に実現する法律を国会が制定していない,と主張する国民Dの訴えに応じて,そのような状態の合憲性について判断する。
18-8 日本の最高裁判所は,法律を違憲と判断することに一般的にはきわめて慎重であったと言うことができる。そのような傾向をもつ最高裁判所が下した違憲判決についての記述の例として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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日本国憲法制定後まもない混乱期には,違憲判決が比較的多く出されていた。
A
長期にわたる自民党単独政権が終わった1990年代には,違憲判決が比較的多く出されるようになった。
B
法の下の平等に関しては,複数の違憲判決が出されている。
C
社会権に関しては,複数の違憲判決が出されている。
18-9 平和主義に関して,日本国憲法の中に明文で述べられていない事項次の@〜Dのうちから一つ選べ。
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武力による威嚇と武力の行使の放棄
A
自衛のための実力の保持
B
交戦権の否認
C
平和のうちに生存する権利
D
国務大臣が文民でなければならないこと
18-10自衛権に関連して,わが国についての記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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自衛隊の任務には,防衛だけでなく,治安維持のための出動や災害派遣が含まれている。
A
わが国に対する急迫不正な侵害が,自衛権発動の要件の一つである。
B
政府見解では,いわゆる集団的自衛権の行使は,憲法上禁止されている。
C
政府見解では,必要最小限度の「戦力」を持つことは,憲法上許される。
18-11 自衛隊に関連して,憲法第9条違反が争われた裁判に関する記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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これまでに,最高裁判所は,自衛隊が合憲か違憲かについて,明確な判断を下したことがある。
A
これまでに,下級審判決では,自衛隊が憲法違反であるという判決が下されたことがある。
B
これまでに,安保条約が憲法に違反するかどうかが,裁判で争われたことがある。
C
これまでに,憲法第9条に関する裁判所の判決で,高度に政治性を帯びた国家行為には司法審査が及ばないという統治行為論が用いられたことがある。
18-12 安全保障政策についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから,一つ選べ。
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1960年の日米安全保障条約の改定に際しては,国民の間に大規模な反対運動が起こった。
A
非核三原則のうち,核兵器を「もちこませず」の原則は,与党自民党の主張により,国会決議から除外された。
B
防衛費を対GNP比1パーセント以内にとどめるという原則は,野党の抵抗にもかかわらず,1980年代後半の閣議で放棄された。
C 国連平和維持活動協力法(PKO協力法)の制定の際には,自衛隊の海外派遣の是非をめぐって,国会の内外で激しい論争が起きた。