Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “パパ・ぱぱぱ
 


 九月と言えば新学期。そしてそして、

 「NFL開催っ!」

 やったねっと文字通りの小躍りをしつつ、待望のシーズンの到来にワクワクっとしている金髪金茶眸の小悪魔坊やへと、
「ちなみに、俺らのリーグだって始まるんだが。」
 覚えとるか、お〜いと、どこか慎ましやかなお声を掛けたは、賊徒学園大学部のアメフトチームを引っ張る黒髪の主将、葉柱ルイさんだったりし。此処は毎度お馴染み、その賊徒学園大学部のクラブハウスの一角で。今のところは他の様々な部の部室とも隣合わせな一部屋を占有している皆様であり、高等部時代から昨年度までの好成績をもってすりゃあ もちっと優遇されても良さそうなところだが、
「公立ガッコの辛いトコだよな。」
 飛び抜けた贔屓は出来ませんというのが建前なので、それでなくとも 野球やサッカーに比べりゃあ、まだまだ“舶来のスポーツ”という概念が抜け切らぬジャンル扱いのアメフトに、陽が当たる日は遠いというもの。それでも高校時代に比べれば、参加校の多さからリーグもしっかと確立していての、固定ファン層だって厚くって。こちらさんのフリルドリザードには、ファンクラブだってあるとかいう話。
「…お前の起こした“カメレオンズ”のサイトで、人員募って作ったって代物じゃあなかろうな。」
「あ、心外だな。俺だってな、そこまで暇人じゃねぇんだよっ。」
 判る人には判るだろうが、判らんお人にはいろいろと見えない部分の多かった今のやりとりを、ザッと解説いたしますなら。高等部時代に葉柱たちが所属していた“カメレオンズ”の公式HPとして、この坊やがウェブに立ち上げていたサイトがあって。チームの近況や試合の予定などという無難な情報と、レギュラーたちからの一言などという色物っぽいコーナーで構成されてた代物の片隅にて。主将だった葉柱が全くの全然知らないあれこれ、実は今時の世代を対象にした情報集めやら、途中経由地を増やす格好で、いざって時の逆探知に対抗する“煙幕”に流用出来るような、そんな“シャットダウン”用の連絡網の開拓が真の目的だったらしい…とかいう、様々な企み三昧なサイトでもあったので。またぞろ何か企んではないだろなと、そんな含みがあっての訊いたらしい葉柱さんだったんですが。……小学生相手とは思えぬほどに、奥の深いお付き合いになって来たもんです、はい。まま、そういったスペシャルな次元の話はさておくとして。

 「で? この弁当は、また親父さんが作ったもんなのか?」
 「ピンポ〜ン♪」

 妖一坊やが通う小学校は、四年生だとてまだまだ短縮授業が何日か続く時間割。片や、葉柱が所属する大学部のアメフトは秋からがいよいよ本番の星取り戦に入るので、迎えに来いと呼びつける愚はせずのこっちから、手弁当下げて通ってるこの数日だったりするのだが。ちなみに、高校よりも ちこっと遠くなった此処までは、今日はおミズの知り合いのおねいさんに送ってもらったらしい。
『お昼間は びよーいんに行くのぉ? そんなしなくてもコーコさんきれーなのに?』
『あ、そうだ。コーコさんの真っ赤なあうでぃ、ボク乗りたいなぁvv』
 そんなチャットのお喋りでまんまと釣って、美容院まで行く途中で拾ってもらっての便乗に成功した、相変わらず侮れない坊やだったりし。

 “誰だ? そろそろクラスチェンジしないとなんて言ってたのはよ。”

 ホンマやね。
(苦笑) そんな坊やが、午後からは講義がないという葉柱の分も見越して持参したのが、小さな旅行に提げてけそうなバスケットに詰め込まれていた、結構なお弁当の数々で。一口大の鮭のムニエルは、脂の乗ったところをカリッと香ばしく仕上げた絶品の焼き加減だし。ホウレン草の玉子ソテーは醤油の風味がほっと落ち着く和風の仕上がり。手羽元の唐揚げ甘酢あんかけも、これも一口大のミニメンチカツも、肉の旨みを十分に封じ込めたジューシーさが絶品で。仄かな塩味が上品な、枝豆ごはんは幕の内風に型抜きしてあり、それと一緒に並んでいるのが、味噌を塗って香ばしく炙った焼きおにぎり。レタスのカップに盛られているのは、キャベツとニンジン、キュウリの千切りの塩揉みとハムとをマスタードマヨソースでふわっと和えた、コールスローサラダで。そこへおやつ代わりのシュリングポテトフライがついてて、

