Little AngelPretty devil 
      〜ルイヒル年の差パラレル 番外編

    “秋がいっぱいvv”
 


あんね? くうは どんぐい(団栗)が欲しかったのね?
でもでもネ、
まだまだ、くにゅい(クヌギ)も しー(椎)も、
どんぐい ないないなんだって。

 寸の足りない双腕を、何とか重ねて絡めて腕組みの真似ごと。
 感慨深げな大人の真似で、眸を伏せてうんうんと頷いてから、

でもでも、どんぐい欲しーってゆったらね、
しょーがないなー、こえだから おーじさまわよーって
あぎょんたら こんなして
“やえやえ(やれやれ)”って ゆってね?

 胸の前で重ねていたお手々、今度は左右に大きく広げて、
 ゆらゆらと上下させて見せるのは。
 大方、誰かが肩をすくめた格好の真似なんだろう。

そいでね、あのね?
しょーがない、こえで我慢しなって、
どんぐいより大っきな、えっとえと
………………く、くい。くいっ。
くい(栗)でいいか?ってって
こぉんな大っきいちゅゆちゅゆのくいを、
いっぱいぱいくれたのぉvv
ちゅたさんがおこわたいてくえて、うまうまだったのぉvv

 それはびっくりしたものか、
 丸みの強い鳶色の瞳を大きく見張って、
 まだまだ甘やかな声も張って。
 ぱあっと輝くような笑顔になって。

あとねあとね、しゅごい雨雨降ったっしょ?
うん、おやしゅきは だいじょぶだったよ?
むしゃしゅしゃん、む、むしゃししゃんが、
お屋根とか しゅーり(修理)してくりたもの。

 宮廷の工部担当の腕自慢が、
 知り合いのよしみで点検に来てくれたということで、
 大雨にも案じる必要はなかったと言い張られてから。
 ………だがだが、ここで不意に声を落とす。

ただね(ヒソヒソ)、きの(昨日)はね、
おやかましゃまの
おおきなおへあ(大きなお部屋)の端っこだけ、
おウチの中なのに、
雨こんこが ざあざって降ったの。(ヒソヒソ)
いぃい? くちゅば、ないちょよ? ないちょ。



我ら天狐一族の皇子、葛乃葉様は、
よほどに下界の暮らしがお気に入りなようで。
跡目相続を巡る騒ぎがあった折に世話になった、
縁のある陰陽師、
神祗官補佐だという青年術師のところに
日のほとんど、どうかすると数日続けてご厄介になっており。

 『我らは神々と人との懸け橋でもあるのだから。』

人の間近にあって、彼らの営みを知るのも、
のちのちへのよい影響となろうよとの、
御主・玉藻様の方針から。
葛乃葉様の望むまま、
下界で過ごす方が多いほどと なりつつあるのは、
まま良いとして。

 “あぎょ、阿含というのはもしかして、
  南紀の蛇神のことではなかろうか。”

邪神とまでは聞いていないが、
それでも確か、
日乃本の外から来た存在ではなかったか。
仏門の勢力を忌み嫌うは狭量と、
我が主人は仰せだが、
葛乃葉様へのすぎる接近は
警戒した方がいいのではなかろうか。

 「くちゅば、こおたんは?」
 「はい。天の宮にて若をお待ちでございます。」

小さな皇子を抱きかかえた、天王宮、内宮仕えの侍従殿。
姿は人の青年だけれど、
銀色の大きな尻尾で舵を取りつつ、
綿飴みたいな夕方の雲に向かい、
ぐんぐんと天を昇っておいで。
また明日遊ぼうねと、
地上のお友達や緑に手を振る無邪気な和子様。
このまま健やかに育ってくださいますようにと
眼差し和ませる侍従殿だが、
彼なりの案じもあるようで……。


 何なら、保護者面談とか開きますか? 一回くらい。
(苦笑)







   〜Fine〜  13.10.20.


  *栗は万葉集にも出てくるほど古くから、
   庶民の間でも広く食べられていたそうです。
   学生時代は関心も向かなかったことを、
   今頃 調べて“そうなんだvv”と喜んでる。
   好奇心って凄い原動力だなぁ。

  *それはともかく。
   ちょっと久々の朽葉さんにご登場願ってみました。
   まだまだ自力での天地往復が出来ない皇子様なのと、
   護衛も兼ねての送り迎え担当なのですが、
   下界の事情も、
   皇子様から教えてもらいの、
   千里眼で見通しのして把握していらっさるもよう。
   阿含さんとの千年戦争だけは、どうか避けて下さいませね。


ご感想はこちらvv めーるふぉーむvv  

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