Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “閑話 〜男のXXX
 



 新年度の新学期が始まってそれなり緊張しただろ、まあまあ息抜けという春の連休、いわゆる“ゴールデン・ウィーク”が終わると、夏休みまでの本格的なスクールライフが再開と運ぶ。新緑もいよいよの存在感を増し、陽光目映く溌剌と、吹きくる風まで躍動的な、そんな若々しい季節の訪れ…だってのに。
「そんでよ、昼間なら母ちゃんもパートでいねぇしって思って、いつもの3人集まって、AV鑑賞と洒落込んでたらよ。」
「うんうん。」
「あ、もしかして先週言ってた『ワッカちゃん危機一髪』か?」
「で〜〜〜。お前らあんなんが良いのかよ、信じらんね。」
「デカ乳なのに“妹キャラ”だって?」
「え? “メガネっ娘キャラ”じゃなかったか?」
「どうでもいいだろ、そんなこと。」
「よくねぇサ、信念もなく聖域を荒らすのはご法度だ。」
「いや、だから“鑑賞会”はどうしたよ。」
「そうそう、それがよ。」
 明るい中じゃあムードも出ねぇしって、カーテン締め切って、ボリューム落として。テレビへかぶりつきで盛り上がって観てたらよ。いきなり外から誰か帰ってくるじゃんか。え?え?って思いつつも、嫌な予感したから、大慌てでビデオ停めてカーテン開けんのと、階段ダンダンダンって上がって来んのとがほぼ同時。ガラッて戸ォ開けて入って来たのが母ちゃんで。
「これ要んだろって、特売で買って来たばっからしいティッシュを箱ごと差し出されちまってよ。」
 何だそりゃ、ぎゃははは…と。卑猥な方向のオチではなかったものの、十分に品のない笑い方にて皆が沸いたところへ、

  「お〜っす。」

 もう結構な気温になりつつあるせいか、開けっ放しになってたドアからヌッと入って来た人影があって。不意を突いて驚かすつもりがあったというよな、わざわざ気配を殺した登場ではなかったのだが、それでも十分、中にいた者共へは効果的だったようで、
「あ…。」
「ちわっす。」
「ルイさん、今日は、お、お早いっすねぇ。」
 顔から血が引くほどの恐慌状態にて…というほどではなかったものの、明らかに何事か疚しいものをその身でもって覆い隠すかのような。パパパッと大慌てで居住まいを正すような、あたふたした気配はありありと届いたので、
「?? なんだ? お前ら。」
 精悍な男臭い顔容を鋭い冴えで引き締めている、意志の泉。三白眼の目元をきゅうと眇め、怪訝そうに眉をしかめて見せる。ああ、昔ならこういう不審な行動へは、一体何の真似だと訊きつつ同時に長い腕が伸びて来て、問答無用で胸倉がっしと掴み上げられてたもんだよなぁ。それだけ気が短かったというか、揮発性も高かったお人だったよなぁ。さすがルイさん、三年になって懐ろが深くなったというか、貫禄も出て来たなぁなんて、妙なところを細かく拾い、さすがは俺らの総長だと感動していた面々だったが。

  「なんでルイには遠慮して、あたしがいたのには気ぃ遣わないの、あんたら。」

 背後からそんな棘だらけの声が飛び、ぱぁーんっと竹刀で机を叩く恐ろしい音が鳴り響いたのは…想定外であったらしい。わざわざ振り向かずとも、ちょっと真剣に怒ってらっしゃるメグさんだというのはありありと判り、
「やべ…っ。」
「あ、いやその、あの…。」
「いたんだ、とは、気がつかなくってよ。」
 こちらさんは紛れもなく、夜叉のように恐ろしい形相と化してる姐御であり。そんなの見ずとも判るからと、純粋に恐怖からお顔が引きつってる面々だったりし、

  「だから何なんだ、お前ら。」

 尚のこと話が見えてない総長さんが、ますます怪訝そうなお顔になったのは言うまでもなかったり。過激なんだか平和なんだか、とりあえずは相変わらずな皆さんなようでございます。
(苦笑)