 「これは止せっていったんだがよ。」

 長いめのピックに刺されてあったのは、ゴマの目とパプリカだろうか赤い野菜の端切れで口を描いたウズラの玉子のお顔と、小口切りのキュウリやウインナーを連ねた三色団子風の箸やすめ。保育園児の弁当じゃあるまいしよと憤慨しつつも、まずはと手に取ったあたり、

 “実は気に入ってんじゃなかろうか。”

 なんて、早くもお兄さんに疑心を抱かせていたりして。といいますか、

 「親父さんはすっかりと“家事担当”なんだな。」
 「まぁな。」

 構え構えとまとわりつくのがウザくてよなんて、可愛げのないことを言いつつも、気がつきゃどっかで…日に一度はお父さんの話題が出てるほど。小悪魔坊やもお父さんのいる家庭に馴染みつつある様子であり。そしてその父上、何でもこなせる、この坊や以上の器用さをお持ちでありながら、だからこそお家の管理に燃えておいでなんだそうで。

 「母ちゃんだってきっちりこなしてたんだけどもな。
  仕事に専念しなさいってことへのその代わりに、
  料理も洗濯も掃除も、ゴミ出しもリフォームも庭いじりも全部、
  父ちゃんが受け持ってるんだな、これが。」

 その他、各種税金の収納やら届け出の類全般も押さえているし、妖一坊やの授業参観にも当然出向くしで、

 「あれは…もう来んなって言ってある。///////」

 おおう。この坊やが思い出すのも恥ずかしいと思うほど、何かあったらしいけど。

 “絶対に言うまいよな。”

 いつか覚えてたらセナ坊からでも聞き出そうなんて、企んでたりするのもさておいて。そういう“役割分担”が何とか定着しつつある今日この頃だそうで。まま、お父さんが“主夫”している家庭も今時にはさほど珍しくもなくなりつつあるのだし。何より、
「あ、このコールスロー、もちっとカラシ利いてるほうがいいな。」
 お父さんのお手製のご飯をうまうまと頬張る坊やのお顔が、純粋に安泰な生活ぶりを伺わせもしていて。こんな小さな坊やが、なのに大人顔負けのしっかりぶりでいなきゃならなかったほどもの、緊張とか何だとか、今はもう要らなくなったらしいのが、葉柱にも何だか のほのほと嬉しいことだったりし。

 「ルイ? 早く食わねぇと冷めるぞ?」
 「ああ。いただきましょうかね。」

 お行儀よくも手を合わせ、取り皿に盛っていただいたあれこれを、1つ1つ味わって堪能しておれば、

 「あ。いい匂いがすると思ったら。」
 「おお、来てたんか、ヨウイチ。」

 顔なじみの二回生部員らが、やはり昼飯を取りにとぼちぼちと顔を出す。食堂やらカフェテラスやらがあるこたあるが、高校時代までのような固定の教室がないのが大学なので、荷物も置いてのゆっくりとくつろげる場所ともなると、部室が一番という感覚にもなるらしく。そちらさんは購買やコンビニで買ったらしい弁当を広げつつ、

 「あ、そうそう。
  ヨウイチの親父さん、さっき…つか、ガッコ来る途中で駅前で見かけたぞ?」
 「お?」

 行儀は悪かったが、箸を咥えたまんまで妙な声を出した坊やだったのは、

 「…紹介してたか?」

 わざわざ言って回るほどのことでも無しと、此処の顔触れに引き合わせた覚えがなかったからだけど、

 「一目で分かるよな。」
 「そうそう。お前そっくりじゃんか、親父さん。」

 悪気はない。お父上のはダークブロンドではあるが、それにしたって染めたそれとも思えぬきれいな金の髪に、透けるような色白の肌。やはり金茶の瞳が据わった鋭角な風貌は、すべらかな頬にすんなりと通った鼻梁、印象的な口許という揃い踏みなのが、芸能人かと思わせるほど端麗で。長い腕脚は切れよく動いての颯爽としており、こんな大きい子供がいるってのに、今時の若者風のちょっぴり崩した着こなしだって十分映える恐ろしさ。そしてそんなお父様は、今はまだ愛らしい属性の方が強いけれど、それでも先々ではクールビューティへと育ちそうな傾向の強いヨウイチ坊やの ン十年後を見るようなノリで、坊やと重なるところが多かりしなもんだから、わざわざ紹介されずとも、

 「昨日は一美がショピングモールで見たって言ってたしな。」
 「そうそう。何つったっけ、ガーデニングの店で、
  ぱー、ぱーてーしょんだか、らぴゅた?とかいうの見てたって。」(ラティス?)

