なんだかバタバタと忙しない大晦日で、しかも彼らのお友達まで…放火犯を取っ捕まえるような騒動に巻き込まれていたらしいと判って、何だかなぁと顔を見合わせたのも一時のこと。除夜の鐘を聞き終えて、順番にシャワーを浴びて、さて。
"さて…ってのは何なんだ。"
蛭魔さんから ちろりんと、切れ上がった眼差しで睨まれた筆者ではございますが。………それこそ白々しいことをvv 今夜はお泊まりになる桜庭くんだということも、特に言い合わせることもなく決まった展開であり、
「? どうしたの?」
こんな時間帯だというのに、妙に勢い込んでマシンガンを引っ張り出してた妖一さんへ、キョトンとして見せた桜庭くんで…って、ちょっと待て。それって誰に向ける気だったの。(笑)
「何でもねぇよ。」
チッと舌打ちしつつ、愛用の銃をソファーへと放り出すと、いつの間にかこちらの肩を抱いていた桜庭くんに引き寄せられるまま、それでも…涼やかな目許をすぅっと細めて、相手を真っ直ぐに見上げて見せた。流されるのはイヤだからなという、さりげない意思表示。それへと、こちらも真っ直ぐの視線で受けて立ち、
「大好きだよ、妖一。」
ソフトな微笑と少しだけ低めた甘いお声での一言で応じる、アイドルさんの自信もなかなかのものだ。腕の輪っかの中に搦め捕った愛しい人。少しだけ下にある賢そうなお顔を見やって、こつんと額同士をくっつけると。擽ったげな、それでもまだ少しは強気な"ふふん"という笑い方をする妖一であり。だがだが、
「…っ☆」
ひょいっとばかり、軽々と腕の中へ抱え上げられてしまうと、思わず…反射的にしがみついた桜庭くんの広い懐ろへそのまま頬を埋めて"仕方がないなぁ"というお顔になるのもいつものこと。決して小柄な訳ではない。長身痩躯、QBとして十分な身長はある彼だが、その背丈に見合うまでの身体の幅がちと足りず。相手バックスの猛攻に耐え得るだけの底力や足腰の粘りはあるものの、こんな風に抱えられるのへの障害になるほどの体重はない妖一なものだから、
「♪♪♪」
あっさりと降参して懐ろへ擦り寄って来てくれる彼を抱えての、寝室までの道行きが…何とも楽しい桜庭くんであるらしい。一方の妖一さんはというと、
"………。"
最初はとても恥ずかしかった"お姫様抱っこ"にも何とか慣れたし、
「…到着。」
ふわりと降ろされるベッドの上で、いつも必ず、まずは背後からきゅうっと抱き締められる手順も身に馴染んで来た。背後にいる桜庭へと凭れかかることになるので、肩の上あたりに相手の顔が来て、耳元に彼の柔らかい髪が当たって ふかふかと擽ったい。シャワーを浴びた後なので、日中は尖らんばかりに立てている髪もふやんと落ち着き、それへと鼻先を突っ込んで来る桜庭の吐息が、ますます擽ったい。胸板の上、軽く重ねられた大きめの手。いつも妖一の手を綺麗だねと褒めてくれる桜庭だが、彼の手だって綺麗で好きだ。機能的に動く、いかにも男らしい大きさになって来た頼もしい手であり、こうやって肌に伏せられていると何とも言えずまろやかに暖かい。そんな手が、だが、するりと。こちらの着ているパジャマの合わせ、一番上のボタンへと上がって来た。そして、
「…ん。」
それをぼんやりと眺めていた妖一のお顔を、頬にそっと…少し尖らせた口許から吐息を吹きかけることで上げさせる、何だか小憎らしい彼であり。それでも、
「んん…。」
ちろんと睨んでやろうとしたのに、そんな気持ちのささくれもあっと言う間に封じられてしまう。斜め上からの口づけは、角度がついてた分だけ、こちらの唇をこじ開けるのには都合が良いらしく。柔らかで甘い唇の感触を存分に堪能してのち、少し横合いから重なっていた合わせの部分を舌の先で舐めて擽り、肉薄な口唇の隙間へと忍び入る。普段は軽快軽妙に毒舌を並べる舌も、触れてみると柔らかで。一瞬ざらりとした感触があってから、だが、あっと言う間に一体化して、同じ温度で吸いつくように絡み合う。
「ん、んん…。」
苦しげに、けれど たいそう甘やかな吐息が漏れ出すまで、暖かい腔内を容赦なく蹂躙し。凭れて来ていた愛しい身体が少しばかり萎えて陶然として来たことを手ごたえに、手際よくパジャマのボタンを外してく桜庭くんであり。…慣れて来ましたねぇ、こちらさんも。まだ全部外し切らないうちから、もどかしくもすべり込ませた手が、パジャマの下で小さな突起に触れると、
「…あっ。」
甘い声が撥ねるように上がって、その手を白い手が上から捕まえる。見上げて来た眼差しへ、
"どうしたの? ダメなの?"
