RSC14 

14. 実存主義の思想

 1.実存主義の成立と背景

 

1.資本主義社会の登場は,機械化の進展と巨大組織の中で人間を無気力で没個性的な存在に変化させた。こうした人間が人間らしさを失っていくという(1 )の状況を自らの思想的課題としてあらわれたのが,(2 )とよばれる思想潮流である。

 

2.この思想は,従来の思想が認識主観としての人間に重点をおいてきたのに対して,行為の担い手としての人間の(3 )に注目するとともに,人間一般ではなく個別的・具体的な現実を生きる〈私〉を(4 )とよぶことで,それが抱える問題を取り扱おうとしたのである。

 

3.この思想潮流には,神や超越者との関係において主体性を論じる(5 )の立場と,神や超越者との関わりなく人間の主体性を論じる(6 )とがある。前者にはキルケゴール,ヤスパース,マルセルがおり,後者にはニーチェ,ハイデッガー,サルトルなどがいる。

 

2.実存主義の先駆者

1)キルケゴール

 

1.現実や人間は一般化・普遍化できるものではなく,個別的・具体的なものとして存在すると,その著『(7 )』の中で,「あれもこれも」思弁的な論理の中に解消してしまっているとヘーゲルを批判した(8 )は,『日記』の中で「私にとっての真理」こそが大切であるとして,(9 )を語っている。

 

2.マスコミに操られ個性も情熱も喪失した大衆に人間の(10 )を認め,キリスト教会にも偽善をみた彼は,彼等の内に神との真実な関係を断たれた(11 )をみいだした。そして,神との関係の断絶こそ〈(12 )〉であると,その著書『死にいたる病』の中で語っている。

 

3.実存の三段階には,享楽の内に生きて自らが絶望の内にあることを自覚しない(13 ),享楽的生活が絶望であることを自覚し道徳的生活を送ろうとする(14 ),そして,道徳的生活も限界のあることを知って信仰へと飛躍しようとする(15 )の各段階があり,この最後の段階において独り神と向き合う実存は(16 )と表現されている。

 

2) ニーチェ

 

1.ショーペンハウエルのペシミズムとワーグナーの力強い生への賛歌から影響を受けたギリシア学者(17 )は,現代の大衆が力強さを失ったのはキリスト教の影響であると批判し,その道徳を(18 )とよんだ。

 

2.「(19 )」と叫ぶことで既成の価値を否定し,新たな価値を求める自らの立場を大衆の既成の価値への無批判な迎合と対比して能動的(20 )とよんだ。

 

3.彼はその著『(21 )』の中で,神なき世界は目的もなく意味もない永遠の繰り返しのうちにあるという(22 )の思想を展開し,この無意味な生を引き受ける勇気として(23 )の必要性を説いている。

 

4.人間は本来,自己を高め価値を創造しようとする〈(24 )〉を持っている。その意志と創造的な心を抱く理想的な人間像として,彼は(25 )を説いた。

 

3.現代の実存主義

1)ハイデッガー

 

1.フッサールの現象学の影響を受けた(26 )は,その著『(27 )』の中で,存在の意味を問うことのできる人間を(28 )とよび,他者との関係においてある人間のあり方を〈(29 )〉ととらえた。

 

2.他者との関係においてしか自己をとらえることができない人間は,真実の自己を把握し得ないという(30 )と他者への関心のゆえに,日常性への埋没という逃避を常とする。このような状態の人間のあり方を彼は〈(31 )〉とよんだ。

 

3.人間が本来的自己を取り戻すためには,自らが〈(32 )〉であることを了解し,生に対する誠実な心である(33 )に耳を傾けながら生きることである。

 

2) ヤスパース

 

1.著作『(34 )』によって自己の哲学的立場を確立した(35 )は,ユダヤ人の妻とナチズムとの葛藤の中で,人間には死や苦や(36 )や罪といった避けることのできない(37 )があることを知った。

 

2.この不可避な状況の中で人間は(38 )を感じ取り,それを通して人間は自らの限界と孤独を知るのである。

 

3.人間はあくまで個としての実存である。その実存が他の実存と共存するためには,各実存がそれぞれの主体性を重んじながら,生に対する誠実な態度と〈(39 )〉といわれるような本来的自己を求める厳しい交わりが求められる。こうした交わりを彼は(40 )とよぶ。

 

3) サルトル

 

1.『実存主義はヒューマニズムである』という著書によって,自らの立場を表明した(41 )は,「人は女に生まれない。女になるのだ」という言葉で知られる『(42 )』を著した,同じ実存主義思想家である妻の(43 )からも影響を受けた。

 

2.人間はまず存在しており,それから自ら求める自分をつくり上げていくのである。このことを彼は「(44 )」と表現しているが,それは結局は「人間は自らつくるところのものにほかならない」ということでもある。

 

3.彼は主著『(45 )』において,人間は自らをつくり出すという意味で必然的に46 )を持っているが,それは同時に束縛でもあり,「人間は(47 )に処せられている」と語っている。

 

4.自由は当人の(48 )によってもたらされる。しかも,それは結果に対する(49 )をももたらす。その意味で,自由の重さと孤独は人々に(50 )を抱かせるものでもある。

 

5.人間はある社会やある時代という(51)において自分をつくっていく。その意味で人間は社会に拘束されているが,一方でその社会に(52 )することで,社会を変革もするのである。

 

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