 カッコいい父ちゃんじゃんか、俺だったら自慢するね。あーでも俺だったら、表面上はうっせぇよとか知らねぇよって誤魔化すかもな、身内自慢すんのって何か照れるしさ。勝手なことを言う連中は悪かないと、坊やにも判っちゃあいるらしかったが、

 「ただなあ、あれはビックリだったよな。」
 「まあな、いきなりパチンコ屋のノボリ引っつかんで槍投げだもんな。」

   はい?

 「うん。何があったか最初は判んなかったんだがな。
  いきなりむんずと掴んで思い切り投げた先で、
  引ったくりが逃げてたその襟を、ぶっさりダンボール箱に縫い止めて。」

   え?

 「パチンコ屋前から大通り挟んだ向こうっ側、コンビニ前への大投擲だったからさ。
  居合わせた皆、わあってビックリしてから、次は拍手喝采の雨あられ。」
 「そうそう。」

 適当に笑って誤魔化してその場から逃げ出したけど、お前そっくりなんだもの。あちこちの店の姉ちゃん兄ちゃんが、今のってヨウイチくんのお父さんじゃない?って言っててサ。犯人確保しに来たお巡りさんへは、あっさり身元割れてんの…と。他人事だと思ってか、何より悪いことじゃないんだからと、あっさりこんと語ってくれた彼らだったが、
「…それって。」
 目立つ容姿なのはまま自覚もあるらしいけれど、だからこそなのか、目立つ振る舞いはあんまりしない、妙なポリシーのお父上。慎ましい性格だっていうんじゃあなく、

 「何やってるかな、あの野郎。」

 まったくもうもうと、少々眉寄せ、低いお声になった坊やだったりし。
「いくらコントロールいいからったってよ。」
「そういや、伝説のQBだったって話だったよな。」
 あの阿含さんや武蔵さん、高見さんといった、錚々たる顔触れが頑張っていた黄金時代、彼もまた針の穴をも通すと言われた名クォーターバックだったらしくって。それを思い出したらしい葉柱の言いようが、聞こえているやらいないやら、

 「俺だって表向き、
  波風立たねぇようにって、行儀よく振る舞ってるってのによ。」

  …そうだったんですか?

「人前に引っ張り出されると、あの容姿なだけに注目度も上がろうから。それが元で面倒に巻き込まれたらどーすんだ。」
 前にも一度、気をつけなって言っといたっていうのにと。子供の不始末へのような言いようで、随分と不機嫌そうなお声になってる妖一くんで。
「可愛いお子様ですねぇってのが一番角が立たねえからって、俺だってホントだったら無理しまくりなこと頑張ってたのに。それを ふいにしちまってどうするよ。」
 随分と偏った配慮じゃね? それ…と。少なくともあんまり配慮されたことがない顔触れが、ふ〜んと複雑そうなお顔になる中、
「お、来てたか坊主。」
 こちらさんもお弁当のクチか、某よろず屋じゃあないけど髪色からの仇名で銀さんと呼ばれてるお兄さんが、軽快な足取りで入って来、
「やるじゃね、お前の親父殿。」
 あああ、その話題は今はちょっとと。先に来ていてご注進した面々が、表情引きつらせてしきりと手を振り、待て待て待てとの合図を送ったりしてみたものの。勢いづいていたものか、ちっとも届いてなかったり。

 「さっき大通りで、凄んげえ胴の長いロールスロイス見かけてよ。」

   はい?

