どのようなときに虐待を疑えばいいの?



不自然さに気づいたとき

 子どもたちがけがをすることは珍しいことではありませんが、遊んでいてできるけがと違って、虐待によるけがは何となくおかしいと気づくことがあります。

 傷の場所が子どもの説明ではつかないと思われるとき、説明が不自然なときなどですが、不自然さに気づくことから虐待対応の一歩は始まります。

 傷やあざだけでなく、男の先生と女の先生とではまったく態度が違う、親の前では緊張するなど、不自然さは虐待を受けた子どもの様子のいろいろな場面で見られることがあります。

 子ども虐待の多くは、子育てのストレスから来るものですから、どの家庭で起こっても不思議ではありません。「この人に限ってはあり得ない」という思いでいると発見できないことがあります。

 保育士には、子どもたちや保護者をそっと見守るやさしさとともに、冷静に分析する眼が必要です。

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外傷や病気のとき

 日本では、子ども虐待の中でもとくに身体的虐待が最も多く発見されています。

 身体的虐待は目で確認でき、明確な証拠となりやすいことから、発見しやすい虐待の一つです。しかし、保護者だけでなく、虐待された子ども自身が虐待受けていることを否定することがあります。

 目撃者がいれば虐待の認定は容易ですが、目撃者がいない場合は、からだの傷などとともに子どもや親の態度などをつなぎ合わせて虐待の確認をしていくことになります。


こんなときに注意してください


  • 頻繁にけがをするとき

    傷やあざが絶えない(子どもはよくけがをしますが、それでも保育所ではあまりけがをしないのに、家ではいろいろな場所をひんぱんにけがをする子どもは要注意です)


  • 日常生活ではあまり起こらないけがや、やけどのとき

    子どもたちが日常けがをしやすい場所は、おでこ、ひじ、ひざなどです。
    こめかみ、眼周囲、首筋、腕、腹部、背中、もも、うち股などはあまりけがをしません。

    また傷などの形状も棒状のもの叩いたと思われる線状のあざ、大人によると思われるかみ傷、アイロンやたばこを押し付けた跡など、子どもが遊んでいてはできそうもないけがは要注意です。


  • 子どもの年齢ではまれなけがのとき

    乳幼児の頭蓋骨骨折や硬膜下血腫、
    肋骨・胸骨・肩胛骨・椎骨の骨折
    性器の損傷など


  • けがをした状況についての説明が不自然なとき

    けがの説明では、子どもが家族や親を守るために「自分で傷つけた」と主張したり、親が「子どもが一人で転んだ」などと説明することが多くあります。


  • 治療を受けていなかったり、病院で受診するのが非常に遅いとき

    けがなどの治療がなされていない、病気になっているのに通院させていないなど、保育所や学校から依頼した子どもの健康面でのことが守られていないとき。


 以上のようなときに虐待の可能性があり、注意して観察する必要があります。また、

  • 乳児幼児に水分を与えなかったため脱水症状になったとき
    (高ナトリウム症性脱水といいます)
  • 車の中に長時間放置して熱中症になったとき
  • 冬場に裸にして戸外に立たせたため低体温になったとき
 などもあります。

 なお、けがの説明では、子どもが家族や親を守るために「自分で傷つけた」と主張したり、親が「子どもが一人で転んだ」などと説明することが多くあります。

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発育や発達の遅れがみられるとき

低身長・低体重など身体発育面での影響

 特別な病気がないのに低身長や低体重など身体発達面での遅れがみられる場合は、成長ホルモンの分泌が少ないだけでなく、十分な食事や栄養が与えられないことが原因ということがあります。

 また、虐待が続く場合、虐待のストレスから成長ホルモンの分泌に影響を受けることがあると思われます。ストレスが激しいときは、大人でも体重が減ることがあります。
 虐待を受けた子どもたちは、成長面でも影響が出ることがあります。

 その他の身体面での影響では、ぜんそくやアトピー、自律神経失調症などストレスに弱い病気に罹患しやすいと思われます。


知的発達の遅れ

 乳幼児期に子どもの問いかけを無視するなど、親がほとんどかかわりを持たないときには、言葉を中心として知的発達に遅れが見られることがあります。発達のバランスが悪く、不安定な子どももいます。

 また、知的発達は問題ない場合でも、学習環境の劣悪さや虐待によるストレスなどから学習意欲が低下して、学校の成績が落ち込むなど低学力の子どもも多くいます。


運動発達の遅れ

 幼児期にあまり運動する機会が与えられなかったり、外で遊ぶことが極端に少なかった場合は、歩行機能が十分に発達しなかったり、体の動きがしなやかさにかける、転びやすいなどの子が見られます。

