誓いのCOMBAT MAGNUM

【S&W.M19 & WALTHER.P38】 ニットタイはCENTAURO製 撮影:あおいしんご


次元大介、俺の相棒。早撃ち0.3秒のプロフェッショナル。Coolなガンマン。
 そのうえ義理堅く、頼りになる男。” …なんだよなァ。普段は‥

「ウホッ♪見ろよこれ。【1963年11月22日,テキサス州ダラス教科書倉庫にて押収 
 だってよ。」
「放っときな。どうせホンボシの銃じゃ無ェや。」
顔も上げやしねェ‥。ったく、そんなに探し物にご執心とはなァ。
…なんだって?俺達が何処にいるのかだって?アララララ…言ってなかったっけか?
オホン!俺と次元はなぁ、ワシントンD.Cに鎮座ましますかのJ・エドガー・フーバービルの
地下にある 《機密押収品保管倉庫》 に忍び込んだんだな、コレが。
流石はFBIの本丸だ。セキュリティの厳しさはハンパじゃなかったが、なぁに、この俺
ルパン3世様にかかっちゃ、この程度の潜入は朝飯前ってモンよ。ヌフフフフ…♪
ン?空飛ぶ円盤の設計図とか、例のファイルとかでも盗む気なのかって?
それがなぁ、今回の獲物はお宝なんかじゃ無ェ、ただの落とし物。つまり、連邦捜査局に
押収されちまった次元愛用のコンバット・マグナムを取り戻すためだけに、深夜2時に
“お仕事”してるってんだから、しまらねェ話だよな…


「糞っ!【登録済み】の棚はこれで全部か。後は【未登録 】の箱を片っ端から
 当たっていくしかねぇな。」
「なぁ、次元ちゃんよ‥?」
「何だルパン?俺は今、忙しいんだ。」
「それは判るけどよォ‥。D.C じゃともかく、他の州なら350ドルも出せば幾らでも
 手に入る代物だろ?なんだってあの銃にこだわるんだ?」
「360ドル、プラス登録料だ。標準価格ならな。だがな、あのコンバット・マグナムには
 カネには替えられねぇ価値がある。」
「ナンだそりゃ…?中にお宝の地図でも隠したのか?」
「貰い物…なんだよ。」


“まだ、お前と組む前の話だ‥。当時の俺の表の顔は、サンフランシスコの射撃場兼
 銃砲店のオーナーって事になってたんだ。商売の方はさっぱりだったが、硝煙と
 ガンオイルの匂いに囲まれた暮らしってのも悪かねェ。 そんなある日、俺の店に
 1人の男が訪ねてきた。でかい奴だった。TVの西部劇上がりの役者らしいんだが、
 俺にこう言ったね。
 「拳銃の稽古を、付けてくれないか‥?」
 何でも今度ハリウッドで現代物、それも刑事役が廻ってきたんだが、いままで
 シングル・アクションの早撃ちばかり演ってきたんで、ダブルアクション・リボルバー
 の使い方がさっぱり判らないって言うんだな。 ま、俺も暇を持て余していたし、
 ギャラも悪くなかったんで、そいつのコーチ役を引き受けたってわけだ。
 とにかく、その男は熱心な生徒だったし、俺もやるからには徹底的に教え込んだ。
 銃の握り方や構え方、素早く狙って撃つ方法なんかをな。 2週間も経つ頃には
 形だけはいっぱしの拳銃使いだ。そこで俺は、最後にリボルバーを使う上で
 一番大切なことを教えてやった‥。”

「一番、大切なこと…?」
「あぁ。 “6発撃ったかまだ5発かは、必ず知っておけ” だ。命の遣り取りの最中に
 撃鉄がカラ弾を叩いたら、それでお終いだからな。」
「どっかで、聞いたような話だな…。」
「こいつにはまだ続きがある。それから半年も経ったある日、またその男が訪ねてきた。
 手土産持参でな。“あんたのお陰で映画はヒットした。お礼にこれを受け取って欲しい”
 それが、あのコンバット・マグナムだったのさ。」
「なぁ、その男って、ひょっとしてクリン…」
「‥知らねぇな。ボギーが逝っちまってからこっち、俺は映画って奴を観てねェんだ。」


あれも違う、これも違う…。大体、スミス・アンド・ウエッソンの6連発なんて、いちばん
ありふれた型の拳銃なんだ。何百、何千挺とある中から、どうやって次元の銃を
見つけだせってんだよ?
「次元よォ、どっかに何か、目印とかは無ェのか?」
「あるには、ある。グリップの背中を見てくれ。フレームに文字が彫ってあるはずだ。」
「ふ〜ん。なんて書いてあるんだ?」
〔 to D.J from C.E 〕 ってな。 …ん?こ、これはっ!?」
‥大したモンだ。とうとうお目当てにたどり着いたらしいや。

「あったァ〜〜!!」
慌てて次元の口を押さえようとしたが、遅かったね。せっかく“眠らせた”破裂音感知
センサーが、いまの大声で一斉に目覚めやがった…。


後はもう、シッチャカメッチャカの大騒ぎよ。どこをどう逃げても、出くわすのは捜査官ばかり
…ま、当たり前だわな。
どうやら屋上までたどり着いたんだが、外はもうパトカーの大行列。ペンシルバニア通りを
真っ赤なライトとサイレンが埋め尽くしてらァ。

「お〜お。コレじゃフォード劇場のリンカーンだって目ェ覚ましちまうぜ。」
「…済まねェ。ルパン‥。」
次元がしょげかえってる。寝小便を見つかったガキみてェだな、こりゃ。
「いいって事よ。それより、コイツが要るだろ?」
「……?」
「.357マグナム弾が1カートンだ。さっきの倉庫から頂戴して来たのさ。」
「有り難てぇ‥。恩に着るぜ。」
…ホント、義理堅くて頼りになる男だよ。

おっと!サーチライトが俺達を捉えやがった。一斉射撃が始まりそうな気配だぜ。
「強行突破といくか!?ルパン…?」
「ほんじゃまァ、お前のコンバット・マグナムにも、た〜っぷりと活躍してもらいましょうかね♪」

                           ..Fin


        ※施設、人物、銃器に関する設定は、
                    すべて筆者の空想の産物です‥。


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