 「どこの金持ちなんだ、けったくそ悪いって眺めてたら、
  お前ンとこの親父さんが降りてくんじゃんか。」

 紹介された覚えはねぇけどよ、あんなそっくりなんじゃあ間違えようがねぇ。サンダルばきで、膝の抜けたGパンに、無印か ゆにくろっぽいTシャツってカッコのその親父さん追っかけて。わざわざ降りて来たのが、恰幅のいい どっかの外人で。アラブだかの民族衣装着てたが、あれが正装なんだってんなら、それでの移動を余儀なくされてる忙しさの、外交官とか外資系企業の重たい役付きとかいう人間だってことだわな? 一気にそれだけをまくし立て、部屋の隅に据えられたポットから湯を取ってのカップめんを仕立てると、

 「何か凄げぇ感謝されての、握手責めにあってたんでビックリしたぜ。
  しかもしかも、同じ車から降りて来た、金髪美人と腕組んで……。」

 お子様相手に要らんことまで口走ったのへは、さすがに自分でもまずいと気づいたか。うっと口を噤んだものの、小学生のしかも何かと機転の利く小悪魔坊やの反射を舐めてはいけない。
「金髪美人だってぇ?」
「あ、いや。だからその、そのおっさんの通訳とかじゃあないのかなぁ?」
 やたら背の高いモデルみてぇな…と、彼としては“一般人がお近づきにはなれないような人じゃあなかったかな?”とでも言いたかったらしいのだけれど。

 「ふぅ〜ん。」

 あああああ。なんてまあ、効果的な脅しのお声を放つ坊やなんでしょうか。アメフトに関して以外じゃあ、時として葉柱主将さえ凌駕するほど、いろいろ知ってるし度胸も据わっている筈の遊び人の銀さんが、ひぃいっと喉奥で悲鳴を上げかけたのを、居合わせた面々が確かに聞いたほどであり。そうまで低温レベルへとご機嫌が傾
(かし)いだ坊やへ向けて、

 「あ、此処にいたか。妖一。」

 それはそれはお気楽な、そして葉柱にのみ聞き覚えのあるお声が、ぽ〜んっと無造作にかかったりした日にゃあ。

  “ひぃいぃぃっっ!!”
  “堪忍して〜っ。”
  “何も今、此処に来なくても〜〜〜。”

 ちょうど戸口のほうを向いてた面々が背条を凍らせ、その視線を動かせなくなった先へ向け、手にしていた焼きおにぎりをそれでもゆっくりと完食してから、ゆぅっくりと振り返りかけた小悪魔坊や。せっかくのかわいらしいお顔が、2つも重なったお腹立ちのせいでそりゃあもうもう恐ろしいまでに尖っておいでだったのだけれど、

 「こんの、お………」
 「ヨーイチ、こんちゃvv」

 ぱたぱたぱたっと。小さな小さな駆け足が響いて来て、それがあっと言う間にお怒りの大震源地へと駆け寄った無謀さよ。愛らしいお声は小さな子供らしいけれど、それでも八つ当たりの対象には成りかねぬ。どひゃあとばかり、一体どんな雷が落ちるものかと、大の大人が揃いも揃って、思わずのこと身を縮めてしまったけれ、ど、も。

  「………くう? それに、七郎兄ちゃん?」

   はい?

 うあ怖ぇえ〜〜っと、思わず眸をつむっていた面々が。お怒りからのそれにしちゃあ、ちょっぴり力の抜けたお声が立ったので。怖いもの見たさにお顔を上げれば、そこに繰り広げられてた風景はと言えば…。

 「来ちゃっちゃのvv ヨーイチのガッコvv」
 「いや、ここは俺のガッコじゃねぇけどさ。」

 まだまだ小柄な妖一坊やの、その胸元までしかお背がないほど、そちらさんはもっと小さな坊やが、ぴょこぴょこと足元弾ませて懐いておいでだったりし。やっぱり金の髪をふわふかに揺らし、目の詰んでやわらかい肌に覆われた頬に小鼻と、潤ませた大きめの赤茶い瞳がこれまた愛らしい。聖堂なんかに掲げられた絵画にいそうなほどの、無垢で愛くるしいばかりな可愛い子。肘や膝の区切りがないくらいの、寸の足らない腕脚も、これまた封を切ったばかりなマシュマロみたいにふわふかな印象で。出来のいいビスクドールが温みを吹き込まれて動き出したような、そんなまで愛らしい存在であったりし。その子がどんなに愛らしいかはともかくとして、

