RSC15
15.
現代ヒューマニズムと文明批判
1.現代のヒューマニズム
(1) 民族解放の思想
1.人間中心主義あるいは人道主義と訳される(1答 )という言葉は,一般には暴力・ 抑圧・不正といった非人間的な状況を打開しようとする思想あるいは運動を意味し, (2答 )といったすべての人間に対する愛情や平和を専ぼうとする思想,あるいは植民地支配打破と民族の独立といった(3答 )運動などが代表的なものである。
2.中国の(4答 )は,封建制度を打破して国民主権の確立をはかる(5答 )主義,帝国主義的支配を退けて民族の独立をはかる(6答 )主義,そして貧富の差を是正して国民の福祉を充実させる(7答 )主義を民族革命のスローガンに掲げたが,これらを合わせて(8答 )という。
3.イギリスの支配下にあったインドでは,〈独立の父〉とよばれた(9答 )が,(10答 )・不服従を唱え独立運動を展開した。その具体的運動のスローガンは,真の自治と独立を意味する〈(11答)〉と英国製品を排斥して国産愛用を訴える〈(12答 )〉であった。
4.偉大なる魂(マハトマ)とよばれた彼は,その運動の原理として宇宙の根源的真理を把握する(13答 ),そしてそれにいたるために純潔と禁欲を貫こうとする(14答 )およびすべての生き物を傷つけ殺さないというインド古来の(15答 )の実践を自らに課していた。
(2)
人類愛と平和の思想
1.ナポレオンのロシア遠征を描いた名作『(16答 )』で知られる文豪(17答 )は,キリスト教的隣人愛と非暴力の思想によって,多くの人々に影響を与えた。
2.フランスの作家(18答 )は,ヴェートーベンをモデルとしたといわれる作品『(19答 )』において,苦悩を乗り越えて自らの人格の完成をめざす人物を描いたが,その人格の完成は不正や虚偽との戦いなしにはあり得ないとして(20答 )を説いた。
3.アフリカのランバレネの地にあって医療とキリスト教伝道に尽力した(21答)は,『(22答 )』の中で,人間を「生きんとする生命に囲まれた,生きんとする生命」ととらえ,生命そのものに対する畏れと敬いの感情である(23答 )を重視した。
4.イギリスの哲学者であり数学者である(24答 )は,まず個人の生命を尊ぶこと,次に個人の生命以上の価値に奉仕することを重視し,それを阻害するものとしての戦争に反対し,アメリカの物理学者(25答 )とともに核廃絶に取り組んだ。
5.1955年に出された(26答 )宣言をもとに,日本のノーベル賞学者湯川秀樹を始めとする世界の学者がカナダの地に(27答 )を開き,核兵器と戦争の廃絶をめざす提言を決議した。
6.キリスト教的隣人愛による平和・非暴力・奉仕などの活動を行う人々は多いが,中でもアメリカにおける公民権運動の指導者であった(28答 )牧師とならんで,インドのカルカッタの貧民窟で孤児や病者や貧者への奉仕活動を行った(29答 )はよく知られている。
2.現代文明への批判
(1)新しい思想
1.『創造的進化』において,生を創造的な躍動(エラン・ヴィタール)ととらえたフランスの哲学者(30答 )は,現代の知性偏重と物質主義を批判し,生命の躍動による創造的道徳を(31答)とよんで重視し,その逆の権威的で非創造的な静的道徳を(32答 )とよんで批判した。
2.主著『歴史の研究』によって,歴史をマルクス主義的な決定論の観点からみるのではなく,人間の自由な意志決定や行為が歴史に持つ意味を重視したのは,イギリスの歴史家(33答 )である。
3.人間社会の行為や文化や社会の表面的変化を根底において支える仕組みを(34答 )というが,その成り立ちやシステムを解明しようとする現代フランスの思想潮流を(35答 )という。
4.ブラジルのインディオ社会の調査にもとづく『(36答 )』や無文字社会の神話の研究を中心とした『野生の思考』で知られるフランスの文化人類学者(37答 )は,人類に共通する婚姻体系の構造研究などによって,無文字社会と文明社会との間には共通の構造がみられるとし,西欧文明優位の文明観に批判を浴びせた。
5.現代アメリカの科学史家(38答 )は,科学は単に知識の累積によって発展してきたのではなく,ニュートン力学がアインシュタインによって乗り超えられたように,同時代の科学者たちが共有していた知の枠組である(39答 )に劇的な転換がもたらされたときに発展すると考えた。
(2) フランクフルト学派
1.ナチズムに代表される政治思想である(40答 )の研究や現代における管理社会の研究を通して,現代に対する痛烈な批判を行ったのが,1930年代初めのドイツに生まれた(41答 )とよばれる思想集団である。
2.自らよりも優位なものに対しては卑屈になり,劣位なものに対しては傲慢になる権威主義的パーソナリティがファシズムの温床となったと,フロムとともに批判した(42答 )は,一方でナチズムの反ユダヤ政策によって亡命したアメリカで盟友ホルクハイマーと現代理性に対する批判を展開した。
3.ホルクハイマーとの共著『(43答 )』の中で彼は,本来,自由と解放の理想と結びついていた啓蒙的理性が,現代では個性の圧殺と文化の貧困化を生むだけの支配的な思想のための(44答 )に変容・堕落していると批判した。
4.スイスに亡命中フランクフルト学派の人々と知り合った(45答 )は,アメリカに亡命し,戦後,フロイトとマルクスを踏まえた思想を展開した。その思想的特徴は,現代の高度な管理社会にあって画一的管理に慣れてしまった人々を(46答 )と批判するとともに,そうした社会状況に警告を発するものであった。
5.後期フランクフルト学派に属する(47答 )は,目的活動にだけ限定された一面的な合理化が近代のさまざまな病理を生んだと批判した。そして,それを克服するために科学や道徳や芸術における全面的合理性の回復を求め,その理論の妥当性獲得のための討議と合意すなわち(48答 )を説いた。