GSYZ27
27 地域的経済統合と南北問題
27-1 欧州共同体(EC)設立の背景として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
今世紀の二度にわたる大戦の経験から,地域内の安定した平和の確保のためには近隣諸国間の相互理解と協力の促進が必要であると考えられたため。
A
第二次世界大戦後,独立の要求が強まったアジア・アフリカの植民地地域に対する軍事的支配を強化する必要があると考えられたため。
B
東西冷戦の下でのソ連・東欧の社会主義諸国への対抗上西ヨーロッパの自由主義諸国間での経済分野での協力が必要であると考えられたため。
C
政治,経済,文化の領域におけるヨーロッパの相対的な地盤沈下に対する危機感が存在していたため。
27-2 欧州での市場統合によって実現すると期待される効果についての記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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労働者の移動が自由になり,就業の機会が増大する。
A
域内での非関税障壁の撤廃により,域外からの輸入が増大する。
B
資本の移動が自由になるため,投資の横合が増大する。
C
統合による市場の拡大を通じて,規模の利益が享受される。
27-3 欧州連合条約(マーストリヒト条約)で新たに規定されたものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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外交および安全保障の分野での加盟国の共同行動のための手続
A
最高検閲の下での加盟国内の石炭および鉄鋼の共同管理
B
加盟国間での関税の撤廃と対外的な共通関税の設定
C
すべての加盟国の軍隊によって構成される共同防衛軍の設立
27-4 EUで単「通貨が導入された場合の効果についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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域内貿易における為替リスクがなくなる。
A
EU内を旅行する際に,両替の必要がなくなる。
B
EUでは中央銀行や金融政策の必要がなくなる。
C
EU各国間の商品価格を比較する際に,換算が不要になる。
27-5 「第三世界」と呼ばれる国々に民主主義が根付くのが困難であった理由の一つとして,国民経済が順調に発展しなかったことがあげられている。発展の遅れの原因として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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これらの地域には,キリスト教が浸透しておらず,経済活動を重視する文化が育たなかった。
A
これらの地域は,長く植民地・半植民地の地位に置かれ,独立後も,先進国への一次産品輸出に依存する構造から抜け出せなかった。
B
これらの地域の国々は,工業化に必要な天然資源に乏しく,資源を大量に輸入せざるをえなかった。
C
これらの地域の国々は,米ソ冷戦において一方の陣営に属さざるをえず,発展途上国としての共通の経済的立場を主張しなかった。
27-6 発展途上国における貧困問題に関する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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発展途上国におけるスラム形成の要因の一つとして農村における過剰人口の問題があるため,農村地域の開発はスラム問題解決に有効な政策となる。
A
最低賃金制の導入は都市労働者の失業率を下げるため,発展途上国におけるスラム縮小にとって短期的及び長期的に有効となる。
B
先進国のスラム地区居住者は,発展途上国のスラム地区居住者に比べて,労働意欲が強く,スラム改善意欲も強いと言われており,スラム問題は深刻化しない。
C
発展途上国においても先進国においても,スラム地域における教育施設の不足が問題となっているが,就学機会の不足が要因となるスラムの再生産は起きていない。
27-7 途上国における貧困の開演に関連して述べた文として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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多くの発展途上国では,貧困のため子どもが働かざるを得ないので,初等教育における中途退学者が多い。
A
多くの発展途上因では,若年人口が少ないため製造業部門におけるオートメーション化が進んだので,貧困者の雇用が伸びない。
B
発展途上国の農村では,しばしば大土地所有制が存在するため,多くの人々が自らの耕作地をもつことができない0
C
発展途上団の貧困家庭では,しばしば女性が家事労働とともに劣悪な労働条件で賃金労働などに従事せざるを得ず,過重な負担を強いられている。
27-8 南北間題に関連する国連での様々な動きを記述した又として正しいものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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石油危機後に途上国の貧困が深刻化したことに対処するため,国連貿易開発会議が設立された。
A
南北間の通商や経済協力について包括的に検討する機関として,国連貿易開発会議が設立された。
B
国連総合が採択した新国際経済秩序樹立宣言は,途上国が無条件で外国投資を受け入れることをうたった。
C
国連総会が採択した新国際経済秩序樹立宣言は,関税引下げと数量制限の撤廃を通じた貿易自由化の推進をうたった。
27-9 発展途上国間での経済格差に関する記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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産油国は1970年代前半,石油価格が急騰したことにより,多大な外貨収入を得た。