やわく細めた深色の瞳で見つめ返せば、
「…っ。//////」
頬を染めつつ そっぽを向く、意地っ張りな愛しい人。
"ううう、うっくvv 相変わらず、可愛いーんだからもうっvv"
胸の裡うちでは相好崩しまくりのアイドルさんだが、実際のお顔は きりりとしたもの。顔が逸れたことで露になったうなじへ軽く甘咬みをし、耳元まで舌先で擽りながら上り詰め、ふるりと震えた細い体をきゅううっと腕の中に抱きしめる。
「少しは寝かせてあげるからね。」
「////////。」
もしかしてこのお兄さん、もう少ししたら恋愛ものにばかりオファーが来るよになるかも知れんと、懸念したのは果たして筆者だけなのでしょうか…。
「…あ、や…う、ん…。」
血の色が淡く上った頬が、仄かな明かりの中、それでも白く浮かんでいる。時折、きゅうっと八重歯で封をされる口許が、だが堪え切れずに切なげな声を上げるごと、艶を含んで何とも妖冶な形に薄く開く。激しくなりつつある吐息に乾いては、無意識に舌先が短く這い出て唇を舐め上げるのが、何とも言えず煽情的だった。
「…妖一。」
シーツの海へと横たえた身体。パジャマを取り去った上体の両脇から、両手で包み込んでゆくように。薄い胸板へと手を這わせ、顔を近づけてそれから…緋色の粒実に舌先を這わせると、
「あっ!」
ひくんと。意に反してだろうに、敏感に撥ねる痩躯が何とも愛しい。
"ホント、弱いんだなぁ、ここ。"
縁をぐるりと舌先でねぶってから、先を歯の先で甘咬みすると。もうもう堪らないのか、短く高い、笛の音のような悲鳴を上げて身をよじる彼であり、懸命に肩を押し返そうと抵抗するが…、
「あ、ぁあ…っ。」
濡れたところへ ふうと。息を吹きつけてやると、たちまち手の力が萎えて、甘い声を上げるばかりになる。赤みの増したところがきゅううっと縮んで、きっと つきつきと痛いくらいになっているのだろう。腰から腿の辺りへと跨がるように、だが、のしかかりはしないで。覆いかぶさったまま、丹念に丹念に、愛しい人の体を堪能してゆく。
「はぁ…あ、や…ゃだ…、ん…。」
最初のうちこそ、どこか…この野郎がというような、いかにもな負けん気に満ちたお顔をしてもいた妖一であったものが、今や熱に潤んだ切れ長の瞳が、助けを求めて見上げてくるばかり。そして、その相手こそが こうまで淫らになるようにと苛さいなんでいる張本人なものだから。
「ん? どうしたの?」
優しい笑みを浮かべながら、手の方は容赦なくて、
「………あっ!」
パジャマの上から前を撫でられ、肩が敷布から浮くほどに痩躯が撥ね上がる。
「く…、ぅく…。」
何とか歯を食いしばって耐えようとするものの、薄い布越しに軽く握り込まれたそれは…既に熱を帯び、勃ち起きかけてもいて、
「どうして欲しいの?」
優しい声音が、だが、言葉で嬲るのへ、今にも泣き出しそうなほどに顔を歪めると、
「………う、く…。」
何とか堪えて横を向く。その途端に、
「ひぃ…あっ、ああっ!」
ぐりと、爪の先で先端部を引っ掻かれた。食い込むほどではなかったが、突然の強い刺激にとうとう先走りがあふれ出る。激しい呼吸に肩が震え、胸板が上下し、瞳の潤みから最初の滴が つうとこめかみへこぼれ落ちる。もうもう、苦しいのだか痛いのだか、熱いのだか…気持ちいいのだか、何が何やら訳が分からない。ただ、
「…あ、あっ、ごめんっ。」
