虐待を受けた子どもの発達


 虐待は成長段階にある子どもたちにさまざまな影響を与えます。
 ここでは「身体発育」「発達」「情緒」の3点に分けて解説します。

身体発育への影響


 身体的虐待により身体に障害が残ることがあります。


  • 低身長・低体重

     虐待を受けた子どもは、低身長・低体重になることがあります。十分な食事や栄養が与えられない場合は、当然、成長が遅れます。
  •  また、乳幼児期の過度なストレス、愛情不足が原因となって低身長になることがあります。恐らくは成長ホルモンの分泌が悪くなるためと思われます。
  •  低身長や低体重は、家庭内の環境が改善したり、子どもが児童福祉施設に保護されることによって改善しますが、低身長では乳幼児期に受けた影響が残ることがあります。

  • 免疫機能・自律神経系への影響

     虐待を受けることは、精神的にも過度な負担をかけますので、免疫機能が低下したり自律神経系などへの影響などが出ます。

発達への影響


 長期間虐待が続くと発達への影響も出ます。


  • 言葉の遅れや発達全体の遅れ

     特に、乳幼児では言葉の獲得が遅れることがあります。
     子どもたちはさまざまなことに興味・関心を持ちますが、「おかあさん、これなあに」と聞くことが自分の安全を脅かすということであれば、子どもは話さなくなり、動きを少なくし、目で親の動きを追うようになります。
     当然の結果として、言葉の獲得が遅れます。
     また、不安定な生活の下では、集中力も低下します。

     子どもたちは親に誉められることによりますます頑張りますが、親から認められない子どもたちは学習意欲も上がりません。発達上は問題のない子どもでも、学習意欲が低く、低学力に結びつきやすくなります。
     また、虐待がひどい場合には、発達自体への影響が出ます。


  • 運動面の遅れ

     重度の虐待では、運動面でも遅れが出てきます。
     直立2足歩行に影響が出たり、バランス感覚が悪いということもあります。


  • 発達への影響
     乳幼児が影響を受けやすく、中度の知的障害ということで保護された子が、保護されるとすぐに伸び始め、普通学級に通うようになった例もあります。

情緒面への影響


 虐待は子どもを精神的に追いつめますが、これも個人差が大きく、子どもによってさまざまな影響が出ます。
 不安な気持ちを外に出すことができずに引きこもる子ども、ちょっとしたことで怒りを爆発させたり、不安を感じる子ども。

 また、大人や他の子どもとの関係も上手に築くことができない子どもも少なくありません。
 絶えず大人の顔色をうかがって、大人の機嫌をとるような態度をとる子ども。初対面の人に対しても過度にベタベタと甘える子ども。虐待を再現させるかのごとく大人を挑発するなど、一人一人の子どもによって違いはありますが、結果的に、他者とのトラブルが多くなります。

 幼児期の虐待であっても、思春期に入って不安定になることがあります。
 小学生の時には比較的落ち着いていても、過去の体験が急によみがえりパニックになったり、過食症や拒食症などの摂食障害、リストカットなど自傷行為がでることもあります。

 深刻な影響としては、多重人格障害などとして現れる場合もあり、成人後も影響が残ることがあります。


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