監査結果
本件措置請求事件について、請求人の主張には理由がないものと認め、これを棄却する。
(1)事実関係の確認 省略
(2)監査委員の判断
本市では、前述したとおり地方自治法100条第13項の規定に基づき、「木津川市議会政務調査費の交付に関する条例」が制定されている。
この条例の第9条において「会派及び無会派議員は、政務調査費を別に定める使途基準に従って使用するものとし、市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない。」と規定され、第14条において「この条例に定めるもののほか、政務調査費の交付に関し必要な事項は、市長が規則で定める。」と規定されている。
この規定に基づき、本市においては、規則が制定され、第5条において「条例第9条に規定する使途基準は、会派に対する政務調査費については会派に係る使途基準、無会派議員に対する政務調査費については無会派議員に係る使途基準のとおりとする」と規定されている。
この規定の別表第1会派に係る使途基準において、広報費の内容として、「会派が行う議会活動及び市政に関する政策等の広報活動に要する経費」と規定されている。
また、事務費の内容として、「会派が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費(事務用品・備品購入費、通信費等)」と規定されている。
政務調査費の内容の解釈については、政務調査費に係る判例及び他の地方公共団体の監査結果報告において種々の見解が展開されている。
例えば、平成19年9月18日に京都府に対して提出された住民監査請求に対する監査結果報告において述べられている本件監査における判断基準としては、京都府は、『政務調査費の使途に係る本件監査における使途基準』というものを作成されている。
この基準の作成の考え方等については、『府の政務調査の対象となる経費を定めた使途基準は、交付規定第4条に規定されているが、その内容は、平成12年12月に全国都道府県議長会がまとめた「政務調査費の交付に関する規定(例)」に準じたもので、対象経費について使途項目の枠組みと費目の例示がされているのみであり、一部の都道府県議会で定められているような具体的で明確な使途基準が定められていないことから、監査基準の作成に当たっては、政務調査費が公金で賄われており、かつ実費弁償扱いとなっていることを前提に、議長会報告を基本としつつ、これまでの判例、他の地方自治体の政務調査費に関する監査結果報告、学識経験者の意見等を参考にした』と述べられている。
また、平成20年1月30日に名古屋市に対して提出された住民監査請求に対する監査結果報告において述べられている当該監査における判断基準としては、名古屋市は、「本市における政務調査費の使途基準は、規定第2条に規定されているが、対象経費について使途基準や運用マニュアル等は、定められていなかった。このため、本件監査にあたっては、政務調査費が公金で賄われており、かつ実質弁償扱いとなっていることを前提に、これまでの判例、他の地方自治体の政務調査費に関する監査結果報告、学識経験者の意見等を参考にした』と述べられている。
以上のことから、使途基準についての統一的な見解というものはなく、各地方公共団体が独自の基準により、ケースバイケースで判断されているという現状が確認できる。
また、この二つの監査結果報告からも政務調査費の内容の解釈については、具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等が必要であることが確認できる。
本市においても、前傾の規則以外に使途基準はなく、運用マニュアルというものを作成されていない。今後のためにも具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等を作成される必要があると考える。
このように具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等の作成がなされていない状況の下で、請求人が指摘しているイレブンの会及び日本共産党の政務調査費について、本市の条例及び規則に関して、政務調査費の内容に関する諸説、各種見解から解釈を加えて違法性、不当性を検討することは妥当であるとは考えられない。
イレブンの会の広報費及び日本共産党木津川議員団の事務費について、またその他会派における政務調査費の使途についても本市の条例及び規則に照らして、何ら違法又は不当とすべき問題はなく、本市の使途基準から逸脱する支出は存在しない。
本市においての使途基準については、前傾規則の別表1会派に係る使途基準において、広報費の内容は「会派が行う議会活動及び市政に関する政策等の広報活動に要する経費」と規定されているに過ぎず、また、事務費の内容として、「会派が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費」と規定されているに過ぎない。
この使途基準からは、会派が行う会報の発行自体は、広報活動に要する経費として認められていると解釈できる。しかし、会報の詳細な記事の内容までは規定されておらず、具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等が作成されていない現状においては、明らかに会派が行う会報の発行とは認められないよう場合を除き、違法、不当な支出とはいえないと考えられる。
また、この使途基準からは、会派が行う事務用機器の賃借料及び補修料の支出自体は、カッコ書内からの例示からも事務遂行に必要な経費として認められていると解釈できる。すなわち、明らかに会派が行う事務遂行に必要な経費として認められないような場合を除き、違法、不当な支出とはいえないと考えられる。
請求人が陳述で述べた視察研修手土産の購入代金についても、調査研究費として支出されたものであるが、調査研究のため視察を行うに当たり、訪問先への最小限の手土産については、円滑で有意義な研修を行うために用いられたものであり、市議会による視察研修でも手土産代金が公費により支出されていること、現に各会派が支出した手土産代が社会通念上著しく高額なものではなく、1件あたりの金額が1000円から2000円という支出であることから、これを違法や不当な支出とまでいうことはできない。
これらの支出は、本市において適法に制定された条例及び規則に基づいて支出されており、また、内容については、会派が行う議会活動及び市政に関する政策等の会報に当たるか、調査研究に係る事務遂行に必要な経費であるのかについては、本市における政務調査費に関する規則、使途基準等に運用上の問題であり、前述のとおり、諸説、見解の分かれるところであって、より市民の理解を得られる内容とすべきとことはいうまでもないが、まずは、具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等を作成すべきである。
よって、現段階において、本件支出は、違法もしくは不当な公金の支出とは認められず、本件措置請求事項について、理由がないものと認めこれを棄却する。
今後の課題としては、木津川市議会としての、条例及び規則に即した運用基準を検討協議され、前述しているとおり、具体的で明確な使途基準や運用マニュアル等を協議されるべきであると考えます。