さすがに涙を見ては我に返った桜庭であるらしく、
「ごめんね。痛かったね。ビックリしたのかな?」
飛びつくように身体を伸ばして来て、上体を隈無く包み込むように抱きしめてくれる桜庭だから。愛しい温もりと甘い匂いに安堵すると、鼻をぐすぐすと言わせつつも、
「…バカ。」
一言罵るだけで許してやる、寛大な妖一サマなのであった。
それからそれから。柔らかな口づけの雨で涙を宥めて、仕切り直しとなった二人であり。今度は…高まる熱に素直に身をゆだねた妖一さんの、しがみついてくる愛しき腕の感触も甘く、優しく優しく下生えを撫でてやっての最初の吐精を受け止めて。それを搦めた指先で、さらに奥まったところを根気よく撫で上げて。何とか3本ほどまで飲み込ませると、再び熱く立ち上がりかけていた雄芯をそっと撫でてやってから、自分の熱をあてがった。今夜が初めてのことでは無し、だが、まだまだ慣れてまではいないのも事実で、
「う…っ。」
いくら解ほどいたとは言っても…本来のあるべき行為ではないだけに。これも自然な反応として、きゅうと絞まり始めるものを、少しだけ無理をしてぐいっと押し進める。その途端に、
「あっ!」
掻き乱されたシーツの上、痩躯がよじれるようにして起きかかる。最初の雁口が入るまでがどうしてもキツイから、
「あ…あぁ、あ…っ。」
こちらの肩口へ、本気で爪を立てて抵抗する妖一であり、それへと"いてて…"とこちらも小声で悲鳴を上げつつも、ん…っと強引に割り入ると、
「…あ、う…。」
抵抗がぴたりと止まって…但し、こちらも動けない。どれほどに痛むのかは想像するしかない側の桜庭としては、ここからは妖一の合図無くしては動けないからで。無理強いなんぞしようものなら、永遠の別れを宣告されかねないから…ここは死んでも我慢。肩や背中からの熱が冷めるのではなかろうかと思うほどに間があってから。されど、咥え込まれた部分は蕩け出しそうな灼熱で包まれていて。このままだと、この浅いところで果ててしまうかもと案じていると、肩に添えられていた白い手が…撓やかな腕を連ねて、するりとこちらの背中へ回されて来て、より密にしがみつこうとしてくれる。甘い鼻声がかすかに聞こえて、
「ん…。」
見下ろせば…仄かに滲ませた含羞みに戸惑ったようなお顔が、ふいっと可愛らしくそっぽを向くのが得も言われず愛惜しい。
「動くよ?」
「…ん。」
そっぽを向いたまま、でも、明らかに頬をなお染めて。小さく頷いたのを見届けてから、まずはぐぐっと奥まで前進。慣れていない秘筒の道は、こちらにもかなりキツイ狭さであり、すぐにも差し迫って来そうになるのを、だが まだまだと堪えつつ、全てをきっちり収め込む。
「は…っ、はぁ…っ。」
細い眉をきゅううと寄せて、激しい息遣いになって。それでも何とか耐えている嫋たおやかなお顔が、心から愛しい。彼の雄芯もまた 堅くなりつつあるのを、そっと掌中に包み込み、その輪郭をじんわりと撫でてやれば、
「あ…や…。/////」
甘い声を上げてこちらを困ったような顔で睨んで来るのが、
"あああっ! もうもう食べてしまいたいくらいに可愛いったらっvv"
判ったから、落ち着きなさい、桜庭くん。
"…ん。"