            ◇



 族と呼ばれる一団を率いていて、ヘッドを張ってることで街のやんちゃ層を自分の膝下に律している立場…になっているものの。実を言うとそんな自覚はあんまりない。ましてや、無法者とか無頼漢とか、いわゆる“アウトロー”なんてなカッコのいいもんじゃないのも重々自覚している。体制への反骨だとかいう大きなことでも、育ちのよさへの反抗とかいう小さなことででも、世を拗ねたことなんてない。そんな思想的なバックボーンとやらなんて欠片ほども持ってないし、義理だの義務だの仁義だの、裏町に暗黙のうちに張り巡らされているとかいう“規律”とか何とか、ややこしいこともよくは知らない。強いて言やあ退屈が嫌いで、面倒が嫌いで、それから…頭ごなしに命令されんのが大嫌いで。それが嫌ならってんで、高校に上がったらまずは“頭”に昇っちまえと思っただけ。一年で全学制覇しちまったなんてのは破格の例外だったらしいが、俺にしてみりゃ、ただ面倒なことが嫌だったってだけなんだがな。それに、このまま行くと、別口の“面倒”を抱えた3年間を送ったことになりそうな気配だしなぁ………。



 くどいようだが、何でまた。メグさんへは気遣いなしだったくせして
(笑)総長さんへは慌てふためいた面々だったのか。そもそも何の話で沸いていたのかからを聞けば、
「…なんだ、そんなことかよ。」
 どっかでヤバいコトんでも、手ぇ出したか巻き込まれたかした奴がいて、俺には黙って方ァつけようなんてな相談かと。そっちを慮
おもんばかって表情が硬かったらしき総長さんへ、
「ルイさ〜んvv」
「俺、感動したっす。」
 なんて侠気
おとこぎの厚い人なんだろか。だから俺らついて来てんですようと、一通り感動したらしい面々を眺め回しつつ、定位置のパイプ椅子へとどっかと腰掛け、
「大体、何で俺には聞かせられねぇって構えになったんだ?」
 またまたくどいようだが、女性のメグさんが居たのへは気を回さなかったほどの連中なのにね。あんな程度の猥談くらいで、眉を顰めてしまうような、
「俺がそんなお堅い人間だと思ってやがんのか? あァ?」
 誰がお高くとまったインテリだ、いや誰もそんなことは言ってないっすが。それでも何だか、もじもじと互いの顔を見合わせあってる部員たちだったりして。
「何てんですかね。ルイさんて、こういう話をしてっと“くだらねぇ”って叱られそうな。何かストイックな印象があって。」

  ――― はい?

「そうそう。やんちゃはやんちゃでも、喧嘩とかバイクとかに偏ってるってか。」
「女とか○ックスとか、そういうナンパなことへなんか沸いてると、軽蔑されそうな気がしまして。」
 そんなとんでもないお言いようが出て来たその上に、
「そうなんすよ。ルイさんて硬派だし。」
「いいガタイしてんのに、そういやぁ…ってのか。」
「そっち方面へは淡白ってゆか、関心ねぇって感じで。」
 皆して受け入れて、妙に嬉しそうに納得し合うような気配が、室内の結構な頭数へずんずんと広がってくということは。苦し紛れの下手な誤魔化しではないらしいから…恐ろしく。
「お前ら、人を何だと思ってやがる。」
 誠実だと言われるのは、人としては光栄なことな筈ではあるが、それでもね。一緒になってやんちゃをしている仲間から、人種に一線引かれるような言われようをされたのへは黙っていられないらしく。ましてやこういう…お年頃の男の子には微妙に、誉れというか自慢というか、体験したこと、鼻高々で語れるような話題でもあったため。それへの奥ゆかしさを決めつけられるのって、何だか気分的にも収まらなかったらしい総長さん。
「じゃあ、ルイさんはもう経験済みなんすか?」
「いや…だから、何でそんな報告をいちいちお前らにしなきゃあなんねぇんだよっ!」
「えぇ〜! まさかまさか、まだ童て…っ!」
「俺、幻滅しましたっすっ!」
「ち、違げぇ…っ!」
「えええぇ〜〜〜っっ!! 一体いつ、どこの誰とっ!」
「ルイさん、俺、幻滅しましたっすっ!!」
 どう答えても沸いてしまう面々だとあって、

  「…俺にどうあってほしいんだ、お前ら。」

 まったくである。
(笑) 漫才みたいな、若しくはべったべたな古いコントみたいなやりとりが“お前らいい加減にしろよっ”という佳境に入りかかったその出端を挫いたのが、

  「俺もそりゃあ初耳だよな。」

 あああ、またややこしい人が現れたぞと。皆がひくりと反応し、
「あ…。」
 当然のことながら最も身をすくめたのが、そんなお声を広いお背
せなで聞いちゃった総長さんだったりしたものの。話題が話題だ、何でまた小学生相手に狼狽せにゃならんのかと。ここはたった今現在のノリに便乗し、他の面々へと同じ態度で乗り切ろうと思ったか、
「別に、お前にわざわざ言うことでもなかろうが…………、あ?」
 肩越しに相手へと振り返りながら。そんなお返事を威勢よく返しかかったところが、肝心なお声が中途で凍ってしまったのは。