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子どもの不自然な様子やしぐさがみられるとき

服装や身なり

  • 衣服やからだが常に清潔ではなく、着替えや入浴がほとんどされていない(ネグレクト/養育の怠慢、拒否)。

    前日の汚れた服装のまま、保育所や学校に来たときは、入浴もしないで、パジャマに着替えることもなく過ごしていたことが考えられます。


  • 子どもが衣服を脱ぐことに異常な不安を見せる(性的虐待・身体的虐待・ネグレクト)。

    体に不自然な傷があるとき、下着が汚れているとき、裸にされて虐待を受けていたときは、体育(特にプールの時間)の時間になって着替えを嫌がることがあります。


  • また、きょうだいがいる場合、上の子はブランド物の服を着せているのに、下の子の服装粗末であるなど、特定の子どもに対してほとんど面倒を見ないこともあります(心理的虐待・ネグレクト)。


表情・態度

  • 他の子どもと比較して明らかに表情や反応が乏しかったり、無気力(身体的虐待・ネグレクト)。
  • 落ち着きがなく、自己コントロールが年齢に比してできていない。ささいなことですぐにパニックになる。
  • 虚言(うそ)が多い。
  • 給食時など、給食の残り物など食べ物に固執する。
  • 学級崩壊の中心的な子どもの中に虐待を受けた子どもがいる可能性があります。


大人に対する態度

  • 親に対して怯えた態度をとり、他者の前での行動と明らかにちがう。
  • 身体に触ろうとするとよけたり、身構えたり、嫌がる。
  • 大人の動きをじっと目で追うなど、警戒心が強く、恐怖に満ちた表情など子どもらしさを失った表情を見せる。
  • また、拒否的な態度を取っていたのに、すぐにベタベタと甘える。
    その逆に、べたべたと甘えていたのに、ちょっとしたことで怒り出し、拒否的な態度を取るということもあります。
  • 少しでも注意すると固まった状態になり、かかわりがもてない。
  • 注意されてもすぐに同じことを繰り返す。
  • 年齢に合わない大人びた態度をとったり、大人に気に入られるように先回りして動く子どももいます。


子ども同士の関わり

  • 他の子とうまく関われなかったり、気に入らないことがあると激しいかんしゃくを起こす。
  • 自分より弱い子どもたちに対して、威圧的な態度をとったり、暴力を振るうことが多い。


生活態度

  • 家に帰るのを嫌がったり帰宅前になると不安そうな表情を見せる。
  • 万引きなどの非行や家出や徘徊がある。
  • 理由がはっきりしない欠席や遅刻が多い。
    (親が教育に無関心であったり、虐待による傷がひどいため集団に参加させない、罰として家に閉じ込める、親が不安定なときに子どもをそばにおいておくなど)

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親の状態から虐待が推察されるとき

子どもに対する態度

  • 接し方が乱暴で、威圧的であったり、体罰を肯定する。
  • 子どもに対して拒否的であったり、冷たい印象を受ける。
  • 子どものことに無関心。または、子どもに過度に依存している。
  • 養育態度に一貫性がない。
  • 病気やけがをしても治療を受けさせない。


親自身の態度

  • すぐに感情的になったり、精神的に不安定。
  • 被害者意識が強い。
  • 子どものことに関心を示さない。
  • 病気やけがをしても治療を受けさせない。
  • 極端に未熟で大人気ない言動。
  • 子育てや発育について誤った知識を持っている。
  • 子どもの状態に対しての説明が不自然。
  • 説明の内容がころころ変わる。
  • 親の知的な問題や精神疾患が疑われる。
  • 酒や麻薬の乱用が疑われる。


他者に対する態度

  • 子どもや家族のことを話すことを嫌がる。
  • 他人に対して懐疑的であったり攻撃的で、通常の信頼関係が結びにくい。


家族の状況

  • 夫婦仲が良くない。
  • 祖父母との関係が良くない。
    (祖父母と今のお母さんたちの世代では子育て観などもずいぶん変化していますから、祖父母に子育てを援助してもらっていても、子育て観の違いからストレスがたまっている場合もあります)


生活状況

  • 経済的に苦しい。
  • 夫が失業中。
  • 親しい隣人や親戚が近くにおらず、周囲から孤立している。
  • 家庭訪問のとき、室内を見るとほとんど片づけがなされていない。。


その他の状況

  • 子どもが過去に虐待されたという情報や、近所から怒鳴り声が聞こえるなどの情報がある。
  • きょだいが虐待を受けていたり、受けていることが疑われている。

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