米大陸最南端の老夫婦

 別のエピソードでも海外で多くの日本人に会ったことを記述しているが、本当にいろいろな人がいる。

 アメリカ留学を終えたついでに中南米を周る人。会社を辞め、とりあえず海外に飛び出してきた人。何かしらの勉強に来ている人。

 アメリカ大陸の南、パタゴニア地方で出会った日本人老夫婦がいた。老夫婦というと本人たちに怒られそうだが、男性のほうは定年退職したばかりの人だった。

 彼らはありがちなツアーではなく、二人きりできたという。その時点でこの人たちの格好よさに感動してしまった。
 このあと、いろいろ周るつもりだと期待半分、不安半分といった表情はぜんぜん年齢を感じさせなかった。

 欧米にこういった夫婦は多いが、フリーの旅行で、なおかつ年配の夫婦でこういった場所に訪れる日本人は少ないと思う。
 素直に憧れるし、尊敬に値するし、目標となる。

 旅は体が動くうち、できるだけ若いうちにしておけ、という自分のスタンスは変わらないが、年をとっても旅はできるということを彼らが証明してくれた。老若男女問わず、それに勇気づけられる人は多いと思う。