  「…そんな言い方ってないだろよ。」

 そこにいたのはやっぱり。総長以下、部員の皆にも顔なじみで仲良しの、蛭魔さんチの妖一くんで。金色の髪に色白な肌。夢見るような金茶の眸。とびっきり愛らしい女の子と見まごうほどに、可憐で華奢な風貌をした、まだまだ小さな小学生でありながら。こちらのお兄様方とは微妙な相性が構築されてる間柄でもあったから。てっきり威勢良く怒鳴り返すかと思ったのにね。聞き慣れたその声が慣れない湿っぽさにたわんでおり、よくよく覗き込めば何とお顔もまた、尋常な様子ではなかったりして。
「…おい。」
 無表情な白いお顔のその頬にまで流れ落ちたる きららの滴。淡い金茶色の瞳がますます淡く透かされるほどの涙をたたえ、潤んだ目元でこちらを見据えてた坊やだったものだから、
「ご、ごめんなさいっ!」
「なんでお前が謝るっ!」
「いやなんか、そうしないといけないような。」
「な、泣かないでくれようっ。」
 いつもは強気な とんがらし坊や。されど、こういう話題にはさすがにダメージを受けるのか。あああ、どんなにマセてようが、小生意気であろうが、やっぱり年齢相応にピュアな部分もあったんだと。そこをば傷つけちまった〜〜っとばかり、部員たちがわたわたっと大慌てしている騒ぎを背景に、こちらさんはもっと重症で、

  「お前…。」

 あまりの可憐さと痛々しさへ顔面蒼白、全身が固まりかかったまんまにて。呆然として椅子から立ち上がったそのまま、立ち尽くすばっかな総長さんだったりし。
「…なんだよっ。」
「いや。泣くほどのことじゃなかろうよ。」
「は? 誰が泣いてるって?」
「…いや、お前が。」
 言えばますますのこと、お顔までもを歪めてしまい、
「違げぇってば、これは…。」
 何やら言い分がありそうなところへかぶさって、
「取ってもらえたか〜。」
 その後からご登場の、銀髪の幹部が気安い声をかけて来たもんだから。話はますますややこしい。
「???」
「? どしたんすか? 総長。」
 そっちの彼もまた、室内の状況が判らなくっての“?”というお顔になったもんの、さしたる含みもなかったためか、銀髪のクォータバックさんがさらさらと淀みなくも言うことにゃ、
「そこの渡り廊下で、風に撒かれて眸ぇ痛めたらしいんすよ。」
 今時の風は時折悪戯だから。不意を突かれて…用心深いこの子らしくもなく、砂か何かで眸を傷めたらしかったので。早く部室行ってメグに取ってもらえって、一緒にやって来たんですけどもね、と。
「…なんつーベタな展開だか。」
「さすがは昭和生まれの筆者だよな。」
 放っといてよねっ! そっちこそ、今時そこまで純情はなかろうというほどに、何か妙な話題に沸いてたくせにっ。そんなしょむない問答には関心なんてなかったか、
(いやん)
「ほれ、見せてみな。」
 ホッとする間も惜しんでの速やかさ。長い脚でベンチを跨ぐと、そんな短い一言だけにて此処に自分と向かい合うよに座れという指示を出す総長さん。そして、
「ん…。」
 よほどに痛かったか、こればっかは素直に従い、葉柱のお兄さんのすぐ間近まで引き寄せられたそのまま、仰向いて見せた坊やでもあり。

  「ったく、無駄にでっかい眸ぇしてやがるからな。」
  「うっさいなぁ。ルイだってでかいじゃんよ。」
  「お子様のと違って俺は切れ長だから、こんなヘマはやからさねぇんだよ。」
  「でっかいのは否定しねぇんだな。」
  「目ヂカラがあんだ、放っとけよ。」
  「俺だってな、無駄にデカいんじゃねぇんだよ。」
  「何だよ、何の役にたってんだよ。」
  「ルイがドジったとこを見逃さねぇようにデカいんだ。」
  「ほほぉ、そりゃまたご愛顧くださいまして。」
  「何だそりゃ。」