A
発展途上国への援助額は,受入れ国の所得水準に基づいて,国際復興開発銀行(IBRD〉が配分する方式に変更された。
B
アジアでは新興工業経済地域(NIEs)と呼ばれる,比較的工業化の進んだ団・地域が出現した。
C
資源のない国の中には,後発発展途上団と呼ばれる・最低水準の生活すら危ぶまれるところも出てきた。
27-10 1974年の国連資源特別総会で採択された「新国際経済秩序樹立に関する宣言」の内容に関する記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
南北間題を解決するために,発展途上国と先進工業国の包括的な協議機関を国連内に設置することが主な内容となっていた。
A
先進工業国からの援助受入れの拒否,自助努力を主とした経済発展,発展途上国間の経済協力強化などが主な内容となっていた。
B
自国の天然資源に対する恒久主権,発展途上国に不利な交易条件の改善,多国籍企業の規制と監視などが主な内容となっていた。
C
先進工業国との協調と国際経済決定過程への参入を容易にするため,市場経済体制を発展途上国に導入することが主な内容となっていた。
27-11 国際社会における開発問題の多様化に関連した記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@
NGO(非政府組織)を活用し,住民の福祉に密着したきめ細かなODAを実施することが求められている。
A
相手国の経済成長への寄与を重視するODAプロジェクトであっても,地球環境への影響に配慮することが求められている。
B
相手国に著しい軍備増強や人権抑圧があっても,貧困の度合いに応じてODAを供与することが求められている。
C
ODAの実施にあたっては,受入側である発展途上国の地域住民の意見を反映させることが求められている。
27-12 アジア・太平洋地域において地域的国際協力のための国際組織の制度化が遅れた理由として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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この地域の団は,大部分が急速な経済成長を遂げて早い段階で先進国の一員となり,経済発展のための地域的協力の必要性が認識されなかったため。
A
この地域では,東西冷戦の時代にも地域紛争がほとんど発生せず比較的平穏で,地域内の平和維持のための協力の必要性が認識されなかったため。
B
この地域の国は,政治的・経済的・文化的・社会的に多様で,地域的協力のための国際組織を創設する共通の基盤が乏しかったため。
C
この地域では,強い宗教的一体感がすでに存在しており,地域的協力のための国際組織を新たに創設することへの反発が存在したため。
27-13 東アジア諸国における輸出主導型の経済開発についての記述として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
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道路や港湾など産業基盤の整備を行って,外国企業を積極的に誘致してきた。
A
東アジア諸国間での貿易の高い伸び率を実現してきた。
B
輸出向けの生産を行う企業に対して,租税優遇措置などの便宜を与えてきた。
C
自前で開発した高度なハイテタ製品を輸出の中核に据えてきた。
27-14 東アジア諸国の経済発展のために,日本が行い得る支援策の例として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選ベ。
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経済援助を贈与から借款中心に切り替える。
A
農産物や水産加工品に対する関税を引き上げる。
B
輸出拡大を通じた景気回復を図るため,為替レートを円安へと誘導する。
C
留学生の受入れや技術者の研修等を通じて人材育成に協力する。
27-15 途上国における開発独裁政権についての記述として誤っているものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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反対勢力によるチェックが働かず,腐敗が生じる例が多い。
A
クーデターで政権についた軍事政権が少なくない。
B
社会主義を掲げてソ連との同盟関係を結んだ政権が多い。
C
多くの場合,工業化のために外国資本を積極的に導入した。
27-16 韓国、シンガポール,台湾,香港といったアジア諸国(地域)における経済発展の一般的特徴の記述として,最も不適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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先進工業国から生産財を輸入し,これを組み立て,加工して輸出するという,加工貿易型の工業発展をしてきている。
A
先進工業国からの直接投資を積極的に受け入れ,とくに労働集約的な消費財の生産に特化している。
B
生産財の輸入は日本に大きく依存し,輸出は欧米に大きく依存しているため,前者との貿易収支は赤字であるが,後者に対しては黒字である。
C
経済発展の戦略を輸入代替工業化におき,主に国内市場向けの工業製品の生産に重点を置いている。
27-17 アジア諸国についての記述として最も適当なものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。
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アジアのいくつかの国や地域は輸出産業を核にして工業化がかなり進んでおり,アジアNIESと呼ばれている。
A
日本からのアジア諸国への政府開発援助(ODA)は,日本の国民総生産(GNP)の1パーセントを超えている。
B
日本とアジア諸国との貿易関係は,水平的分業型から垂直的分業型へと変わりつつある。
C
アジア諸国のいくつかは,ASEAN(東南アジア諸国連合)という軍事同盟を結成している。