一方の妖一さんはというと。気が遠くなりそうなくらいの激痛が、それでも何とか意識に馴染むと、愛しい人とのつながりがもっともっと密になるようにと、懸命に呼吸を吐き出しながら下肢を柔らかく保とうと専念する。怖くなんかない。むしろ、痛みが憎い。どうして…こんなに好きな人とつながるだけなのに、こんなにも壮絶な痛みを伴うのだろうか。気持ちの上での葛藤は既とうに乗り越えたのに、今度はこれかいと、それだけが鬱陶しい。
"…仕方がないっちゃないんだろうけどな。"
それだけ"まともな恋愛"ではないのだと。余計なお世話なこと、わざわざ思い知らされているようで、別なところが ちくりと来もするが、
「…ん、んん…。」
男である自分なんかへ、こんなにも息を荒げて懸命になってくれる、出来得る限り優しくしてくれる、それはそれは愛しい人がいるのだから、これはもう しようがない。
「………あっ。」
きりっと痛んで眉を寄せれば、動きを止めてお顔を覗き込んでくれる。それどころじゃあない状態な筈なのにね。本当に優しい人。だから…大好きだけど、それはあんまり言ってやらない。大丈夫だよと薄く微笑って、頼もしい肩にしがみついて。肌に伝う汗の匂いにうっとりする。
「あ…う…。」
狭い隧道を、熱い塊が迫せり上がって来るのがリアルに判る。最奥まで押し込まれると、下腹の奥が熱いもので満たされたみたいになって、それから…ゆっくりと引き出されるのが何だか心もとなくて。だが、それは途中で戻って来て、やがては一定の律動に乗り、何度も突き上げる蹂躙に変わる。腰に打ちつけられる力、壁を擦る刺激、堪らない熱。そのどれもが、愛しい愛しいという囁きや咆哮に変換されて、この身へとなだれ込む。肌も熱い、胎内も熱い。何が何だか、もうもう訳が分からないくらいに追い上げられて、
「…あ、ああっ!」
一際激しい差挿の果てに、背条が引きつりそうな淫悦に襲い掛かられて。
………あとは覚えていない妖一だった。
◇
「…大丈夫?」
訊かれてすかさず、
「痛い。」
きっぱりと応じるところが男前。おいおい 途端に、どこかおろおろと眉尻を下げてしまう桜庭くんのヘタレたお顔が、それだのに…何となく愛惜しい妖一さんであり、
"………。"
本当はね、少しだけ…気持ちいい部分もあるんだけど、今はまだ内緒。意識が飛んじゃうくらいに痛いってのが、隠しようのない現状であるうちは、そんな気休め、意地でも言ってやらないと決めている。
「明日は、いや、もう今日か。」
皆まで言わせず、
「うん。ちゃんとお世話するからね。」
最低でも一日は、横になったまま身動き出来なくなる妖一だと知っている。だから、何でも言ってと桜庭が神妙に宣言して、少し冷たい頬をそぉっと撫でてくれた。お手当てをした上でシーツと毛布でふんわりと包み込まれて、その上から大好きな腕で抱きしめられてて。間近になった優しい声に、うっとりと眸を伏せる妖一で。
「…妖一? 眠いの?」
「………ん。」
もそもそと懐ろの深みへと もぐり込めば、とくとく…と規則正しい拍動が間近に聞こえる。これって自分のかな、それとも桜庭の? 甘い疲労にとろとろと意識が蕩けて。そのまま吸い込まれるように、深い眠りに落ちていった妖一さんであった。
――― 何はともあれ、よいお年を…。
〜Fine〜 03.12.31.
*大晦日になんてものをUPするサイトでしょうか。(笑)
これに懲りずに、また来年もどうか構ってやって下さいませです。
それでは皆様、どうかよいお年をvv

|