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21 行政権の肥大化と戦後日本政治
21-1 日本における「行政権の優越化」に関する記述として最も不適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
@
国会で制定される法律は大枠を示すにとどまり,具体的な基準は政令や省令に委任されることが多くなった。
A
行政は政策の実施だけでなく,政策の形成や決定にも中心的な役割を果たすことが多くなった。
B
国会で制定される法律のうち・議員提出法案より内閣提出法案の占める割合が圧倒的に多くなった。
C
国会の地位が相対的に低下したために,官僚から国会議員への転身はほとんど見られなくなった。
21-2 日本における行政権の優位と呼ばれる現象に関する記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
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法律の実質的内容を行政機関の決定にゆだねる委任立法が増大している。
A
行政活動において,行政裁量の認められる範囲が広くなっている。
B
大部分の法律は,現在では,行政府によってその原案が作成されている。
C
法律の定める明確な基準に基づいて,行政指導が幅広く行われている。
21-3 行政の民主化の目的を実現する方法の例として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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国家公務員の定員を増加して,「縦割り行政」の弊害を少なくする。
A
行政指導の内容を文書化して,国民の行政に対する監視を容易にする。
B
審議会などの諮問機関を増設して・官民の癒着を除去する。
C
猟官制度を導入して,政策に関する国民の知識を深める。
21-4 1980年代の行政改革についての記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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日本国有鉄道と日本電電公社が,それぞれ地域ごとに分割され,民営化された。
A
行政改革の方針を定めるために第二次臨時行政調査会が設置された。
B
公共事業を抑制した結果,1980年代末には建設国債の発行は行われなくなった。
C
歳入確保のために,税制改革の一環として消費税率が引き上げられた。
21-5 日本における公共事業の決定・執行プロセスの問題点の例とは言えないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
社会的需要の変化にもかかわらず,省庁間で固定的に予算が配分される。
A
タテ割り行政のために,公共事業が重複する。
B
談合などによって受注業者間の競争が阻害され,事業費が割高になる。
C
環境アセスメントや住民参加によって,必要な事務手続きが増加する。
21-6 業界団体と政府との人的交流の例として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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業界団体の代表が,行政監察官になる。
A
業界団体の代表が,関係省庁の事務次官など高級官僚になる。
B
業界団体の代表が,閑係する政府の審議会の委員になる。
C
業界団体の代表が,公正取引委員会の委員になる。
21-7 天下りに対する批判の例とは言えないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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天下りは,官僚の退職時期を遅らせ,若手官僚の昇進を妨げている。
A
天下りは,特定企業と官庁との癒着を生じさせるおそれがある。
B
天下りをした高級官僚が高い役職に就くために,受入れ企業の従業員の仕事への意欲が失われる可能性がある。
C
天下りをした高級官僚が,特殊法人や民間企業を巨額の退職金を得ながら渡り歩いている。
21-8 族議員に関連する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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族議員が政策の決定において大きな役割を果たしている状況を,「派閥政治」と呼ぶことがある。
A
族議員は,農業政策や商工政策などの政策分野ごとに存在する。
B
族議員が政策の実施において大きな役割を果たしている状況を,「許認可行政」と呼ぶことがある。
C
族議員は,選挙区の地域的利益を政策に反映させるために存在する。
21-9 第二次世界大戦後から今日に至る日本の政治の特徴として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
@
憲法,外交,安全保障といった重要な問題については,戦後一貫して政党の間に大きな対立はなかった。
A
自民党と社会党という二大政党が,イギリスの保守党と労働党のように,政権交替を行った。
B
戦前に大きな力を持っていた官僚の力は衰え,国会に提案される法律の多くは国会議員によって立案されるようになった。
C
どの政党も支持しない人が増える一方,身近な問題に対して市民運動・住民運動という形で自主的に行動する人が次第に増えていった。
21-10 長期にわたって政権を維持した自由民主党(自民党)についての記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
@
1950年代には,保守合同により自民党が結成され,それに対抗して左右社会党が統一された。
A
1960年代には,日米安保条約改定をめぐる混乱の後,自民党政府は,経済成長をめざして所得倍増計画を打ち出し,政権の安定化を図った。
B
1970年代,1980年代には,自民党は一貫して国政選挙において議席数で過半数を獲得してきた。
C
1990年代には,自民党はリクルート事件など政治腐敗で批判されたが,連立政権を組むなどして一貫して政権を維持してきた。
21-11 「55年体制」崩壊後の政界再編についての記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
新自由クラブその他の政党に新進党を離脱した一部の議員が合流し,新たに民主党が結成された。
A
日本社会党は,党綱領を改正するとともに,党名を変更し,民主社会党となった。
B
日本共産党は,政界再編の流れからは距離をおき,従来からの政党組織を基本的に維持した。
C
新党さきがけと新生党は,自由民主党から離脱した議員らによって,結成された。
21-12 日本の政治状況についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
与野党の議員は,採決に際しては,党議によって拘束されず,たいがいは自己の信念に従って投票を行っている。
A
国会における与野党の議論が,市民の抗議運動を引き起こしたり,逆に院外の世論の高まりによって影響を受けたりすることがある。
B
国会の審議において議員からの質問に対して,与党の大臣だけでなく,関係省庁の官僚も答弁を行っていた。
C
与野党の対立は,野党の審議拒否や採決に際しての「牛歩戦術」,また与党による「強行採決」にまで及んだことがある。
21-13 日本における政教分離をめぐる諸問題に関連する記述として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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内閣総理大臣やその他の閣僚の靖国神社公式参拝が,日本国内のみならず,韓国や中国などのアジア諸国の反発を招いた。
A
靖国神社の国営化を求める法案が,自民・社会・さきがけ三党の連立政権によって国会に提出されたが,否決された。
B
地方公共団体による地鎮祭費用や玉串料の支出は違憲であるとして,各地で訴訟が起きたが,最高裁の判決ではいずれも合憲とされた。
C
55年体制下では,内閣総理大臣が特定の宗教の信者であるという理由で,しばしば,内閣不信任決議案が提出された。
21-14 日本における選挙と政権政党の派閥との関係についての記述とし
て最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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派閥は,いわゆる中選挙区制の下で,しだいに弱体化してきた。
A
派閥は,参議院の比例代表選出議員の候補者選定には関与しない。
B
派閥は,党の公認からもれた候補者を支持することはない。
C
派閥は,地方の政治家の系列化を通じ地方選挙にも影響を及ばしている。