 口は達者なところは相変わらずの坊やと向かい合い、それは愛らしいお顔に自分のお顔を近づけての慎重な作業。気を利かせたメグさんが、お兄さんの手元へ揃えてくれた薬箱から抜き取った殺菌綿棒で、そぉっとそぉっと、下瞼の縁、涙の中に浮かんでた小さな砂粒をその涙ごと吸い取って。
「よし、取れた。…って、こらこら擦すんな。」
「痒ぃ〜もん。」
 炎症起こしてたらどうすんだ、悪化させっぞと。その小さな手を封じるようにと、彼の大きな手でなら簡単に手折れそうなほど、か細い手首のところでむんずと捕まえて、
「悪りぃメグ、目薬を…。」
 差してやってくんねぇかと。言いかけた声が途切れたのは、振り返った部室のどこにも、誰の姿もなかったから。あれれのれ?
「…何だよ。」
 せめて声くらい掛けてけよな薄情なと思ったらしきお兄さんの懐ろから、
「あれじゃね? 見てたって退屈だったから出てったとか。」
 それか、先端恐怖症の奴が多かったとか。何だそりゃ。まだちょっぴり痛々しい、赤い目になっちゃった坊やが、それでも痛くはなくなったことで一息つけたか、ぱふりと総長さんの懐ろへお顔を伏せる。先日の話題ではないが、お膝に乗っかるとお兄さんのお胸じゃなく肩におでこが来るほども背丈が伸びた坊やだが。そんなの全然影響はないとばかり、その肩口へやわらかい金の髪ごと、お顔を預ける坊やであり。
「そういや、お前。電話かけて来なかったな。」
 今日は来ねぇのかと思ってたのによ。低い声音で囁けば、
「うん。」
 こちらさんも、どこか…掠れるほど小さな声になり、
「今日は交通安全指導にって、泥門署のチハルちゃんとマコトちゃんがガッコに来てたから。」
 大方、彼が懇意にしている婦警さんの名前だろう。ミニパトで此処の近所まで送ってもらえたと、にししと笑っている辺りが相変わらず。

  ――― そっか。
       うん。

 暖かくってゆったりとした懐ろの深みへと身をゆだね、大好きなお兄さんの精悍な匂いにくるまれて。大きな手のひらで撫でてもらえるのが気持ちいいと、大人しくしている坊やであり。柔らかな肢体をお膝に懐ろに抱えた充実感が、こちらさんにも心地がいいのだろう。さっきまでの妙な盛り上がりと騒動もどこへやらで、和んだ表情を隠しもしない総長さんであり。そしてそして、そんな彼らがいる部室の窓から…ちょこっとばかり離れた、別な“こちらさん”たちはといえば。

  「誰があんな、べったべたな構図を正視出来ますかってんだ。」
  「なんか今にも○スに至るんじゃないかって構図だったもんなぁ。」

 片や、すっかり安心し切っての無警戒なまんま、瞳を閉じて可憐なお顔を“どうぞ”と仰向けていた愛らしい坊やであり。もう片やはといえば、砂粒を探して取るのに集中していたのだと判っちゃいるのに、それでも…それはそれは真摯なお顔がその精悍さをなお増して、しかもこれでもかというほどの間近まで、相手のお顔へ寄ってってた訳であり。大きな手は坊やの小ぶりのお顔をそっと固定するため、親指以外の部分全部にてやわらかな頬を覆い、残った親指だけで目元に触れていて。その親指の先までを見なければ、十分なまでに“ちう”の前奏曲、立派なプレリュード状態にあったと言えなくもなく。

  ――― しかも、これが一番に問題。

   “…なんか手慣れてなかったか、あの構図。”

 てぇ〜い、大人しく此処にこうして座れだとか、指で挟んで髪の毛引っ張ってっぞ、痛てぇとか。見てくれはカッコいいのに実は妙なところで不器用なので、そういうごちゃごちゃをやらかしそうな二人の筈が。映画の中のワンシーンのように、なんてまあまあ手慣れていたことか。出て来たグラウンドの一角にて、それぞれにトレーニングウェアへと着替えつつ、そこへと想いが至った順に、誰もが一瞬ながら固まりかかる。天使か悪魔か、人ならぬ何かが通過したかのような間合いをほんの数刻ほど経てから、さて。
「………でよぉ。」
「あ?」
「ルイさん、結局のとこ、経験あんだろか無いんだろか。」
「あ、そうそう、その話。」
 …何とか話題を変えようというのが見え見えです、皆さん。
(笑) でもね?