 「…あの、妖一、さん?」
 「その子は?」
 「お知り合いでしょうか?」

 例えば…携帯電話の着うたを、プリキュ◇のきゃらそんぐのサビの部分に差し替えられていて、やだぁあなたってロリ趣味? もしかして妹萌え?なんて、合コンの席で思い切り笑われたとか。例えば、気難しい教授のゼミの面談の席で、ポケットから引っ張り出したハンカチが、黒レースが大半でつややかなシルクの部分はほんのおざなりという、それはそれは せくしぃな すきゃんてぃだったとか。部の連絡網へと接続したPCから発信した、次の練習試合の日時の伝達メールが、何でだかテレビショッピングの回線へダイレクトでつながってしまい、これまでにネット購入した覚えのある いけないDVDリストが、ケーブルテレビとはいえ公共の電波上で名前付きで公表されちゃう憂き目に遭ったりという。日頃の末恐ろしいお手並みというもの、よくよく知り尽くしてもいるもんだから。こんな可愛らしい坊やへ向けて、一体どんなお怒りが爆発するかと思いきや〜〜〜、と。覚悟していたお歴々にしてみれば。他人事であれ、そんな悲惨な何事か、絶対目撃したかぁねぇぞと、まだどこかドッキドキでいたっていうのにね。その爆心地だったはずの妖一くん、妙にケロッとしたお顔をしておられ。

 「ったくよ。金髪美人って七郎兄ちゃんのことじゃんか。」
 「え〜? 何なに、何の話?」

 にゃあに?と、似たり寄ったりな金髪美少年のお腹回りにきゅうとしがみついたまんま、キョトンとしているかわいらしい坊やを連れて来たらしきお人にして。戸口に立ってひょっこり小首をかしげておいでの、銀さんが目撃した金髪美人とやら。どうやら、坊やにも重々顔見知りの、しかも、

 「しちろー、にいちゃん?」
 「お兄さんて、男の人?」

 こちらさんは青玻璃の瞳に やはり色白で、チノパン風の細身のパンツや淡いサンドグレーのシャツがお似合いの、北欧系 長身美人さんだけれども。細おもてな顔を縁取っている、癖のない金の髪、うなじで束ねちゃあいるものの。成程、こうまでの間近に拝見すると、間違いなくの男性だってのもよく判る男ぶり。一緒においでの妖一くんのお父様が、ちょっぴり背丈で上回っておいでだったので、その対比で 女性に見えなくもなかったとか?

 「そういや、銀ってば女しか視野に入んねぇ審美眼してっから。」
 「こんだけの美貌だったんで、さては入口から勘違いしたな?」
 「〜〜〜。////////」
 「…お前んチの遺伝子は一体どうなっとるんだ。」
 「さあ〜。お父さんかお母さんかにばっかしか似ない、
  ルイんチの遺伝子と、もしかして いい勝負なんじゃね?」

 引ったくりをやたら派手な方法で取っ捕まえた話は、まま後で叱るさと。今日は学校から直接来たので、半日ぶりのご対面と相なったところの、事情が全然見えてないらしき…瓜二つとの評価を受けまくりな、お父上をちろりんと睨み上げた坊やだったが、

 「ほれ。お前、お茶とデザート忘れてっただろうが。」

 そんなお呑気な理由から外出し、その端々でとんでもない手際も見せの、どういう伝手やらオイルマネーにウハウハな筋のお偉い人に、途中までとスーパーエグゼクティブな車に乗せてもらいのした末に、坊やの元まで やって来たんですね、お父さん。差し出された保冷式トートバッグを、どもと受け取ってのそれから。んん?とこちらさんも小首を傾げた、これでそんなロールスロイスに乗ったのかと疑うような 極めてざっかけないカッコの、いい男のいい笑顔へ。思わずのこと、怒ってた筈の肩から力が抜けちゃった妖一くんだったそうで。皆さんが言うように、見かけは瓜二つでありながら、でもでもバリバリに油断も隙もないぞというタイプじゃあない。中身はしっかり、器用だし手ごわいながらも。とほんとした風体を装った、余裕一杯で一枚上手なお父さんなの、再確認してしまったらしく。


  ―― 俺も先々では ああいう大人になんのかなぁ。
      う〜ん、それは勘弁してほしいかな。
      何でだよ?
      あんまいい男になられっと、妬く対象が広がるから。
      う…。///////





  〜どさくさ・どっとはらい〜  08.9.08.


  *何のこっちゃなお話になっちゃいましたね。
   いえね、坊やがいないお昼間は、
   お父さんたら何してるのかなぁって思いまして。
   家事の合間には、呑気にガーデニングしているか、
   若しくは…某所の喫茶店で はとこのお手伝いとかしてるらしいです。
   それにしても、
   ホンマにきらびやかな一族らしいです、ウチの蛭魔さんチって。
(笑)

めーるふぉーむvv めるふぉ 置きましたvv

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