Little AngelPretty devil 
      〜ルイヒル年の差パラレル 番外編

     “まねっこ仔狐”
 


そもそもは、敬愛と庇護という絆の礎だったり、
他愛ない親しみ合いから始まったものが、
のちの堅い義理やら人情という徳へ連なることに運んだり。
そうかと思や…どこでどうこんがらがったか、
深い怨嗟や確執の種にもなったりするのが。
階級とか身分という区別とはまた微妙に異なった間柄、
遠縁のとか、世話になった先達の息子のとかいう、
世にいう“しがらみ”とかいうアレで。
気にしない人はとことん気にしないが、
(ex,どっかの金髪の神祗官補佐様とか)笑
こだわる人はというと、
“選りにも選ってそこかい”と呆れちゃうほど細かいことにも
看過出来ぬとじたばたしたりするようで。
本人だけがきりきり舞いするだけなら好きにしろという世界だが、
どうしたらいい?と すがられると、こんなはた迷惑はないので、
自覚のある人は控えましょうね。
(つか、自覚のある人なんているんだろうか?)




    ◇◇



とて。

人の和子とは寿命も違えば、
有り様も成り立ちも異なる存在。
神様には神様なりの、妖異には妖異の世界の
常識とか標準とかいうものがあるようで。
年功序列なんて細かい細かいというおおらかな存在もあれば、
あんたの祖神様はウチの旦那に頭が上がらない属性なんだから、
あんたもちっとは遠慮しなきゃと、
本人同士はどう見ても力の差が歴然としていても、
不思議と大きいほうのが小さいほうへ
頭が上がらぬような相性があったりと、



 「……………………何だよ、姉ちゃん。」


 そういうのって、やっぱ
 気にしない御仁は全くの全然
 気にしないには違いないみたいですよね。(笑)


というのも、
こ〜んな拙い書きようでも、
ウチへお馴染みの方には既にピンと来ておいでの存在。
口と態度が横柄なことでは
どっかの神祗官補佐様と張るぞ…な、
縄のようにその髪を綯っておいでという珍しい風貌の大妖様。
筆者がずぼらなせいもあってのこと、
詳細はあんまり明らかにはなっていないが。(おい)
少なくとも畿内の蛇やら、
それを使い魔とする地神らを束ねる頭目の、
なかなかにおっかない蛇神様が、
我らが術師様の住まう、あばら家屋敷の存する土地の山野辺側、
雑木林とそこから分け入った先の丘陵を、
いつの間にやら自分の庭のような扱いにしておいで。
蛭魔との縁が出来てからこっち、出没するようになったのだから、
この土地自体に機縁のあるとかいう妖異ではないのは間違いないのだが。
生存年輪ではぶっちぎりで上なのだろに、
放つ精気の格が桁違いの器違いだとはやばや見切ったらしい土地神は、
彼の我が物顔な逗留を、
見て見ぬ振りという形で了解しておいでのようだし。
その他の精霊たちもまた、逆らってどうにか出来る相手でなしと、
当初のちょっとした衝突であっさり決着はついたため、
平伏すのが癪なら顔を合わせねばよいのだと、
これまた静観という名の知らぬ顔を決め込んでいる模様。

 ただ、何にでも例外というものはあって。

彼がここへと居着く切っ掛けとなった、
本当にただの人の和子なのだろかも疑わしい、
強大な咒術を操る金髪金茶目の陰陽師とその御一家は。
特に彼を“怖がって”はいないように思われて。
家長である金髪白皙の青年は、
もしかして大妖仲間かも知れぬほどの胆力備えた強わものだし、
そんな彼に付き従う“黒の侍従殿”は間違いなく大物の邪妖で。
見た目それは幼い書生の少年も、強力な咒弊を難無く操るくせ者ならば、
そんな彼を護衛しておいでの影がまた、
出雲の大社から羽伸ばしにいらしていた名のある武神様が、
よお久しいのと気安くお声をかけていらしたほどの、
実はおっかない存在であるらしく。

 そんな顔触れはまだ、
 当人の気魄の厚さや、操る術を見計れば、
 怖い存在かどうか、自づと知れるというものだけれど。

 「あぎょん、こっち来ないとメッ、ゆったっしょっ?」
 「済まんが、判るように話してくれんか。」

あまりに小さい総身であるがため、てとてとてと…と駆ける折には、
四肢を弾ませての前へ前へという懸命な疾走移動より、
頭が上へ上へぴょこぴょこ弾む高さのほうが大きいかも知れぬよな。
はたまた、
寸の足らない手足ゆえ、大好物の梨を抱えんとしていても、
1個持っては1つがぽろりし、
ありゃりゃあと拾い上げれば もう1個がぽろりし、
転げたのを待って待ってと追ううちに、
あれ?何で手ぶらなのかなと、
どこでポロリしたかも判らぬような事態に陥る、
幼くも稚い仔ギツネ坊やなのを。
ほら此処だ此処と、
落としたのにもっと立派なのも足して、
しょうがないから家まで持ってってやろうなんて、
随分と過保護にあたっておいでの蛇神様であるのは、
一体どういうしがらみのせいなのか。
裏山の精霊たちには、
永遠の謎、妖異世界の七不思議とまで言われておいで。

 「もー。お手々、こんな怪我してゆのに、
  もーもー、ちちんとでないとダメなんだかやね?」

 「へいへい。」

ちちんと というのは恐らく“きちんと”で。
大きくて頼もしい手のその甲に、小さな引っ掻き疵があったのへ、
セナくん辺りが、おやかま様か葉柱さんへか、
怖がりもせず、それどころかお説教しつつ、
傷への治療をして差し上げるのを見ていたようで。
何でも真似っこしたくなる年頃なのか、
阿含さんのお怪我を見つけて、早速にもおにいさんぶっているらしく。

 “へぇえ、あの鬼術師め、弟子には案外甘いんでやんの。”

こうして情報というのは拡散してゆくのですよと、
あとで言い聞かせたほうが良いかも知れんぞ、葉柱さんと。(え?俺か?)
そんな可愛らしいやりとりを、
金色の陽だまりの中にて繰り広げていらした、
裏山の主様たちだったのでありました。






   〜Fine〜  13.09.02.


  *ウチの小姫様も、昨日めでたくも三歳になったのですが、
   アニメからの影響受けまくりで、
   親たち大人たちはいろいろと戦々恐々。
   きっぱりと“ヤダ”というのを“トトロ”で覚え、
   だいじょーぶぅ?と口先でだけ伺う言い回しをディズニーで覚え、
   泣きまねを覚え…と、ほんに日に日に手ごわくなって参ります。
   そんなせいですか、
   親御は親御で、うわさの赤鬼さんからの電話というの、
   最後の切り札に使っておりましてね。
   歯磨きしないか、
   もう遅いから寝間に上がろうというのを聞かないときなぞ、
   おっかない鬼さんに叱ってもらっておりますが。
   小姫さんが泣き虫なのは、そんな叱り方のせいじゃないのかなぁ?
   姿は見えねどという恐怖体験が、
   一番トラウマになってしまうって聞いたけどなぁ…。。


 めーるふぉーむvv  
ご感想はこちらvv

ご感想はこちらへ or 更新 & 拍手レス


戻る