  「実際の話、どうなんだろな。」
  「う〜ん。」
  「あるって言われても複雑だし、かと言って まだ無いって言われても…。」
  「う〜ん、う〜ん。」

 我らが気高い総長さんは、どんなに悪びれてもせいぜい柄を悪くして がなろうとも、さして余裕のないままに、本人も泥まみれの血みどろになっての殴り合いをこなしていても。どこかで高潔、汚れないまんまの正義漢という、お堅くも誠実なイメージがついて回るのが、彼らにしても不思議といやぁ不思議。女なんて黙ってたって寄って来るから、星の数ほども抱いたし泣かせたしと、声高に言われりゃあそれもまた武勇伝となる人種の筈が。どうしてだろうか、何だか飲み込めない。想像が追いつかない。颯爽とした白い制服がいかんのか、それとも。あんな愛らしい子を始終まとわりつかせてるのがいかんのか。
「女へのギトギトした劣情よりも、ほんわかとあふれ出す父性の方が勝
まさってるってか?」
「う〜〜〜ん。」
「勘弁してくださいよぅ、メグさんてば。」
 やっぱり一緒にグラウンドへ退避していた女傑のメグさんが止めを差したのへ、皆が情けない声を出し、頭を抱えて悶絶している。ヘッドの遅い春という話題でこうまで盛り上がれるなんて、やっぱり平和な人たちであるようで。こんなチームが優勝したら、罰が当たるんじゃなかろうか。罪のないジョークにしては色々と含むものもありそうな話題にて、お年頃の青少年たちがどよどよと沸いてる中へ、お〜いと問題のお人の声が交ざって来。さあ走りだせと、すっかり青々とした若葉へ様変わりした桜の梢を揺らして、清かな風の吹き抜ける。そんな皐月の、午後の1頁だったそうな。









  clov.gif おまけ clov.gif


 「色気より父性の方が勝ってるって言ったら。」
 「そりゃあ、やっぱ…なあ?」

 どこぞかの高校最強ラインバッカーさんが、その極みではないでしょか。
(爆笑) まさかそういうタイプだったとは、誰も全然思いも拠らなかったものが。それより何より、自分以外はカボチャだとしか思ってないよな把握じゃなかろかというよな、アメフト以外へはとことん無感動・無関心な人だったものが。そりゃあ愛らしい黒猫コスプレのセナくんに、鋼鉄のハートをズドーンッと射貫かれたその日から、外見的には…男臭さもそのままの、厳つくも無表情なままなので、なかなかその変化は判りにくいが(笑) これでも心底骨抜きのお兄様。

  『あのね? セナは別に、アニメばっかり観てるんじゃないんですよ?』
  『うむ。』
  『えぬえっちけいのお勉強のテレビも観てますものvv
  『そうだな。ぴたごらすいっちと、日本語で遊ぼうだったな。』
  『あ、進さん進さん、遊ぼうじゃないです。あそぼですようvv
  『むっ、そうか。あそぼ、か。』

 ………いやまあ、ほのぼのしてて いんですが。練習中や勿論の試合中はちゃんと集中してくれるから、士気が萎えるなんて支障は全く出てないんですが。
「なんでまた、女子の人への関心すっ飛ばして父性が芽生えてんだ、あいつは。」
「これもまた最速のなせる技じゃないでしょうか。」
 それはないない。
(苦笑)
「まさかショタの気があったとはな〜。」
「いや、それもどうでしょうかね。」
 そですよね。セナくんと出会う前から、あの子ヒル魔くんが結構長いこと間近にいたんですものね。小さな可愛い子が好きだっていう“性癖”なら、とっくにそういう振る舞いが表へ出ていてよかった筈なのに。そんなの気配さえなかった訳ですし。これは完全なる“好み”というか相性というか、心にビビッと来て好きになっちゃった相手が、たまたま幼い子供だったということではないかと。
「…いやむしろ。子供と言えばヨウちゃんだったのが影響したのかもねぇ。」
「何だよ、桜庭。」
「だから。ヨウちゃんは口が回り出すとすぐにも、子供とは思えないほど堂々とした物言いとかしてたじゃないの。」
 それで、子供といえど手ごわい子は手ごわい。人格に大きさは関係ないって刷り込みがされちゃったのかも。

  「失敬な。」
  「まったくだ。」

 進さんはともかく、ヨウイチくんまで………やっぱ怒るか。
(笑) それではまたまた、お後がよろしいようでvv




  〜Fine〜  06.5.06.


  *タイトルの xxxには、甲斐性でも背中でも、お好きなフレーズを。
(おいおい)
   今更な話題かもですが、
   まったくもって、何やってんだかな、な人たちでございます。
(笑)

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